続・国民の金はわしのもの

弊社記事「国民の金はわしのもの(2023年11月30日)」では、立憲民主党福岡県総支部連合(立憲県連)顧問を務める吉村敏男元県議が、令和2年9月の旧国民民主党福岡8区総支部の解散時に 残余金約900万円を 自身の後援会に移し、その後も自身の事務所費等に流用していると書いたが、関係者からかなりの反響があった。

→ 国民の金はわしのもの(2023年11月30日)

立憲県連の幹事会の席で、「記事が事実かどうか確認をするべきでは」という提案があったそうだが 当然だろう。
他の総支部で同じことをした代表者がいれば、集中砲火を浴びて糾弾されるはず。

だが相手が吉村氏、直接本人に尋ねられる勇気のある者はいないと想像する。
おそらく次の幹事会では、吉村氏本人にではなく周囲の関係者に聞き取りをした曖昧な報告があって、誰もそれ以上深掘りせずシャンシャンで終わるのが目に見えている。

吉村氏が自身の後援会に移した900万円を、県連か8区総支部に戻さないまま終わらせるならその程度の組織ということだ。
代表におかれては、一般の議員や党員、県民も注目しているということは忘れず、公平で毅然とした対応を期待したい。

 

立憲顧問、吉村敏男氏とは

さて、本稿では福岡県が毎年11月と3月に公表している政治資金収支報告書を参考にして、更に詳しく、吉村氏の政党資金の使い方と、県連及び8区総支部の権力者としての活動について明らかにしていく。

→ 福岡県公報

その前に、吉村氏がこれまでいかに県連に貢献してきたか振り返ってみる。
元々は飯塚市が合併する前の穂波町の職員、職労活動を経て町議会議員に当選し政治の世界に。
平成11年の県議会議員選挙(飯塚市・嘉穂郡選挙区)で初当選を果たし、同31年に落選するまで5期20年間務めた。

県議3期目の同20年、民主党初の福岡県議会副議長に選出される。
以後は、民主系会派(現在の民主県政県議団)の取りまとめ役として自民党県議団からも重宝がられる存在になる。

自民党県議団との繋がりを誇示することで、会派内で絶対的な地位を手に入れた。
副議長は歴史に名前が残る名誉職で、自民会派にも副議長に就きたい議員が多いはずが、同24年以降、民主系会派から9人の副議長が選出されている。

しかし、「副議長の椅子を貰って骨抜きにされる」「一生頭が上がらなくなる」など批判も少なくない。
副議長の人選は吉村氏が行っているのは周知の事実で、相応のリターンがあるという生々しい話も聞くがここで止めておく。



吉村氏は、県議会での勢いそのままに民主党福岡県連でも発言力を強め、平成19年から民主党県連副代表、民主党~民進党代表代行を歴任した。
特に、松本龍代議士や対立してきた助信良平県議が政界を引退した後は権力が集中、更に同29年の選挙前に元職を含む国会議員らが希望の党と立憲民主党に移ったことで意見する者もいなくなり、民進党県連代表に就任、その後も国民民主党県連の代表に就いている。

我が世の春を謳歌していたが、6期目を目指した同31年の統一地方選挙で落選する。
現職議員しか総支部の役職に就くことができないという内規があり国民民主党県連の代表は辞任するも、なぜか8区総支部の代表(会計責任者を兼任)に居座った。

令和2年9月、旧国民民主党が解党することになり8区総支部も解散、総支部の残余約900万円を自分の後援会に移したのはこの時だ。
総支部解散で無役になりかけたが、新たに設立された立憲県連、及び8区総支部の顧問という肩書を得て、引き続き影響力を保持している。

今もなお権力欲は旺盛で県連内の人事に睨みをきかせているが、昨年佐々木允県議を立憲に入党させたのも吉村氏の意向で、誰も表では反対できなかった。
「やりたい放題で困っているが鈴を付ける者がいない」というのが関係者の本音の様だ。

吉村後援会に流れる資金

前置きが長くなったがここから本題。
福岡県が公表している政治資金収支報告書を参照し、平成27年から令和2年までの6年間で、県連から各総支部に寄附・交付金として支出された額をまとめた。
民主党から民進党、国民民主党と党名が変わっても、各総支部には比較的均等に支出されているようだが、よく見ると吉村氏の福岡8区総支部への寄附・交付金の額が、他の総支部に比べて多いようだ。



次は、同期間の福岡8区総支部の政治資金収支報告書の収支内訳である。
支出内訳を見ると、組織活動費や宣伝事業費はさほど多くない一方、寄附・交付金の額が多いことが分かるが、いったいどこに支出しているのだろう。



そこで、吉村敏男後援会の政治資金収支報告書を参照したところ、福岡8区総支部からの寄附額が記載されていた。
年によって違うが、寄附・交付金総額の半分以上が吉村敏男後援会に移動している傾向があることが分かった。

令和元年が0円になっているのは、落選して政治活動を止めたから。
同2年の 912万2812円の資金移動は、前述の旧国民民党解党時に福岡8区総支部の残余全額を自身の後援会に移したものである。



理解しやすいように、「県連 → 福岡8区総支部」、及び「福岡8区総支部 → 吉村敏男後援会」へ移動した資金の額に、割合の計算式を入れてみたのが下表である。
平成27年から令和2年の6年間で、県連から福岡8区総支部に 2475万3310円支出されていて、県連の寄附・交付金総額 3億3892万4700円の 7.3%を占め、全総支部の中で最も多い。
また、同期間に福岡8区総支部からは、吉村敏男後援会に 1648万5562円が支出されているが、8区総支部の寄附・交付金総額の 67.3%を占めていた。

吉村敏男後援会が6年間で受け取った1648万5562円は、県連が支出した寄附・交付金の総額 3億3892万4700円の 4.9%に当たる。
県連の寄附・交付金の 20分の1が吉村敏男後援会に移っている事実を、これまで関わってきた人々はどう受け止めるだろう。


候補者を擁立しない8区

福岡8区は「直方市、飯塚市、嘉麻市、中間市、宮若市、遠賀郡(芦屋町、水巻町、岡垣町、遠賀町)、鞍手郡(小竹町、鞍手町)、嘉穂郡(桂川町)」の5市7町と広範囲に渡り、本気で党勢を拡大させるにはとてつもない労力と資金を要すると同時に、リーダーの意識が重要になる。

吉村氏が中心となってきた福岡8区総支部には、全総支部の中で最も多い寄附・交付金が支出されていたが、8区総支部の収支を見ても、党勢の目安となる収入の党費・会費は増えておらず、組織活動に力を入れたようには見えない。
宣伝事業費に至っては平成29年からの支出はゼロ、それでも仕事をしたと言えるのだろうか。

対照的に、潤沢に支出した寄附・交付金のうち、約3分の2が吉村敏男後援会に支出されている。
極めつけは、全総支部中、最も予算が配分されているにも拘わらず、平成26年12月の衆院選以降、福岡8区から3回連続で候補者を擁立していないことだ。



今年、衆院選が行われる公算が強いが、福岡8区は空白区で麻生氏の対抗馬となる候補者が決まっておらず、立憲の党本部も立候補者を喉から手が出るほど欲しいはず。
ところが、昨年、党本部の公募に8区内からの公認候補に2人が手を挙げたというのだ、共に不採用となっている。

1人は立憲の元市議会議員の女性、もう1人はマスコミ関係者、共に即戦力になり得る人材と聞く。
もちろん、書類選考や面接等で不採用となることもあるだろう。
しかし、元市議のケースでは、昨年6月に応募、本部も前向きで話がスムーズに進んでいたにも拘わらず、突然「今回はご期待に沿えません」というメールが送られてきたという。

党本部が勝手に決めた訳ではなく、福岡の県連に判断を委ねている。
実は、8区のことなので県連幹部が吉村氏にお伺いを立てたところ、難色を示したため 県連内部で正式な会議を開かずに潰したという話である。
書類選考も面接もなし、志ある者が党本部の公募に手を挙げているのに理由の説明もなく党本部に押し返したということだ。

