政治と介護施設の深い関係 ⑬

介護サービスに従事しておられる方は 日々の業務に真剣に取り組んでおられる。
問題は 介護事業を政治に利用する政治屋、そして それに協力する経営者、中には政治屋自身が介護事業の経営者のケースもある。

地方議員やその家族が社会福祉法人の理事長を務めているケースは多い。
そこでは、特別養護老人ホームほか、デイ・サービス、訪問看護ほか様々な介護サービスを行うほか、法人によっては 障害者福祉まで手を広げているケースも。

そこで雇用されている人、サービス利用者、そして その家族まで含めると相当数に上る。
これだけで、選挙の際、他の候補者に比べ アドバンテージがあるかお分かりだろう。
だからこそ、介護を政治に利用していると誤解されないよう、議員活動と介護事業との線引きを明確にするべきではなかろうか。



永原町長の凄いところは、福岡県介護保険広域連合のトップになり事実上の許認可権を掌握し、政治利用の仕組みを確立させたことと言われている。
広域連合に加入している33自治体では、永原連合長(町長)が判を押さなければ、新たに介護サービスを始めることはできない。

今でこそ永原町長と歩調を合わせている佐々木県議であるが、関係者によると、県議なりたての頃は反永原だったが、両親が介護施設を経営しているため どうしても敵に回せなくなった事情があるようだ。
そこで止まってくれていれば良かったがそうはいかなかった。

既報の通り、永原町長の肝煎りで発足した任意団体「田川地区介護サービス事業所協議会」の会長に佐々木県議の母親が就き、昨年12月には 会長名で「次期選挙で 二場公人市長と佐々木允県議を推薦する」旨の文書を会員に送付している。

更に、田川市長選の最中、佐々木県議の兄が経営する有料老人ホームの不在者投票の当日、現職の二場公人候補が訪ねて来て挨拶を行った上、法定ビラではなく後援会チラシを配布するという、2重の選挙違反を行っていた。
選挙違反を承知で訪ねてきた二場氏が一番悪いが、それを許した施設の経営者も同罪と言えるだろう。

結局、佐々木県議の家族が 介護事業を政治利用していたことに他ならない。
親分からの指示があったかどうかはともかく、それぞれの責任で行っており同乗の余地はない。
ここまで来ると、母親が経営する施設でも同様の不正はなかったかとか、不在者投票が法令を遵守して行なわれているかなど様々な疑問が湧いてくる。

佐々木県議のケースは、議員活動と介護事業との線引きを明確にしていない わかりやすい一例である。

ー 続 く ー


陸田議長が経営する介護施設に掲示された看板

政治と介護施設の深い関係 ⑫

これまで 福岡県介護保険広域連合の資料を元に、田川地区の自治体の認定率が高いこと、1人当りの給付費が多いことなどを書いてきた。

ただ、政治と介護施設の深い関係 ⑩ (2023年7月24)の記事における「介護認定が他自治体と比較して緩い」という表現について、関係者の方からメールで次のようなご意見を頂いた。

現在、田川地区で介護保険の認定調査を行っているのは、介護保険施設所属のケアマネジャーではなく 全て福岡県介護保険広域連合の認定調査員である。
永原連合長の部下あることに変わりはないが忖度するという事は全くない、また、認定までの手続きの中で 個人を特定して永原氏の意向が反映されることは決してない。

表現には気を付けないといけないと改めて反省させられた。
現場の職員の皆さんは日々真剣に業務に励み、介護サービス利用者のために汗して働いておられ、誤解を招く表現があったかもしれない。
数字だけを並べるにとどめ、こちらのコメントは控えるべきだった。

今回は、広域連合の資料より、事業所(地域密着型サービス)、及び 特養を含む施設サービスの内訳を紹介したい。
まず、事業所(地域密着型サービス)数の合計を 第1号被保険者数で除した割合の平均は0.13%であるが、大任町が 0.49%で1位、10位以内に 糸田町を除く田川地区の7自治体がランクインしている。

