議会承認ありきの新規事業告知

北九州市議会の6月定例会が1日に召集されたが、直前の5月29日に 北九州市が公式ウェブサイトで公表した告知に市議会が反発を強めている。
それは「(仮称)北九州市“新ビジョン”策定支援業務委託 公募型プロポーザル方式の実施」という事業者募集の告知、独自カラーを打ち出したい武内和久市長が 北九州市の基本構想・基本計画に代わる新しいビジョンを策定するのは分かるが、その進め方が良ろしくない。

この業務は 今後の北九州市政の最上位の計画を策定する新規事業となり、外部に丸投げになっていないか、タイミングとして適当か、予算として十分かなど、6月議会で審議が尽くされ、承認が得られてから はじめて執行されるものだ。
業務内容の説明の中に、「なお、本件は令和5年度の本予算の成立をもって実施となるため、市議会での議決によっては、変更や中止を行う場合がある」と注釈があるので、執行部もそのことを分かった上で告知をしている。

しかしである。
鼻から「議会承認ありき」で告知をすれば、国会ではもちろん、どこの地方議会でも「議会軽視も甚だしい」と議員の怒りを買い 執行部は謝罪に追い込まれることになる。
ましてや 北九州市議会はオール野党状態、「否決できるもんなら否決してみろ」と喧嘩を売っているに等しい。

会期中、委員会や一般質問で、告知に至った経緯等について 各会派から追求があると見られている。
武内市長は官僚出身なので こうした手続きの大切さについては百も承知のはずだが、なぜ議会承認されるまで待たなかったのか、その真意について明らかにしてほしい。

副市長人事は寝耳に水

北九州市の武内和久市長が、元市局長で西日本工業大学長の片山憲一氏(70)と、市総務局長の大庭千賀子氏(59)を 副市長に起用する案を固め、開会中の市議会に提案することを、17日の全国紙がスクープした。

人選は別にしてこの話、自民党市議団は寝耳に水だった。
18日には、テレビ・新聞各社が後追いで一斉に報じたが、それでも市長サイドからは梨の礫(なしのつぶて)という。
会派に根回しをしないで 新聞社に情報を流したとあっては、さすがに会派も面白くなかろう。

また、武内市長は3月議会に、市長給与の1割、副市長給与の5%をカットする条例案を提出しているが、17日の総務財政委員会で、議案説明のため 20日の委員会に市長の出席を求める動議が全会一致で可決するも、市長は「出席せず副市長に説明させる」と文書で回答している。

武内市長が 選挙で津森氏を支援した3会派と融和を図るのか、それとも対決姿勢を取るのか、議会前から関心が集まっていたが、ガチンコで勝負する気の様だ。
それはある意味面白いが、あまり議会軽視が過ぎると 思わぬしっぺ返しを食らうことになるのでご注意を。

政党推薦はもう要らない

4人が立候補し事実上の一騎打ちとなった北九州市長選挙は、政党推薦無しの武内和久氏が、自民・公明・立憲・国民が推薦し北橋市政の継承を訴えた津森洋介氏を破り初当選を果たした。
当初は津森氏の楽勝ムードが漂っていたが、公開討論会の欠席が続くなどマスコミの見る目も変わったことも影響した様で、選挙戦序盤から逆風が吹き始めた。

2週間前は筑紫野市長選挙で、自民・公明・国民が推薦する現職の藤田陽三氏が敗れたばかり、政党推薦の意義が問われる結果が続いている。
政党が候補者本人より党の都合を優先して推薦を決めているところが見受けられ、大いに反省すべきではなかろうか。

各党とも有権者の既存政党離れが進んでいる点を冷静に分析し、統一地方選を前に戦略の立て直しが急がれる。