これが事実だとすれば、立憲県連は民主的な手続きを取らない、党勢拡大より実力者への忖度を優先する組織ということになる。
これで自民党の体質を批判できるだろうか。

ここまで、吉村氏が県連の資金の20分の1を自身の後援会に移動させたことや、
党勢拡大に努めた形跡もなく、衆院選の候補者擁立もして来なかった事実を紹介してきた。
これは立憲県連の内部の問題だが、猫の首に鈴を付けることができる人物がいないのがこの組織の弱いところだ。

忖度は止めてクリーンでオープン、公平且つ自由に意見を言える組織に生まれ変われば、若い人の支持も集まってくるだろう。
今後を期待したい。

ー 了 ー

田川バイオマスに新事実、政治不信は県議会でも

政治とカネの問題、岸田総理の生ぬるい対応に政治不信は増すばかりだが、それは自民党の国会議員に限ったことではない。
福岡県議会副議長で立憲民主党所属の佐々木允県議に関する「政治とカネ」の問題を、弊社やネットメディアが報じてきたが、その後説明責任を果たす気配は全くない。

参考記事 → 県議が県道用地取得に担保提供 (2023年11月21日)

ところで、バイオマス発電所の火災のニュースが続いており近隣住民の不安は増しているが、田川市に建設中のバイオマス発電所について、計画当初から佐々木ファミリーが関与していたことが窺える新事実が出てきた。

 

計画前から県に問い合わせ

これまで 佐々木氏は SNS上で「あくまでも民間の工事であり、田川市役所や私自身を含め関係ありません」と自身の関与を否定していたが、バイオマスの計画当初から事業者の南国殖産の代わりに県の出先機関「飯塚市農林事務所」に問い合わせを行っていたことが判った。

平成30年12月13日には 発電所建設予定地の農振除外の進捗について、また、同31年4月23日には 追加用地確保のため隣接地を農振除外するにはどうしたらよいか、佐々木氏から直接電話で問い合わせがあったという。
南国殖産が田川市に「木質バイオマス発電所設置事業計画」を提出したのが、平成31年1月25日なので 佐々木氏の電話はそれよりも前、計画段階から関与していたということである。

つまり、南国殖産は 田川市に計画書を提出する前に、糒地区に建設地を決めて 農振除外の手続きを開始していた。
佐々木氏は 平成30年12月時点で既にそのことを知り 業者のために行動していたことになる。

 

父親が排熱利用を目的に農地購入

ただ、佐々木氏は業者のためだけに動いた訳ではなさそうだ。
というのも、バイオマスの排熱を利用する計画に、佐々木氏の父親の名前が出てくるからだ。

前述の「田川木質バイオマス発電基本計画」の中に、熱利用基本計画という項目がある。
南国殖産と加賀デバイス㈱が主体企業となり、(仮称)田川ほしい農業㈱を設立し地元営農者(法人含む)が出資、発電所周辺の農地4ヘクタール7ブロックにハウスを32棟建設し、排熱を送りミニトマト、ベビーリーフ、ハーブなどの野菜を栽培することが記されていた。

驚いたのは、その後の調べで当該農地の区画のうち、同年3月25日付でバイオマス発電所の北側計 1606平米を 佐々木氏の父親が購入していたことだ。
当初から熱利用が予定されている場所で営農するつもりだったと想像される。





また、計画ではバイオマス発電所の稼働は当初 平成33年2月予定とされていた。
平成33年は令和3年のこと、現在佐々木氏の母親が理事長を務める社会福祉法人の事業として、介護施設の近くのハウスで「あまおう」を栽培中だが、始めたのは令和3年度(4月~)なので、バイオマスの稼働時期と符合する。

バイオマス発電所建設の手続きの遅れや想定外のコロナ禍で計画の日程が狂ったが、佐々木ファミリーは 令和3年度から 佐々木氏の父親が取得した土地でバイオマスの排熱を利用し「あまおう」栽培をする予定だったのではと 関係者は見ている。

バイオマス発電所誘致に前のめりだった佐々木氏が 建設のデメリットを考慮せず、また地域住民の意向も聞かず、身内に優先して利益が入るように動いたとすれば問題ではなかろうか。



バイオマス発電所の火災のニュースが続いており近隣住民の不安は増している。
「あの誠実な佐々木さんがそのようなことをするはずがない」という支持者もいる。
「清潔な県議会議員」を標榜するからには、弊社や 他のメディアが指摘している点も含め、バイオマスへの関与についても住民に説明を尽くし、疑念を払拭する必要があるだろう。

福岡11区でただ一人の 立憲民主党の県議会議員が、疑惑に対し沈黙を続けたままで 県政全体への信頼が揺らいでいる。
立憲県連の城井代表の対応にも注目が集まっている。


高い倫理性が求められる政治家

多くの市町村において、首長や議員を対象にした「政治倫理条例」が制定されている。
その目的として、市民全体の奉仕者としてその人格と倫理の向上に努め、市政に対する市民の信頼に応えることと明記されている。

 

忖度が働く政治倫理審査会

政治家が政治倫理条例を遵守しているかどうか疑わしい事実がある場合は、住民の求めに応じて「政治倫理審査会」が事実関係を調査報告をすることになっているが、審査会が機能していないとの指摘が多く聞かれる。
というのも、審査会の委員は、弁護士、税理士など士業や大学の先生が選任されることが多いが、委員が調査対象となる首長や議員と個人的な関わりがあり忖度するケースがあるからだ。

最近では昨年、春日市において、市長の資産報告に疑義があるとして市民が審査請求を行ったが、市長が疑惑を払拭する根拠書類の提出要請を無視したにもかかわらず、審査会としてそれ以上の要求をしなかった。
審査会に利害関係者がいては客観的な審査ができないので、狭い自治体の場合は市外、町外在住の委員を選任するべきだろう。

春日市長等政治倫理審査会 会議結果

 

政治倫理条例がない県議会

ところで、県道延伸予定地を 県議会議員の親戚が代表を務める会社が購入後、県議とその家族が所有する不動産を担保に提供しているケースがあった。
また、親戚が代表を務める事務所を県議が賃借し、家賃の半額を政務活動費から支出しているケースもある。

弊社の記事を見た読者から、「政治倫理審査会で審査されるべきでは」という問い合わせがあったので、福岡県の条例を調べてみたところ 政治倫理条例がないことが分かった。
一般財団法人地方自治研究機構のホームページによると、現在政治倫理条例を制定している都道府県は9団体(岩手県、宮城県、福井県、三重県、滋賀県、奈良県、鳥取県、広島県、長崎県)ということで、意外だった。

一般財団法人地方自治研究機構のホームページ

政治倫理条例がないからと言って、何でも許される訳ではない。
福岡市議会の政治倫理条例を例に挙げると、議員の責務として「市民全体の代表者として市政に携わる権能と責務を深く自覚し、市民の信頼に値する高い倫理性を持つとともに、市民に対し、常に政治倫理に関する高潔性を示すことができるよう努めなければならない」と明記されている。

県議に高潔性が求められていることは言うまでもない。

今年の十大ニュース

今年もあと残すところあと3日となりました。
県内各地から数多くの話題を提供頂きました。
感謝の意を込め、弊社が選ぶ十大ニュースを発表します。




10位 春日市長、資産報告に虚偽記載の疑い

7期目の選挙も楽勝だった春日市の井上澄和市長、情報開示を拒む姿勢は大任町並みと指摘する声も。
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9位 我がことだけ、なりふり構わない 稲富修二代議士

4月の統一地方選、立憲の稲富代議士は 他党の県議と2連ポスターを作ったかと思えば立憲のN市議の支援は一切せず、理解に苦しむ行動が目立つ。
いったい何がしたいのか。
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守谷県議は国民民主党幹事長代行(当時)、現在は常任幹事

 

8位 ワクチン接種後の副反応被害が表面化

今年も新型コロナウイルスワクチン副反応被害に関連する記事を書いた。
来年も マスコミが報じない影の部分にスポットを当てていきたい。
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7位 立憲県連顧問の吉村氏、政党支部の残金900万円を自身の政治団体へ

「政治とカネ」の問題を追求するはずの立憲民主党、その県連顧問がこれでは まともな追求ができるはずがない。
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6位 飯塚市の坂平副議長、百条委員会を振り切る

