「政務三役も対象者に!」それはその通り

れいわ新選組の山本太郎代表ほど国会質疑に賛否の多い国会議員はいないだろう。
関西弁で資料を矢継ぎ早に示しながら、閣僚や官僚を理詰めで追い込んでいく。
能登半島地震に対する政府の対応の遅さを指摘する質疑は見事だった。

参議院・環境委員会(2024年4月23日)

一方で、人の足を踏みつけるような表現、国会の場に相応しくない下品な言葉を多用する点は、聞いていて気持ちのいいものではない。
批判覚悟で注目を集める意図が見え隠れし、もう少しマイルドなら支持者も増えるような気がするが、余計なお世話だろう。

さて、今国会でセキュリティー・クリアランス(適正評価)法の審議が行われているが、4月18日の内閣委員会において、もっともと思える山本氏の指摘があった。

防衛や外交などの経済安全保障上重要な情報について、政府が取り扱う資格者を認定する制度で、現在は主に公務員が資格を保有するが、今後は民間の研究者などにも対象が広がるとしている。
民間において、人工知能や宇宙関連産業で軍事転用可能な技術が増えたことで情報漏えいのリスクが高まっており、その対策が必要なことは言うまでもない。

適正評価は、①特定有害活動及びテロリズムとの関係、②犯罪及び懲戒の経歴、③情報の取扱いに係る非違の経歴、④薬物の濫用及び影響、⑤精神疾患、⑥飲酒についての節度、⑦信用状態その他の経済的な状況、以上の7つに関する事項について実施されるという。

山本氏が問題視したのが、身体検査を受ける対象者に、大臣・副大臣・政務官、いわゆる政務三役が含まれていないことである。
過去に政務三役が不祥事を起こした経産省を例に列挙、小渕大臣、宮澤大臣、菅原大臣、山際大臣、西村大臣らが起こしてきたことを読み上げた。

参議院・内閣委員会(2024年4月18日)

例によって鼻につく喋り方ではあるが、言っていることは正しい。
政治家こそがお金や女性に弱くて一番危ないので、真っ先に身体検査が必要である。

今回の裏金問題では、国会議員が国民に増税や厳格な納税を課しておきながら、自分たちは裏金を作っても逃げ道を確保していたことに 国民が怒っている。
法律を作る国会議員が 自らに特権を与えてはいけない。

高市早苗経済安全保障担当大臣におかれては、対象者の中に政務三役も含めることを是非とも検討して頂きたい。



 

強行採決は出来レース?

先の国会でLGBT法可決と並び 話題になったのが、6月8日に行われた法務委員会の入管法改正の強行採決だ。
審議継続を求める野党議員の怒号が飛び交う中、それを無視して 委員長が採決を宣言、議員らが委員長席に殺到し山本太郎議員に至っては宙に浮かんでいるかの様な映像が流れた。

最近政党支持率が上昇し 「立憲民主党を叩き潰す」と対決姿勢をあらわにする日本維新の会の馬場代表が、Youtube番組で 強行採決の舞台裏を語っている。

「強行採決をやる時は、実は裏で与党と立憲民主とで話をしてます。強行採決を いついつやってくれと与党側に申し入れしてます。その代わり、うちは暴れさせてもらいます、という打ち合わせができています。誰がマイクを取りに行くか、誰が紙をちぎるか、誰が周りを囲むか、役振りが全部できています。」

ウィシュマさんの遺族が傍聴している前で、身体を張って止めにいったあの絵は パフォーマンスだったということだ。
馬場代表は「あれが戦う野党ですか」と切り捨てた。


国政政党の党首が言うのだから 真実味が感じられる。
立憲の中には 真面目に業務に励んでいる国会議員や地方議員も少なくない。
「事実」でないなら 名誉を棄損するような発言に対し、立憲は維新に抗議すべきだ。


大島九州男氏、浪人脱出か

7月の参院選で初当選を果たした れいわ新選組の水道橋博士議員(60)が、深刻なうつ病という理由で休職しているという。

国会議員になると分刻みのスケジュールで、膨大な資料の読み込みや質問の準備に追われ、空いた時間には 全国の地方議員の選挙の応援や党勢拡大の活動で プライベートな時間はなくなる。
また、SNSなどで罵詈雑言を浴びることだってあるだろう。
志があっても こうした状況に心身が適応できなくなったとしてもおかしくはない。

水道橋議員におかれては療養後、与党を追及する姿をご披露頂きたいが、辞職希望とも報じられている。
それを聞いて俄然 張り切る九州男児の姿が目に浮かぶ。

大島九州男 元参院議員(61)だ。
直方市議を経て 2007年の参院選挙に民主党から比例代表で出馬し初当選、2013年に再選、2019年には国民民主党から立候補し落選した。
2020年11月にれいわ新選組に移り、2021年10月の衆院選で 福岡8区で立候補するも麻生氏に敗れ 比例復活もならなかった。

今年7月の参院選比例区に れいわから出馬、党として2議席獲得できたが 次点に終わっていた。
仮に水道橋氏が辞職すれば 繰り上がり当選となる。
参院選で大島氏が獲得したのは わずか 2万8123票(水道橋博士氏は11万7794票)に過ぎないが、国政復帰が現実味を帯びてきた。

東京都知事選・2位は誰?

東京都知事選(7月5日投開票)の期日前投票が始まっているが、出口調査で約6割が現職を支持しているという結果が出ており、余程のことがない限り小池都知事の再選は間違いない。

大した実績もなく、希望の党の失敗により1期で政治生命が終わると言われていたが、コロナ禍を味方につける強運の持ち主、対策に東京都の基金(貯金)を惜しみなく使い、訳の分からないカタカナを多用したメディアへの露出で、盤石の選挙体制を築くことに成功した。

ところで、立憲民主、共産、社民が支援する宇都宮健児氏と、れいわ新選組代表の山本太郎氏が、2位争いを繰り広げている。

特に最近支持率が下降気味の立憲民主であるが、山尾志桜里衆院議員は3月に離党し6月に国民民主に入党届を提出、また元格闘家の須藤元気参院議員は山本氏を応援したいと離党届を提出するなど、ひと頃の勢いに陰りが出ている。

山本氏が宇都宮氏に大差をつけることになれば、今後衆院選に向けて、立憲民主の議員らの行動に影響が出てくるだろう。

負けて勝つ・山本太郎氏

参議院選挙も終わり、福岡選挙区は事前の予想通り、自民松山氏、公明下野氏、立憲野田氏の3人で決まった。

ニュースらしいニュースがない中で、全国比例において2議席を獲得した、れいわ新選組・山本太郎氏の戦略には目を見張るものがあった。

本来であれば東京選挙区で立候補を予定しており、当選は確実と見られていたが、告示直前に比例に転出すると発表、しかも、重度障がい者の2人を比例区特定枠の1位・2位に置くことで、敢えて自身は落選の可能性が高い出馬を選んだ。

その結果、全国比例でその2名が見事に当選、山本氏は個人名で99万2千票の驚異的な票を獲得したが落選となった。

既に直近の国政選挙に立候補する意思を表明しており、今回の山本氏の戦い方に共鳴して追随する政治家志望の若手が増えてくると思われる。

次期衆議院選挙の台風の目になることは確実で、まさに試合に負けて勝負に勝ったと言えよう。



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