日本維新の会は9日、衆議院選挙区支部長選任者6名の発表を行ったが、衆議院山口3区の伊藤博文氏(54)という名前が目を引いた。
同選挙区は、次期衆院選では選挙区の区割りが変更になり、安倍元総理の地盤の旧4区、下関市・長門市に、林芳正外相の地盤である旧3区のうち萩市、美祢市、山陽小野田市、阿武郡で構成される。
松下村塾があった萩市、外国船からの防御のために組織された奇兵隊の本拠地があった下関市が含まれ、維新の聖地と言えるだろう。
初代内閣総理大臣 伊藤博文氏も、松下村塾で吉田松陰先生に学んだ一人、その功績は説明するまでもなく山口県民の誇りとなっている。
その聖地で支部長に選任された伊藤博文氏、伊藤氏については弊社記事でも一度取り上げたことがあるが、沖縄戦で亡くなった祖父が 戦地から家族に宛てて送り続けていた絵手紙を紹介しながら、各地の学校や公民館などで平和をテーマに講演活動を行ってきた人物として知られる。
→ 弊社記事「沖縄戦の慰霊碑修繕、CFで支援を募る(2021年11月10日)」
今年4月の統一地方選では、県議選に福岡市城南区から立候補、組織戦を展開する自民系の候補にわずかに及ばなかった。
今回、新しい区割りの山口3区が面白いのは、林芳正外相の次期衆院選公認が決まり、安倍晋三元総理の後継者、吉田真次氏が比例中国ブロックに回ることが決まったが、林氏に対する反発がある。
それだけではない。
2年前の旧3区の衆院選で林氏が衆院に鞍替えし、そのため 河村建夫元官房長官の後継の建一氏は押し出され、比例中国四国ブロックでの出馬も許されず、北関東ブロックで立候補し落選するという屈辱を味わっている。
建一氏は次期衆院選で、東京6区で日本維新の会から立候補を予定しており、自民党山口県連が7月18日付で 建一氏の除名処分を決めた。
こうした経緯があり、安倍元総理や河村氏らの反発票が 林氏にそのままいくことはないだろう。
維新の聖地で伊藤博文氏がそれらの受皿になり、現職外相を脅かす存在になるか、今後の展開に注目だ。