「今すべき事を、今行います。」と当たり前のことを公約に掲げたにも拘わらず、再選を果たした飯塚市の坂平市議、来年は 素晴らしいゴミ焼却施設建設のオピニオンリーダーとして期待が集まっている。
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5位 田川地区、介護と政治の深い闇

田川地区の介護保険料が高いのはなぜか。
政治家が介護事業に関わっていることとの関係を検証した。
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4位 現職の二場公人氏を破り 村上卓哉市議が新市長に

今年の統一地方選も各地でメイクドラマがあった。
中でも特筆すべきは田川市長選挙だろう。
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3位 佐々木県議会副議長、説明責任果たさず

田川市には清潔な県議会議員が必要です。
政務活動費の支出の仕方や、親戚の県道取得への担保提供、報道を無視し続ける不誠実な態度は、政治の不信と疑念を増幅させています。
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2位 進む 利権絡みの国道3号広川~八女バイパス建設

国道3号、八女市と広川町の住民が 渋滞解消を望んでいるのは 広川から久留米に向かう箇所だが、広川~八女に600億円の利権バイパスが実現しようとしている。
福岡県民の負担は200億円、その分他の道路の整備が遅れる。
誰も止めようとしないのはなぜ?
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1位 町村会会長選挙で大どんでん返し、永原町長敗れる

田川市長選で永原氏の義弟、二場公人氏が敗れたのに続き、福岡県町村会会長選挙で永原町長がまさかの敗戦、流れが変わったと実感した瞬間だった。
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以上ですが、こうして振り返ると やはり筑豊の話題が多いことに気づかされます。
来年も良い世の中になるよう情報発信に努めて参ります。
それでは、良いお年お迎えください。

自民党批判、稲富氏にブーメラン

12日の衆院本会議に、松野博一官房長官の不信任決議案が提出されたが、賛成少数で否決された。
立憲民主党が松野官房長官の辞任を求めるのは最大野党として当然であるが、趣旨説明の登壇者の人選を間違ったようだ。

登壇したのは福岡2区の稲富修二議員、自民党の政治資金パーティの問題、裏金づくりを
疑惑の域を超えて、疑獄といわれるほど、近年まれにみる異常事態
政治に対する国民の信頼は、地に堕ちた
と痛烈に批判、更に
自民党政権のもとで真相解明が進むのか甚だ疑問
自民党政権の自浄作用にはとても期待できない
と畳み掛けた。

堂々とした趣旨説明だったが、一方で稲富氏を知る関係者から批判の声が上がっている。
というのも、令和2年9月の国民民主党解党時、残った1億円以上の資金を将来にわたり身内に還流させるための政治団体が新たに設立され、同3年10月の衆院選前に 500万円を受け取っているからだ。

この件については 後日報じるが、税金が原資の政党助成金の還流である。
パーティ券のキックバックを誤魔化して脱税した自民党議員も悪いが、国民の血税をマネーロンダリングして懐に入れている点ではもっと悪質だ。
立憲には「政治とカネ」の問題は厳しく追及してほしいが、ブーメランが返ってこない議員を選ぶ必要があるだろう。

立憲「政治とカネ」追求、問われる本気度

立憲民主党の城井崇議員や稲富修二議員は、12月8日の衆議院予算委員会を どういう思いで聞いていただろう?
質問に立った元代表の枝野幸男議員の追求は迫力があった。

安倍元首相が亡くなった昨年7月8日付で、「自由民主党山口県第4選挙区支部」と安倍氏の資金管理団体「晋和会」の代表者が妻の昭恵さんに代わり、7月から12月までの間に約1億3000万円が 第4選挙区支部から晋和会に寄付として移されていた。

枝野氏は、同選挙区支部には県議市議が多数いるにも拘わらず、安倍氏が亡くなったその日に政治家でもない私人の昭恵さんが支部長に就いた点、昭恵さんが代表を務める第4選挙区支部から同じく昭恵さんが代表を務める晋和会に資金移動がされた点について、公党の体を成していないと断じた。

支部の資金には ①政党助成金や②支援者からの寄附金の他に、③安倍氏個人の寄附金、④安倍氏の政治資金パーティーで集めた金が含まれているので、一部を 安倍氏の資金管理団体に戻すというのも分からないではないが、問題は支部内で民主的な手続きを踏んだ上で 昭恵さんが代表になり、資金移動が行われたかだろう。


枝野氏の追及はさすがだが、立憲福岡県連顧問の吉村敏男氏が行った資金移動はご存知だろうか?
全く同じ構図であり、枝野氏が事前に知っていたら この日の質問はできなかったかもしれない。

吉村氏は平成31年4月、県議に落選し他の地方議員がいたにも拘わらず旧国民民主党福岡県第8区支部の代表に居座り、令和2年9月の同党解党に伴い、支部解散の直前に自身の後援会に約900万円を移動させた。
吉村氏の場合、支部の資金は 個人の寄付やパーティ収入ではなく ほぼ全額が政党助成金が原資なので 質が悪い。

折しも立憲福岡県連は、昨年市長選に出た田中慎介福岡市議の資金管理団体が、寄付金など収入約336万円を政治資金収支報告書に記載していなかったという理由で、田中市議を無期限の役職停止処分とすることを決めたばかり、「政治とカネ」の問題には厳しく対処する点をアピールした。

枝野氏が 衆議院予算委員会で 山口県「自由民主党第4選挙区支部」の資金移動がおかしいと指摘しているのに、城井氏や稲富氏が吉村氏の資金移動を不問にできるだろうか。
立憲民主党福岡県連が本気で「政治とカネ」の問題に取り組む気があるのか 地元マスコミも注目している。


立憲民主党福岡県連ホームページより

国民の金はわしのもの

福岡県選挙管理委員会が29日、政治団体の収支報告書を公開した。
国会では 自民党派閥の裏金疑惑などが問題視されているが、これから話す 県内の某政治家のケースも かなり悪質と言えるかもしれない。
法をすり抜ける上手さはどこかの副議長と同じだが、こんなことが許されるていいものか、特に この政治家に関わりのある方にはよく考えて頂きたい。

登場するのは 元県議会議員の吉村敏男氏、立憲民主党福岡県連の顧問を務め 佐々木允県議を副議長に押し上げた立役者、また「九州の自立を考える会」の副会長を務める人物だ。
吉村氏は平成31年4月の県議選で落選後、今年の統一地方選にも出馬はしなかったが、現在も自身が代表を務める後援会を維持し、公式ホームページも存在するので まだ政治家と言ってよいだろう。

→ 元福岡県議会議員 吉村敏男 ホームページ

下図は 令和4年分の吉村敏男後援会の収支報告書であるが、前年からの繰越額 832万3612円という額に注目してほしい。
国会議員でも 現職の県議でもないのに、これだけの額を後援会にプールしていることに驚きだ。

あまり知られていないが、政治団体を解散した場合、そこにある残金の報告義務はあるが その行き先について追跡する法的な規定はなく、大抵の場合、政治家個人の懐に入る いわゆる臨時収入になる。
後援会の資金は 政治家本人が寄附として入金することが多いので、解散時に本人に戻るという流れに、そこまで目くじらを立てることもないという考え方もある。

だが、吉村氏の場合、その金額の大きさ、入手した経緯が 看過できるレベルではないのだ。
令和4年分で 次年度繰越金として 772万9002円を計上、仮に 後援会を解散した場合、吉村氏の懐に入ることになる。

解散時の残金の行き先を届け出る仕組みになっていないのは 法の盲点と言える。
税務署が把握しなければ 税金もかからない。
与野党含め 国会議員はそのことを じゅうぶん承知しているが、故意に放置しているという指摘もある。
知り合いの国会議員に尋ねてみたらいかがだろう。






平成24年に民主党が下野して以来、「民進党」になったり「維新の党」やら「希望の党」が出てきて、今振り返っても理解することは容易ではない。
ここでは、どうやって吉村氏が後援会にこのような大金をプールしたかについて説明するが、ひとつ言えるのは 政党の離合集散のどさくさで、偶然 大金がそこに出現し、それを動かせる立場にあったということである。