また、施設サービス数の合計を第1号被保険者数で除した割合の平均は4.19%、大任町が1位で13.71%、10位以内に 糸田町(3位)、赤村(4位)、福智町(5位)が入っている。
弊社記事、政治と介護施設の深い関係 ⑥⑦⑧⑨で これらの自治体の特養の数が全国平均・県平均よりかなり多いことを書いたが、それを裏づけるものだ。

大任町は、認定率、不能欠損の割合、事業所の割合、施設サービスの割合で 1位を獲得、4冠達成である。

- 続 く -

政治と介護施設の深い関係 ⑪

福岡県介護保険広域連合の事業報告書についての解説の続き。

まず、給付状況。
令和4年度に広域連合から33市町村に支出した介護給付費と、それを第1号被保険者数(65歳以上)で除した 1人当りの金額の一覧で、1人当りの金額が多いほど介護サービスが充実していることを意味する。

1人当りの給付費の平均は 22万6358円、多い順に 1位 東峰村、2位 赤村となっているが、これについては医療機関が少ない過疎の村という地域性もあり、介護サービスがあれば 頼りがちになるという。
医療機関が少ない分だけ公的医療費の支出も少ないので、介護給付費だけで単純に比較できないという識者の意見もある。


ただ、1人当りの給付費の多い順の10位以内に 田川地区6自治体がランクインしており、他の地域と比較して田川地区の介護サービスが手厚いというのは事実だろう。

次に収納状況。
表右側のブルーの列は、介護保険料の普通徴収(口座振替または納付書で納める方法)の令和4年度分の収納率を 収納率の低い方から順位を付けたもので、自治体としては不名誉なことと言える。

興味深いのが、不能欠損額を第1号被保険者数(65歳以上)で除した 1人当りの金額だ。
不能欠損とは、自治体がが滞納分の徴収金が徴収できなくなったとして調停金額を消滅させること、分かりやすく言うと、自治体が請求を止め 滞納者は支払いを免除される。

令和4年度分でざっくりと試算したところ、33自治体平均で 年間1人当りの介護保険料 が 6万0916円で 不能欠損額は 437円、大任町の場合 年間7万0076円で不能欠損額が1037円だった。
大任町は 介護保険の認定率と1人当りの不能欠損額が1位、つまり 33自治体の中で 認定が最も緩く取り立ても甘い自治体ということになる。



- 続 く -

政治と介護施設の深い関係 ⑩

今月初旬、県内33自治体が加入する福岡県介護保険広域連合(連合長 永原譲二大任町長)の会合で、事業状況報告書(令和4年度末)が配布された。
同報告書を読み解くと、いかに田川地区の介護サービスが過剰かが分かる。

犯罪に近いレベルという識者の声もあり、40歳以上の高額な介護保険料を真面目に支払っている田川地区の皆さんには、この事実をぜひ知って頂きたい。
弊社記事 → 自治体ごとに違う介護保険料
合わせて、33自治体の地方議員や職員の皆さん、県税を投入している県議や県職員の皆さんにも問題を共有したい。

同報告書には、市町村別に、認定状況・給付状況・収納状況・事業所数について 詳細なデータが記載されている。
各自治体で人口や高齢化率が異なり分かりにくい部分もあるので、弊社で判りやすいよう、① サービスの数量を第1号被保険者数(介護保険の対象となる65歳以上人口)で除して比較できるようにし、② その数量ごとに順位を付けた。 

まず、要介護(要支援)の認定率から説明する。
認定率は、各自治体ごとに第1号認定者数(要介護の認定を受けた方の人数)を第1号被保険者数(介護保険の対象となる65歳以上人口)を除して表したもので、広域連合33自治体の平均認定率は 18.18%、全国の平均が令和4年度で 18.6%とされている。

33自治体のうち、認定率が高い方から10位以内に 田川地区8自治体の全てがランクイン、中でも大任町が 26.11%で1位だった。
高齢化率が高いところと必ずしもリンクしている訳ではなく、東峰村は高齢化率が46.8%と最も高いにも拘わらず、認定率は18.24%で平均並み、ちなみに大任町の高齢化率は37.5%だった。

