タレント市長の評価・中間市 ④ ■ 「V字回復の秘策」を待つ市民

6月6日の 中間市長選挙告示まで2週間を切った。
今年3月までに福田市政に異を唱える立候補予定者が相次ぎ、市議会副議長の梅沢恭徳氏(33)、社会福祉法人理事の俵邦子氏(67)、元市消防署長の嶋津淳一氏(67)、市議の植本種実氏(72)の4名が名乗りを上げていた。

一方の福田健次市長は、選挙の半年前に議会で再挑戦を表明するのが一般的だが、3月25日になってやっと2期目への挑戦を表明、3ヵ月前というあまりにも遅いタイミングである。
市民の反発が続き市長職に嫌気がさしていたが、それでもその後 候補者が増え、現職有利になったことで勝算ありと踏んだのでは、と関係者の間では憶測を呼んでいた。

ところが5月12日になって、梅沢氏と俵氏が立候補の取り止めを発表、植本氏と政策協定を結び 支援することを発表、福田氏にとっては 候補者が減る予想外の展開になった。
現時点で、福田氏、植本氏、嶋津氏、3人の争いとなりそうだ。

福田氏の頼みの綱は、後援会長の片岡誠二県議(自民党)と、不動産や医療・介護まで幅広く手掛ける地場有力企業グループだが、自民党中間支部も一枚岩ではなく県連の推薦を取り付けるまでには至らなかった様だ。

福岡のアイドルグループと市の広報活動で業務提携する等、見せ方は上手い福田市長だけに 若者票や浮動票を相当数 獲得すると思われるが、昔から中間市に愛着を持つ人々は、福田氏が「V字回復の秘策」について語るのを首を長くして待っている。

(了)

タレント市長の評価・中間市 ③ ■ 際立つ発言の軽さ

中間市の人口は 現在約4万人、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、2045年までに 2万8248人に減少し、高齢化が進むとされている。
福岡県下では 福岡都市圏以外 殆どの自治体の共通の悩みである。

そういった事態を打開するため各自治体は頭を悩ましているのだが、過去には佐賀県武雄市のように発信力のある市長がいる自治体が注目を集め、新たに企業が進出した例もあった。

4年前、福田市長に期待されたのはその発信力だったが、発言の軽さが際立った。
特に、昨年5月に地元テレビ局で放送された 番組での発言だ。
福田市長は「中間市を超V字回復させる秘策を考え出した」と述べ、「オンリーワン、オリジナルの産業を創ること」として、最新技術である亜臨海水処理施設を導入し、ゴミを資源化するシステムを構築するという 具体的なプランを熱く語った。

しかし直後の6月議会の一般質問で、秘策について問われた福田市長は、「秘策はあくまでも秘策でありまして、現時点ではお話しすることを控えさせていただきます」と答弁、個人的な実施案だとした。
テレビで話した内容を 議会で説明できないという あまりのお粗末ぶりである。

テレビ出演から1年経つが、V字回復に繋がる秘策とやらは 以前として議会で説明されないままだ。

ー 続 く ー



 

 

タレント市長の評価・中間市 ② ■ 公立病院建て替えから廃止へ

築40年経ち 老朽化が進む 市立中間病院であったが、福田市長は1期目の選挙で早期建て替えを公約に掲げた。
しかし、今年3月末で廃止、公約違反の象徴となったが、廃止までの経過に関し不透明な点が多く、議会や市民からは福田市長のリーダーシップに疑問の声が上がる結果となった。

令和元年5月、市長は 近隣の病院の院長らで構成する「中間市立病院あり方検討委員会」に諮問し、同年10月に「独立行政法人に移行が望ましいが、かなわない場合は民間移譲」という答申を受けた。

しかし、令和2年3月末の 市議会全員協議会で、市長が「独立行政法人では市の財政負担が今後も続いていくことから、庁議(市役所内の最高意思決定会議)で民間移譲とすることに決定した」と報告、そして 同年6月に 中間市最大の病院、 医療法人 秋桜会 新中間病院との間で 民間移譲する覚書を交わしたことが明らかにされた。

実は、同病院が 4年前の選挙で 福田市長を支援した地場企業のグループというのは、地元では有名な話、通常であれば 公共施設を民間に移譲する場合は公募という手続きをかけるところだが、随意での交渉に疑念が湧く格好となり市議会は反発を強めた。

市民にとって 百歩譲って 民間移譲で病院が存続するならまだ良かったが、話が急転、 11月になって 覚書を破棄する事態となったのである。
病院の建て替え費等の話で条件が合わなかったという。

このため、民間移譲の道も閉ざされ 廃止せざるを得ない状況になった。
病院の建て替えが 独立行政法人化、その後民間移譲となり相手先を独断で決定、終いには廃止と 目まぐるしく決定していったが、病院関係者や利用していた市民らの福田市長に対する不信感は増幅していった様だ。

ー 続 く ー



 

タレント市長の評価・中間市 ① ■ 公約と実績のギャップ

任期満了に伴う中間市長選(6月6日告示、13日投開票)には、現在までに 現職市長の福田健次氏(60)、元市消防署長で新人の嶋津淳一氏(67)、植本種実氏(72)が立候補を表明している。

地元テレビ番組の司会でお馴染みの福田氏が 初当選を果たしたのが 4年前の2017年6月、中間市出身ではない福田氏は 地元県議や地場グループ企業の支援を受けて 三つ巴となった選挙を制した。



タレント市長には相応の期待があったと思われるが、市民からはあまりいい評判が聞こえてこない。
それは、1期目に掲げた公約と実績のギャップにあるようだ。
公約の目玉だったのが、「小中学校給食費の完全無償化」、「警察署の誘致」、「老朽化した市立病院の早期建て替え」であったが、残念ながら実現できたものは1つもない。

給食費無償化は市財政が回復するまで延期、警察署の誘致については 要望は上げたものの、県は対応する気配は微塵もなく、見通しの甘さが露呈した格好だ。

そして、更に 市民を失望させたのが「市立病院の早期の建て替え」である。

ー 続 く ー