平成29年10月の衆院選直前、福岡県では 当時「民進党」の現職衆院議員の城井崇氏と稲富修二氏、浪人中だった緒方林太郎氏らが離党して「希望の党」入り、一方で「希望の党」から排除された山内康一氏は枝野幸男氏が立ち上げた「(旧)立憲民主党」に参加、その後、参議院議員の野田国義氏も「(旧)立憲民主党」に合流した。
その結果、「民進党(同30年6月に(旧)国民民主党に名称変更)」福岡県連にとどまった国会議員は 参院議員の古賀之士氏だけになり、本来国政選挙に使うはずだった 潤沢な資金(約2億円)が残されたという経緯がある。

当時の「(旧)国民民主党」県連会長は吉村氏、その資金を仲間で合法的に山分けすることを決め、他の国会議員・地方議員らも損をする話でもなかったので その決定に従っている。
資金の流れを見て行くと、旧国民民主系の国会議員(城井氏、稲富氏、古賀氏)はじめ 地方議員に幻滅してしまうほど低レベルな内容である。
今回はそこには触れないが、中心人物の吉村氏が行った資金移動について、明らかにしておきたい。

前述の様に 同31年4月の県議選で吉村氏は落選、県議という身分を失ったが「(旧)国民民主党」 第8区総支部(直方市、飯塚市、嘉麻市、中間市、宮若市、遠賀郡、鞍手郡、嘉穂郡)の総支部長を辞任せず 居座り続けていた。

令和2年8月19日、「(旧)国民民主党」の党本部は、解党し「(旧)立憲民主党」と合流して 新党結成を決めた。
それに応じ、同年9月末までに「(旧)国民民主党県連」はじめ 各衆院選挙区の政党支部も、政治団体の解散届を提出している。

下の図は、県が公表している「(旧)国民民主党」第8区総支部が 同年9月28日に解散届と同時に提出した収支報告書である。
収入と支出の金額が1034万9775円なので 総支部の残高は0円だが、寄附・交付金として 912万2812円を支出していることが分かる。

いったいどこに寄附したのか。
もうお察しの通り、寄附の相手先は 吉村敏男後援会だった。

福岡県公報 令和3年3月26日
第186号増刊1 [PDFファイル/2.17MB] 13頁






令和2年8月31日付で、「(旧)国民民主党第8区総支部(飯塚市若菜52-1)」から「吉村敏男後援会(飯塚市若菜52-1)」に 912万2812円の資金が移った。
同住所の建物内で右から左への資金移動、名目は 政党支部から後援会への寄附である。
寄附とは、一般的に「公共の利益のために自身の金品を差し出すこと」を指すが、私たちの知らない もっと幅広の解釈があるようだ。

吉村氏は(旧)国民民主党第8区総支部で 自身が代表 兼 会計責任者を務めていた。
自民党の国会議員のように多額のパーティー券収入がある場合は別だが、野党議員の場合、後援会活動の収入の殆どは 自己資金か政党からの寄附金で、政党からの寄附金は「政党助成金」が 元になっている。
つまり、国民の税金が原資である。


令和2年分政治資金収支報告書
福岡県公報 令和3年11月30日
第254号増刊1 [PDFファイル/1.13MB] 112頁

 自身の後援会に 912万2812円を資金異動させた翌年、令和3年分の収支報告書では、収入は前年繰越額の 857万3050円のみ、自己資金や政党からの収入はなしで、事務所費として 24万9438円を支出し 前年入金した資金から支出している。

令和3年分政治資金収支報告書
福岡県公報 令和4年11月29日
第353号増刊1 [PDFファイル/1.01MB] 104頁

同じく令和4年分の収支報告書()では、収入は前年繰越額の 832万3612円のみ、自己資金や政党からの資金移動はなしで、事務所費として 59万4610円を支出している。
翌年への繰越金は772万9002円、(旧)国民民主党から入手した金を自身の後援会の事務所経費として使い続けている。

「国民の金はわしのもの」というタイトルは、(旧)国民民主党の資金を 我が物として使っているという意味ではなく、原資が国民の税金、政党交付金を我が物にしていることを指している。

そもそも、政党が政党交付金として国からもらった資金は、その政党の政治活動に使われなければならない。
党が解散して他党に合流する決定をしたのであれば、党に残った資金は 国庫に返納するか、合流する党に移動させるのが筋だろう。

ところが、(旧)国民民主党の県連会長の吉村敏男氏は、令和2年の解散時に残った資金を国庫に返納せず、立憲民主党に持ち込むこともせず、そこにいる 国会議員(城井崇氏、稲富修二氏、古賀之士氏)と地方議員で山分けする方針を決めた。(これについては別途報じる。)
そして、自らが代表と会計責任者を務める(旧)国民民主党第8区総支部に残った資金 912万2812円を自身の後援会に移し、使い込んでいる状況だ。

この厚かましさはとても真似できるものではない。
完全に国民の感覚とずれている。

そう言えば、佐々木允県議を県議会副議長に押し上げたのも立憲民主党に入党させたのも 吉村氏と言われている。
10月11日に行われた 佐々木氏の副議長就任記念祝賀会で、佐々木氏は 吉村氏を「私が新人の頃から 県議会の有り様を教え導いて下さっている」と紹介、強固な師弟関係であることを披露した。

この言葉に全てが集約されていると思われる。
こうした人物が 立憲民主党福岡県連の顧問であり、九州の自立を考える会の副会長を務めていることから、これらの団体の信頼が低下するのを心配する声が出始めている。

県議が県道用地取得に担保提供

弊社記事「政務活動費を姻族へ、これってOK?(2023年10月12日)」では、福岡県議会の佐々木允副議長の姻族が設立した会社が土地建物を購入し、佐々木氏が県議事務所として入居、以降 家賃月額18万7000円を支払っているが、そのうち半額の 9万3500円を政務活動費から充てていると書いた。

その続編だが、資金の出所について調べたところ、県道予定地の買収にも 佐々木氏とその家族が間接的に関わっていたことが分かった。

まず 、姻族の会社は T社(仮称)という商号で、設立は平成29年5月19日とされる。
本店住所は 当初、購入した建物の住所(田川市大字伊田4510-6 佐々木県議の事務所)で登記されていたことから、佐々木氏が同社の設立に深く関与していたことが推測される。

下図は T社が購入した建物の「所有権以外の権利に関する登記事項」の写しであるが、平成29年6月23日に T社が 金融機関から融資を受けたことが分かる。
一般の我々に「根抵当権設定」というのは馴染みのない用語だが、ここでは「共同担保目録第2052号」に記載された資産を担保に設定することで 「最高2880万円を限度に金融機関から借りることができる」という意味になり、万が一 T社が破産した場合はそれらが差し押さえられることになる。

その後、6月29日受付で本店住所移転と同時に 根抵当権極度額が 7700万円に変更され、更に 9月21日付で 極度額が 9100万円に変更されている。
平成29年に設立したばかりの会社に、金融機関が 1年3ヵ月で 9100万円もの資金の融資を決めており、相応の資産が担保として差し出されたことが考えられる。



金融機関から融資を受ける代わりに T社が差し出した担保「共同担保目録 第2052号(下図)」について解説する。
まず、同目録の左の列の番号 1~5 は、平成29年6月23日に T社が土地建物(田川市大字伊田4510-6、現佐々木県議事務所)を購入した際、極度額2880万円で根抵当権が設定されているが、取得した土地建物を担保に入れている。

続いて 番号 6~7、これは 同30年6月29日、根抵当権極度額が 7700万円に変更された際に、追加で差し出された担保である。
この日、T社は 県道田川直方線延伸のルート上にある ㈱上田自動車の土地建物(田川市大字伊田3565-1)を購入しており、ここでも取得した土地建物を担保に入れている。

上田自動車の土地が 県道延伸のルート上にあることは分かっていたので、上田自動車の経営者が直接 福岡県に売却すれば良かったが、同社は経営不振で売却先を探していた。
その情報を佐々木氏がキャッチし、T社が購入することになったと推測される。
ここまでは さほど問題はなさそうだが、番号 8~22 の内訳を見ると かなり違和感を覚える。

上田自動車跡の土地建物を購入して  3ヵ月後の 9月21日、この時 根抵当権極度額が 9100万円に変更されている。
担保設定(番号 6~7)されている上田自動車跡の土地建物は、県道用地として売却するためには担保を外す必要があった。

