政治と介護施設の深い関係 ⑨ [2023年7月11日07:20更新]

福智町で 60床の特養の新設が許されたのは、今年4月に設立された「社会福祉法人 政芳会」である。
同法人は福智町伊方で建設業を営む㈱スズキのオーナーが設立したものだが、理事に田川市議会の今村寿人市議、評議員に大任町の永原町長の娘婿で ㈲ 譲の代表者、宮田芳政氏の名前があった。

このコンビは 田川市の「社会福祉法人 里ごころ」の役員・評議員の名簿にも見られる。
更に「里ごころ」の監事には 永原町長の長男で ㈱鷹羽建設代表の永原譲太郎氏が名前を連ねている。
このことから、政芳会は 永原町長のグループと見て間違いないだろう。

ちなみに、「里ごころ」は今村市議が理事で永原譲太郎氏が監事、一方、大任町の社会福祉法人「よろこび」は永原譲太郎氏が理事長で今村市議が監事に就いている。
監事は「理事の職務の執行や法人の業務及び財産の状況について、独立性をもって監査できる常設機関」であるはずだが、隣町の社会福祉法人の理事がお互いに監事を務めて監査ができるのだろうか。



実は、政芳会を設立した鈴木氏は、9年前から特別養護老人ホームの新設を要望し、町を通じ介護保険者である広域連合(永原連合長)に意向を伝えていたが 同意されなかったという。
最も介護報酬の高い特養新設のハードルは高い上、福智町の特養の定員は多いので、広域連合が同意しないのはある意味当然だろう。

しかし地元では、平成31年4月の田川市長選挙をきっかけに 一転 認められたとの話が まことしやかに囁かれている。
もともと 鈴木氏は反永原・二場の元田川市議だった高瀬春美氏と関係が近かった。
市長選に高瀬氏が出馬、現職の二場市長との一騎打ちとなったが、当時二場氏側にかなりの危機感があった。
「『二場市長を支持すれば特養の設置を認める』という人参がぶら下げられ、鈴木氏が食いついて 高瀬氏との関係を断ち切り、そこからトントン拍子に話が進んだというのだ。
これが事実ならとんでもない話である。

選挙の翌年の令和2年3月、60床の特養の新設要望が 鈴木氏から町経由で広域連合に提出され、広域連合が同意し福岡県に上げている。
保険者である広域連合が同意したことで県も認め、同3年3月に策定した「第9次高齢者保健福祉計画」の中に、田川地区(福智町)に特養60床を整備することが盛り込まれた。

県の計画に載ったことを受け、同年10月に福智町が特養の事業者を公募、応募者は鈴木氏のグループのみ、町が審査した結果、同グループに決定し、町は意見書を添えて県に提出、県が設置を許可した。

前回の記事で書いた通り、福智町が特養を60床増やす理由は 無理筋なだけに、噂が本当の様な気がしてならない。

ー 続 く ー