認定率が高いというのは、「介護認定」が 他自治体と比較して緩いと理解することができる。
介護サービスを受ける方の家族にとっては、要介護度の重い方に認定されれば個人負担が少なくて済むので、介護認定調査は緩い程ありがたいが、一方で 緩いと介護報酬が増え、40歳以上が支払う介護保険料に跳ね返ってくるので、認定調査も厳格な基準で行われているはずだ。

介護認定調査は一般的に、自治体職員(認定調査員)か自治体が委託した指定居宅介護支援事業者または介護保険施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型医療施設、介護医療院)に所属するケアマネージャーが行う。

介護事業に詳しい関係者は「大任町の人口は5000人、みんなの顔が見え、それは有権者でもあります。認定調査をする町職員は永原町長の部下、ケアマネージャーも永原町長の家族が経営する施設に所属していれば、そりゃ選挙のことを考えると緩くなって当然です」と話す。

他にも要因はあるかもしれないが、複数の市議や県議が介護サービス事業に関わっている田川市も 22.53%と高いので、全く無関係とは言えないだろう。



ー 続 く ー

政治と介護施設の深い関係 ⑨

福智町で 60床の特養の新設が許されたのは、今年4月に設立された「社会福祉法人 政芳会」である。
同法人は福智町伊方で建設業を営む㈱スズキのオーナーが設立したものだが、理事に田川市議会の今村寿人市議、評議員に大任町の永原町長の娘婿で ㈲ 譲の代表者、宮田芳政氏の名前があった。

このコンビは 田川市の「社会福祉法人 里ごころ」の役員・評議員の名簿にも見られる。
更に「里ごころ」の監事には 永原町長の長男で ㈱鷹羽建設代表の永原譲太郎氏が名前を連ねている。
このことから、政芳会は 永原町長のグループと見て間違いないだろう。

ちなみに、「里ごころ」は今村市議が理事で永原譲太郎氏が監事、一方、大任町の社会福祉法人「よろこび」は永原譲太郎氏が理事長で今村市議が監事に就いている。
監事は「理事の職務の執行や法人の業務及び財産の状況について、独立性をもって監査できる常設機関」であるはずだが、隣町の社会福祉法人の理事がお互いに監事を務めて監査ができるのだろうか。



実は、政芳会を設立した鈴木氏は、9年前から特別養護老人ホームの新設を要望し、町を通じ介護保険者である広域連合(永原連合長)に意向を伝えていたが 同意されなかったという。
最も介護報酬の高い特養新設のハードルは高い上、福智町の特養の定員は多いので、広域連合が同意しないのはある意味当然だろう。

しかし地元では、平成31年4月の田川市長選挙をきっかけに 一転 認められたとの話が まことしやかに囁かれている。
もともと 鈴木氏は反永原・二場の元田川市議だった高瀬春美氏と関係が近かった。
市長選に高瀬氏が出馬、現職の二場市長との一騎打ちとなったが、当時二場氏側にかなりの危機感があった。
「『二場市長を支持すれば特養の設置を認める』という人参がぶら下げられ、鈴木氏が食いついて 高瀬氏との関係を断ち切り、そこからトントン拍子に話が進んだというのだ。
これが事実ならとんでもない話である。

選挙の翌年の令和2年3月、60床の特養の新設要望が 鈴木氏から町経由で広域連合に提出され、広域連合が同意し福岡県に上げている。
保険者である広域連合が同意したことで県も認め、同3年3月に策定した「第9次高齢者保健福祉計画」の中に、田川地区(福智町)に特養60床を整備することが盛り込まれた。

県の計画に載ったことを受け、同年10月に福智町が特養の事業者を公募、応募者は鈴木氏のグループのみ、町が審査した結果、同グループに決定し、町は意見書を添えて県に提出、県が設置を許可した。

前回の記事で書いた通り、福智町が特養を60床増やす理由は 無理筋なだけに、噂が本当の様な気がしてならない。

ー 続 く ー