当然、その代わりになる資産を差し出さなければならない。
そして、なぜか T社は 同日付で 佐々木氏の父親が所有する土地(番号 8~16)と母親が所有する土地(番号 17~21)を購入し、それら担保に入れている。

そしてもう一つ、T社が 佐々木氏が所有する建物(番号 22、田川市大字糒824-13)を、所有権はそのままで 担保に入れていたことが判った。



T社が購入した物件に設定された根抵当権の「共同担保目録2052号」について、簡単に整理すると下図のようになる。
T社は3回にわたり不動産を取得、個別の取り引きに見えるが、3回とも同じ金融機関の融資を受け、一つの共担目録に記載があることから 関連していることが分かる。

ある現職政治家は、政務活動費を充当している事務所の物件取得、及び県道用地取得に関する共担目録に 佐々木氏所有の建物があることが一番問題と指摘する。
T社が破産した場合、佐々木氏所有の建物は差し押さえられる。
裏を返すと、佐々木氏所有の建物がなければ、T社の不動産取得は成り立っていない。



まず、佐々木氏の県議事務所の土地建物について。
T社は 同事務所の土地建物を維持していくのに 家賃収入(月額18万7000円)を得ているが、そのうち 9万3500円は政務活動費から充当している。
平成29年8月から6年余で 少なくとも700万円の政務活動費が充当されてきた計算になるが、このおかげでT社の経営は成り立ち、佐々木氏所有の建物が差し押さえられずに済んでいるという考え方もできる。

県議会の政務活動費使途基準に反していなければいいというものではない。
原資は県民の血税、それが政治家本人や家族や身内に還流していないと言い切れるかが問われている。



次に、県道用地となる上田自動車跡の土地建物について。
佐々木氏は、田川直方線延伸整備促進期成会の顧問を務め、選挙前の討議資料にも「田川直方バイパス延伸を後押し」「第1期工事の増や工事着手に向けた予算確保に奔走。大きく予算を拡充」と地元貢献をアピールしているが、地元県議としていち早く情報収集できる立場にあった。

T社が同土地建物を取得し抵当に入れた3ヵ月後、抵当から外す代わりに、佐々木氏が所有する建物を担保に差し出した。
不動産の専門家は、「この土地が、県に売却予定で担保を抹消する必要があるというのは分かっていたはずで、金融機関と佐々木氏らとの間で 代わりの担保を差し出すことで、話がついていたと考えるのが自然」と話す。

用地を購入したのは姻族の会社(T社)だが、その担保不足を佐々木氏が補ってやった。
期成会の顧問を務める現職県議が、バイパス延伸を後押しして大きく予算を拡充し、姻族の会社の県道用地買収を資金面で手助けしたという構図である。
いったい誰のために予算確保に奔走したのか疑問がわいてくる。



この土地取引の中で、公職選挙法違反逃れがあったと指摘する声がある。

繰り返しになるが、T社の設立は平成29年5月19日、代表者の住所は糟屋郡須恵町であるが、会社設立当初、本店住所は 田川市大字伊田4510-6で登記されている。
同年6月23日、T社は 前所有者から 同住所の土地建物を取得した。
それが 現在の佐々木氏の県議事務所で、佐々木氏のブログには 同年8月に入居したと記されている。

そして、約1年経った 同30年6月1日、T社は本店住所を 田川市から須恵町の自宅に移し、そして同じ月の 6月29日に 上田自動車跡の土地建物を取得、本店移転と土地建物取得は6月29日で登記している。



T社については 上記3回の不動産以外に取得した形跡がなく、それらの物件は全て田川市内にある。
会社設立の主目的は「不動産管理」なので、本店は田川市にあった方が利便性が良いはずだ。
なぜ 土地建物を取得した日と同じ 6月29日の登記受付で、T社が6月1日に須恵町の自宅に本店移転の事実を作らなければならなかったのか。

それは、公職選挙法に抵触する可能性が高いと判断したからではないかと言われている。
法律では、選挙の有無に関わらず、政治家や政治家が関係する団体が、選挙区内の人や団体に寄附を行うことが禁止されている。
今回、T社が取得した土地建物の担保に、佐々木氏が所有する建物が差し出されているが、T社の本店住所が田川市だと 選挙区内の団体への寄附行為と見做される可能性が極めて高い。

佐々木氏がこれを回避するために、T社が急遽本店を移転することに協力したと見られても仕方がないだろう。



佐々木氏の政務活動費の支出や、県道予定地に関連して姻戚関係にある企業への担保提供について、県議会の事務局に適正かどうか尋ねてみた。
「『道義的な適否』については、政務活動費制度では特に問題とはしていない」、「当議会のルール上、(担保提供などの)行為を禁じる規定が現状では存在しないため、いいとか悪いとかは言えない」との回答だった。

昨日今日と地元紙が政治資金収支報告書の公開について、県議会からの圧力があったことを報じたばかりだ。
現在 佐々木氏は福岡県議会を代表する副議長という立場、個人だけの問題ではなく、県議会として政治倫理に対する姿勢が問われている。

以前も紹介したが、あらためて 佐々木氏のチラシ(平成31年4月の県議選前に配布された討議資料)を読んでみたい。

「県議会議員には多くの権限があり、発言や行動は、地域に大きな影響を与えます。政務活動費の不正や 汚職事件、そして不誠実な態度は、政治の不信と疑念を増幅させています。」とある。
県議会議員に多くの「権限」があるかどうかは別として、県政の情報をいち早く取得できたり、県の幹部や職員に要望を直接伝えられる立場にあるのは事実だ。



このチラシ配布時には 一連の不動産取り引きや担保設定は終わっていたので、ここまで堂々と書けるということは、やましいことをしたという意識はないものと想像する。
この連載では、T社の土地売買の登記情報を元に客観的に報じてきたつもりだが、佐々木氏の言い分もあるだろう。

今後は 佐々木氏が、
・T社が 法の抜け道のためのペーパー会社ではないこと
・政務活動費が姻戚関係者に還流していないと言い切れるか
・県道予定地の取得と自身の建物を担保に提供したのは無関係であること
・T社の本店移転が公職選挙法違反を逃れるためではなかったこと
などを 集会やブログ等で有権者と県民を説明し、政治倫理上 問題がないと納得させられたらそれで良いだろう。

説明責任を果たさなければ、佐々木氏がチラシで述べているように「不誠実な態度」と取られ、県議会や立憲民主党に対して「不信と疑念が増幅」し、火の粉が飛ぶことになるだろう。
佐々木氏におかれては、「利権や自己の利益に執着した政治ではなく、清潔で誠実な政治をつむいでいくことの大切さ」を示して頂けるものと期待している。

ー ひとまず 了 ー

地元で話題、後藤寺交番の移転先

何かと話題に事欠かない田川市であるが、二場前市長時代の令和元年よりJR田川後藤寺駅前の再整備が検討されている。
現在の駅前はバスの乗り入れができず利便性に欠けるほか、近隣には老朽化しシャッターが閉まった商店や空家が密集しており暗いイメージが拭えない。

田川再生の核になり得る計画であるが、市は着工に至る3条件を設定しその全てを満たさないと事業に着手しないとしている。
それは
1. 整備により市の財政状況がひっ迫する恐れが生じないとの見通しが立つこと
2. 駅前広場の拡大に伴い、移転となる全ての関係家屋の協力が確認できること
3. 県道後藤寺停車場線の拡幅整備の協力が得られること
の3つで、いずれもかなりハードルが高いが クリアしてほしいものだ。

検討されている案のうち、駅前広場を最大に配置する案のイメージパースが下の図である。
西側には緑のスペースもあって明るくなることが想像され、これを見た市民の皆さんの期待は膨らむことだろう。



下図は広場最大案の見取り図、現在 店舗等が建っている箇所を買収して整備することになっており、駅のすぐ前にある 後藤寺交番が道路を渡ったところに移転することが確認できる。



今一つイメージが湧かないという方のために、現在の地図に 整備後の道路(青線)を重ねてみたのが下図である。
県道後藤寺停車場線の東側(線路側)が急カーブなので、整備後はなだらかにする配慮がされており、ピンクで示した建物も市が買収し 拡幅することとなっており、そこに後藤寺交番が移転するという案である。
市によると、警察に整備後の見取図の中で移転先として希望する場所を尋ねたところ、マークされている箇所が最適という回答があったという。
県道に面し 東西へ出動しやすい最適な場所と言えよう。



地元で話題になっているのがその移転先だ。
かつて小児科のクリニックがあった建物だが、現在は空店舗となっており 窓には佐々木允県議のポスターが貼られている。
調べてみたところ、この建物の所有者は 社会福祉法人猪位金福祉会(佐々木陽子理事長、※佐々木県議が顧問)となっていたので、ポスターが貼られている理由は分かった。

経営難だった建物の所有者である医療法人が、田川郡糸田町で併営していた介護老人保健施設を昨年9月に猪位金福祉会に譲渡した際、同建物も贈与されたという。
現在は賃貸物件として 月額19万8000円の家賃で テナント募集中だが、商店街はシャッター通りで 建物も老朽化、3階建で使い勝手が悪いことから、この金額で借り手はないと言われている。

「二場前市長が検討を始め、県議が顧問を務める社会福祉法人が譲渡された建物に 県道の拡幅が掛かった」という経緯に地元では憶測が広がっているが、「偶然、運がいいだけ」という見方が多いようだ。

後藤寺駅前の再生は喫緊の課題で、小学生のアイデアも採り入れ、市民参画で練り上げてきた整備計画、田川市の未来のために 是非とも前に進めてほしいのだが。

立憲県連代表が欠席

近頃 立憲民主党に入党した佐々木允県議の第86代福岡県議会副議長就任祝賀会が11日、市内のホテルで盛大に執り行われた。
原口剣生自民党県連会長はじめ、県議会各会派の代表、県の幹部職員も多数参加、また地元田川市からは約200名が駆け付け、副議長就任を祝福した。

ある政治家が挨拶の中で、「九州の県議会の中で、特に自民会派が過半数を占める福岡で、民主系会派の県議が副議長に就くのは 普通ではあり得ないこと、そこには『高度な政治的判断』があった」と述べた。
佐々木氏本人も 「近畿・中四国を含め 西日本の地域で、民主系会派から選ばれた唯一の副議長」と表現した。

確かに、「民主系(昨年まで社民党)」「3期目」「42歳」と 副議長になるには不利な条件が揃っているにも拘わらず、並み居る自民会派の県議や 期数の多い県議を押しのけて副議長に就くというのは不自然だ。
この人事を快く思わない者が相当数いることが想像されるが、不利な条件を覆すだけの「高度な理由」があってのことだろう。

さて、この有り難い人事にさぞや 立憲の政治家は喜んでいると思いきや、今一つ お祝いムードが伝わって来なかった。
というのも、福岡県内の国会議員5人のうち、本人が姿を見せたのは稲富修二衆院議員だけ、それも短時間いただけで 会場を後にしたからだ。
3人の国会議員は秘書が代理出席、そして肝心要の党県連代表 城井崇衆院議員は 代理出席すら出さない「欠席」だった。

自民党県連の幹部らがはるばる遠方から出席していたのとは対照的で、マスコミ関係者には 佐々木氏の立憲入党が歓迎されていないと映ったようだ。

政務活動費を姻族へ、これってOK?

政治とカネの問題は多岐にわたるが、法を犯しているものと、法は守っているが道義的にどうかというものに分かれる。
今回紹介する佐々木允県議会副議長のケースは、法を犯している訳ではないが 首を傾げたくなるケースなので、同義的に許されるかどうか判断を仰ぎたい。

まず下の図、これは 福岡県が公開している政治資金報告書(平成30年分)から抜粋したもので、「佐々木まこと連合後援会」の収支の内訳である。
収入の7割程度が寄附によるもので、佐々木県議本人が 270万円を寄附している。

興味深いのは、介護事業を行う両親が 個人名義でそれぞれ150万円を寄付していること、田川地区で 年間300万円を政治家に寄附できる世帯がどれくらいあるだろう。
更に、県内各地で介護施設を運営している会社経営の兄も150万円を寄附している。
実に羨ましい一家である。

ちなみに、父親は 現在 田川市社会福祉協議会の理事長、 母親は 田川地区の約300の介護施設が加入させられている「田川地区介護サービス事業所協議会」の理事長を務め、夫婦で介護関連の主要ポストに就いている。
選挙前には 母親が、同協議会から理事長名で、 二場公人市長と 息子の佐々木允県議を推薦する文書を会員に送付していた。

弊社記事 →  政治と介護施設の深い関係 ③ (2023年6月23日)



さて本題だが、支出の内訳を見ると 佐々木県議が事務所費として 237万0890円を支払ったことが分かる。
家賃は月額18万7000円、所在地は田川市大字伊田、鉄筋コンクリート造、地下1階付2階建の建物で、これほど立派な政治家の事務所を県内で見たことがない。

建物の貸主はT社(本社 粕屋郡須恵町 代表者A氏)、不動産賃貸業を主目的に平成29年5月19日に設立された会社である。
T社は同年6月 同物件を前所有者から購入、その際 銀行から融資をしてもらい、同年8月、佐々木県議が賃貸契約を結び入居している。

平成29年5月 T社設立
→ 6月 T社が物件購入
→ 8月 佐々木県議入居

この流れから、佐々木県議が田川市内に気に入った空物件があったので、須恵町のA氏に不動産賃貸業の会社設立・物件購入をしてもらい、その後入居したことが想像される。
そのA氏について調べて行くと面白いことが分ってきた。



佐々木県議事務所の貸主A氏は、平成17年8月に 介護施設の運営を目的にS社を設立し、須恵町内でデイサービス施設(定員33人)を運営しており 地域の評判は良い。
ほぼ同時期に佐々木県議の実兄が、介護施設の運営等を目的に法人を設立し県内各地で事業展開を行い成功を収めているが、それとは対照的にA氏は 事業を拡大する方ではなかったようだ。

転機が訪れたのは 同29年、佐々木県議事務所の賃貸を皮切りに不動産関連の業務を開始し、同30年6月には 県道田川直方バイパス延伸に掛かった自動車販売会社を買収し県に売却、法人所在地は須恵町だが田川地区のインフラ整備に貢献している。
同年9月には 佐々木県議が所有する田川市糒の土地建物を担保に、A氏が銀行から借り入れを起こしており、2人が強い信頼関係で結ばれていることが窺えた。

A氏と佐々木県議の実兄が同時期に介護事業を始めていたので調べてみると、S社の役員に実兄の奥様が就いており、その後の取材でA氏と佐々木県議が姻族関係ということが判った。



佐々木県議がT社に家賃月額18万7000円を支払っていると書いたが、そのうちの半分の 9万3500円は 政務活動費から支出している。
平成29年8月の入居以来、約6年間の合計は約700万円に達する計算になる。

県議会の政務活動費使途基準によると、2親等以内の親族が所有する事務所の家賃に政務活動費を充当することは認められていない。
その趣旨は「近親者への政務活動費の還流禁止」と解していいだろう。

佐々木県議の場合、良い空物件があったが2親等以内の両親や兄が物件を購入しても入居できないので、A氏に会社設立と物件購入を依頼したと疑われても仕方がない。
確かに法律や政務活動費使途基準には違反していないかもしれないが、原資が県民の税金である政務活動費が佐々木県議の姻族の資産形成に寄与していることになる。

これを知る議会関係者からは、「脱法行為」「マネロン」「姑息」「道義的に問題」という声が上がっている。
このケース、法を犯している訳ではないが同義的に許されるかどうか、皆さんはどう思いますか。

そう言えば、佐々木県議のチラシに「政務活動費の不正や汚職事件、そして不誠実な態度は、政治の不信と疑念を増幅させています」とある。
もう何を信じていいのかさっぱり分からなくなってきた。

親族への賃料支払い ~報じられた閣僚のケース~

最近、岸田新内閣の閣僚らが親族に賃料を支払っていたことを問題視する報道が相次いでいる。
親族への支払いは「政治資金」の還流が疑われるとして疑問視する声があるという。
本稿では、閣僚らの他の疑惑は置いておいて、親族への賃料支払いの件について考えてみたい。

まず、政治家が 親族所有の事務所を借りることそのものに問題はない。

松村祥史国家公安委員長の場合、「自民党熊本県参議院選挙区第1支部」が、2018年1月~20年6月に月額3万円、2020年7月~21年12月に月額5万円を 兄が代表取締役を務める建設会社に支払っていたとされる。
その建設会社とは 熊本県人吉市に本社を置く建設会社と思われるが、年商70億円の企業であり、月額5万円の微々たる家賃は逆に不要だろう。
ただで借りる訳にはいかないので 月額5万円を支払っていると思われ、そのことを取り上げる方がおかしいのでは。

また、加藤鮎子こども政策担当相の場合は、政治資金団体「加藤鮎子地域政策研究会」が事務所の家賃として、少なくとも2018年~21年に月額15万円を母親個人に支出していた。
月額15万円が相場より高いかどうかだが、もともと 元官房長官の奥様が 15万円を必要としていたかも疑問で、そこまで目くじらを立てる必要があるとも思えない。

弊社の見解は ここに関しては 2人ともセーフ、親族への政治資金の還流というほど大袈裟な話ではない。

昨年8月の内閣改造後、寺田稔総務相と秋葉賢也復興相の関連政治団体が親族に対し、事務所の賃料を支払っていたことも問題視された。
2人は他にも疑惑があったことで辞任に追い込まれたが、「政治とカネ」の問題として、追求の矛先を向け 厳しく追及したのは 他でもない立憲民主党の議員だった。

次回は、先頃その立憲民主党に入党を許された 県議会副議長のケースについて紹介したい。

- 続 く -

副議長就任祝賀会、でも地元はカンカン

自称「清潔な政治家」佐々木允県議会副議長、10月11日には市内のホテルで副議長就任祝賀会が予定されている。
代表発起人を務めるのは、吉村敏男立憲民主党県連顧問と岩元一儀県議会民主県政クラブ県議団会長の2人だ。

吉村氏と言えば、2017年11月から2019年4月の選挙で落選するまで 民進党・旧国民民主党の県連会長を歴任、落選後も 同県連が解散する2020年9月まで 福岡県第8区総支部の代表に居座ったドンとして知られる。

強権的な手法に県連内部での評判は最悪だった。
その吉村氏が、今も立憲民主党県連の顧問という肩書と知り、驚くと同時に佐々木氏とは繋がるべくして繋がっていたので妙に納得してしまった。

ところでその佐々木氏、立憲民主党への入党がほぼ決まったという話が入ってきた。
国会議員らは内心反対だったようだが、ドンの後ろ盾があり 誰も文句を言えなかった様だ。
旧国民民主党の国会議員がドンの言いなりになっている理由は後日報じたい。

今年4月の統一地方選前の昨年11月、佐々木氏はお世話になった古巣の社民党に離党届を提出、その際「(県議選を)県民党で闘いたい」という理由を述べたそうだが、県議選は無投票で当選し、その頃から既に 立憲入りの動きを見せていたという。
おまけに 市長選では村上卓哉候補ではなく、社民党や立憲民主党の田川市議らを吊るし上げてきた永原譲二町長の義弟の二場公人候補を公然と応援した。

社民党市議はもちろん、 元立憲田川支部代表を務めた前市議もバイオマス発電から続く佐々木氏の裏切りに怒りを隠さない。
社民党田川支部では今年8月、佐々木氏を「離党」ではなく「除名」相当として県連に伝えている。

地元での評判をよそに佐々木氏の立憲入り、この先 黒い話が何も出て来なければよいが…。
まずは副議長就任祝賀会、会費1万円、多数の方が参加して盛会に開催されることを祈念している。

政治と介護施設の深い関係 ⑬

介護サービスに従事しておられる方は 日々の業務に真剣に取り組んでおられる。
問題は 介護事業を政治に利用する政治屋、そして それに協力する経営者、中には政治屋自身が介護事業の経営者のケースもある。

地方議員やその家族が社会福祉法人の理事長を務めているケースは多い。
そこでは、特別養護老人ホームほか、デイ・サービス、訪問看護ほか様々な介護サービスを行うほか、法人によっては 障害者福祉まで手を広げているケースも。

そこで雇用されている人、サービス利用者、そして その家族まで含めると相当数に上る。
これだけで、選挙の際、他の候補者に比べ アドバンテージがあるかお分かりだろう。
だからこそ、介護を政治に利用していると誤解されないよう、議員活動と介護事業との線引きを明確にするべきではなかろうか。



永原町長の凄いところは、福岡県介護保険広域連合のトップになり事実上の許認可権を掌握し、政治利用の仕組みを確立させたことと言われている。
広域連合に加入している33自治体では、永原連合長(町長)が判を押さなければ、新たに介護サービスを始めることはできない。

今でこそ永原町長と歩調を合わせている佐々木県議であるが、関係者によると、県議なりたての頃は反永原だったが、両親が介護施設を経営しているため どうしても敵に回せなくなった事情があるようだ。
そこで止まってくれていれば良かったがそうはいかなかった。

既報の通り、永原町長の肝煎りで発足した任意団体「田川地区介護サービス事業所協議会」の会長に佐々木県議の母親が就き、昨年12月には 会長名で「次期選挙で 二場公人市長と佐々木允県議を推薦する」旨の文書を会員に送付している。

更に、田川市長選の最中、佐々木県議の兄が経営する有料老人ホームの不在者投票の当日、現職の二場公人候補が訪ねて来て挨拶を行った上、法定ビラではなく後援会チラシを配布するという、2重の選挙違反を行っていた。
選挙違反を承知で訪ねてきた二場氏が一番悪いが、それを許した施設の経営者も同罪と言えるだろう。

結局、佐々木県議の家族が 介護事業を政治利用していたことに他ならない。
親分からの指示があったかどうかはともかく、それぞれの責任で行っており同乗の余地はない。
ここまで来ると、母親が経営する施設でも同様の不正はなかったかとか、不在者投票が法令を遵守して行なわれているかなど様々な疑問が湧いてくる。

佐々木県議のケースは、議員活動と介護事業との線引きを明確にしていない わかりやすい一例である。

ー 続 く ー


陸田議長が経営する介護施設に掲示された看板

政治と介護施設の深い関係 ⑫

これまで 福岡県介護保険広域連合の資料を元に、田川地区の自治体の認定率が高いこと、1人当りの給付費が多いことなどを書いてきた。

ただ、政治と介護施設の深い関係 ⑩ (2023年7月24)の記事における「介護認定が他自治体と比較して緩い」という表現について、関係者の方からメールで次のようなご意見を頂いた。

現在、田川地区で介護保険の認定調査を行っているのは、介護保険施設所属のケアマネジャーではなく 全て福岡県介護保険広域連合の認定調査員である。
永原連合長の部下あることに変わりはないが忖度するという事は全くない、また、認定までの手続きの中で 個人を特定して永原氏の意向が反映されることは決してない。

表現には気を付けないといけないと改めて反省させられた。
現場の職員の皆さんは日々真剣に業務に励み、介護サービス利用者のために汗して働いておられ、誤解を招く表現があったかもしれない。
数字だけを並べるにとどめ、こちらのコメントは控えるべきだった。

今回は、広域連合の資料より、事業所(地域密着型サービス)、及び 特養を含む施設サービスの内訳を紹介したい。
まず、事業所(地域密着型サービス)数の合計を 第1号被保険者数で除した割合の平均は0.13%であるが、大任町が 0.49%で1位、10位以内に 糸田町を除く田川地区の7自治体がランクインしている。

また、施設サービス数の合計を第1号被保険者数で除した割合の平均は4.19%、大任町が1位で13.71%、10位以内に 糸田町(3位)、赤村(4位)、福智町(5位)が入っている。
弊社記事、政治と介護施設の深い関係 ⑥⑦⑧⑨で これらの自治体の特養の数が全国平均・県平均よりかなり多いことを書いたが、それを裏づけるものだ。

大任町は、認定率、不能欠損の割合、事業所の割合、施設サービスの割合で 1位を獲得、4冠達成である。

- 続 く -

政治と介護施設の深い関係 ⑪

福岡県介護保険広域連合の事業報告書についての解説の続き。

まず、給付状況。
令和4年度に広域連合から33市町村に支出した介護給付費と、それを第1号被保険者数(65歳以上)で除した 1人当りの金額の一覧で、1人当りの金額が多いほど介護サービスが充実していることを意味する。

1人当りの給付費の平均は 22万6358円、多い順に 1位 東峰村、2位 赤村となっているが、これについては医療機関が少ない過疎の村という地域性もあり、介護サービスがあれば 頼りがちになるという。
医療機関が少ない分だけ公的医療費の支出も少ないので、介護給付費だけで単純に比較できないという識者の意見もある。


ただ、1人当りの給付費の多い順の10位以内に 田川地区6自治体がランクインしており、他の地域と比較して田川地区の介護サービスが手厚いというのは事実だろう。

次に収納状況。
表右側のブルーの列は、介護保険料の普通徴収(口座振替または納付書で納める方法)の令和4年度分の収納率を 収納率の低い方から順位を付けたもので、自治体としては不名誉なことと言える。

興味深いのが、不能欠損額を第1号被保険者数(65歳以上)で除した 1人当りの金額だ。
不能欠損とは、自治体がが滞納分の徴収金が徴収できなくなったとして調停金額を消滅させること、分かりやすく言うと、自治体が請求を止め 滞納者は支払いを免除される。

令和4年度分でざっくりと試算したところ、33自治体平均で 年間1人当りの介護保険料 が 6万0916円で 不能欠損額は 437円、大任町の場合 年間7万0076円で不能欠損額が1037円だった。
大任町は 介護保険の認定率と1人当りの不能欠損額が1位、つまり 33自治体の中で 認定が最も緩く取り立ても甘い自治体ということになる。



- 続 く -

政治と介護施設の深い関係 ⑩

今月初旬、県内33自治体が加入する福岡県介護保険広域連合(連合長 永原譲二大任町長)の会合で、事業状況報告書(令和4年度末)が配布された。
同報告書を読み解くと、いかに田川地区の介護サービスが過剰かが分かる。

犯罪に近いレベルという識者の声もあり、40歳以上の高額な介護保険料を真面目に支払っている田川地区の皆さんには、この事実をぜひ知って頂きたい。
弊社記事 → 自治体ごとに違う介護保険料
合わせて、33自治体の地方議員や職員の皆さん、県税を投入している県議や県職員の皆さんにも問題を共有したい。

同報告書には、市町村別に、認定状況・給付状況・収納状況・事業所数について 詳細なデータが記載されている。
各自治体で人口や高齢化率が異なり分かりにくい部分もあるので、弊社で判りやすいよう、① サービスの数量を第1号被保険者数(介護保険の対象となる65歳以上人口)で除して比較できるようにし、② その数量ごとに順位を付けた。 

まず、要介護(要支援)の認定率から説明する。
認定率は、各自治体ごとに第1号認定者数(要介護の認定を受けた方の人数)を第1号被保険者数(介護保険の対象となる65歳以上人口)を除して表したもので、広域連合33自治体の平均認定率は 18.18%、全国の平均が令和4年度で 18.6%とされている。

33自治体のうち、認定率が高い方から10位以内に 田川地区8自治体の全てがランクイン、中でも大任町が 26.11%で1位だった。
高齢化率が高いところと必ずしもリンクしている訳ではなく、東峰村は高齢化率が46.8%と最も高いにも拘わらず、認定率は18.24%で平均並み、ちなみに大任町の高齢化率は37.5%だった。

認定率が高いというのは、「介護認定」が 他自治体と比較して緩いと理解することができる。
介護サービスを受ける方の家族にとっては、要介護度の重い方に認定されれば個人負担が少なくて済むので、介護認定調査は緩い程ありがたいが、一方で 緩いと介護報酬が増え、40歳以上が支払う介護保険料に跳ね返ってくるので、認定調査も厳格な基準で行われているはずだ。

介護認定調査は一般的に、自治体職員(認定調査員)か自治体が委託した指定居宅介護支援事業者または介護保険施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型医療施設、介護医療院)に所属するケアマネージャーが行う。

介護事業に詳しい関係者は「大任町の人口は5000人、みんなの顔が見え、それは有権者でもあります。認定調査をする町職員は永原町長の部下、ケアマネージャーも永原町長の家族が経営する施設に所属していれば、そりゃ選挙のことを考えると緩くなって当然です」と話す。

他にも要因はあるかもしれないが、複数の市議や県議が介護サービス事業に関わっている田川市も 22.53%と高いので、全く無関係とは言えないだろう。



ー 続 く ー

政治と介護施設の深い関係 ⑨

福智町で 60床の特養の新設が許されたのは、今年4月に設立された「社会福祉法人 政芳会」である。
同法人は福智町伊方で建設業を営む㈱スズキのオーナーが設立したものだが、理事に田川市議会の今村寿人市議、評議員に大任町の永原町長の娘婿で ㈲ 譲の代表者、宮田芳政氏の名前があった。

このコンビは 田川市の「社会福祉法人 里ごころ」の役員・評議員の名簿にも見られる。
更に「里ごころ」の監事には 永原町長の長男で ㈱鷹羽建設代表の永原譲太郎氏が名前を連ねている。
このことから、政芳会は 永原町長のグループと見て間違いないだろう。

ちなみに、「里ごころ」は今村市議が理事で永原譲太郎氏が監事、一方、大任町の社会福祉法人「よろこび」は永原譲太郎氏が理事長で今村市議が監事に就いている。
監事は「理事の職務の執行や法人の業務及び財産の状況について、独立性をもって監査できる常設機関」であるはずだが、隣町の社会福祉法人の理事がお互いに監事を務めて監査ができるのだろうか。



実は、政芳会を設立した鈴木氏は、9年前から特別養護老人ホームの新設を要望し、町を通じ介護保険者である広域連合(永原連合長)に意向を伝えていたが 同意されなかったという。
最も介護報酬の高い特養新設のハードルは高い上、福智町の特養の定員は多いので、広域連合が同意しないのはある意味当然だろう。

しかし地元では、平成31年4月の田川市長選挙をきっかけに 一転 認められたとの話が まことしやかに囁かれている。
もともと 鈴木氏は反永原・二場の元田川市議だった高瀬春美氏と関係が近かった。
市長選に高瀬氏が出馬、現職の二場市長との一騎打ちとなったが、当時二場氏側にかなりの危機感があった。
「『二場市長を支持すれば特養の設置を認める』という人参がぶら下げられ、鈴木氏が食いついて 高瀬氏との関係を断ち切り、そこからトントン拍子に話が進んだというのだ。
これが事実ならとんでもない話である。

選挙の翌年の令和2年3月、60床の特養の新設要望が 鈴木氏から町経由で広域連合に提出され、広域連合が同意し福岡県に上げている。
保険者である広域連合が同意したことで県も認め、同3年3月に策定した「第9次高齢者保健福祉計画」の中に、田川地区(福智町)に特養60床を整備することが盛り込まれた。

県の計画に載ったことを受け、同年10月に福智町が特養の事業者を公募、応募者は鈴木氏のグループのみ、町が審査した結果、同グループに決定し、町は意見書を添えて県に提出、県が設置を許可した。

前回の記事で書いた通り、福智町が特養を60床増やす理由は 無理筋なだけに、噂が本当の様な気がしてならない。

ー 続 く ー

政治と介護施設の深い関係 ⑧

福智町における現在の特養は下表の通りである。
同町は平成18年に 金田町・方城町・赤池町が合併した自治体で、高齢者人口に対する割合が5.0%と 田川地区では大任町・赤村・糸田町に次ぐ高い割合になっている。



ちなみに、平成29年2月1日に 特養「ユニットケア慶寿園」が30人定員を増やしているが、平成27年3月に策定された福智町高齢者福祉計画によると、「町には特養が340床あるが町外利用者が228床を占め満床状態で飽和状態」ということが理由として挙げられている。
これが理由になるのだろうか。



計画通り、平成29年2月1日に30床増床して これで間に合ったはずだが、福岡県のホームページを閲覧していて、令和6年3月予定で 60床の特別養護老人ホームが新設されることが分かった。



なぜ 更に60床増やす必要があるのか。
その根拠は 令和3年3月策定の 第1次福智町地域福祉総合計画に書かれていた。
計画(下図)には、利用者数は平成30年度の147人から減少し 計画期間の3年間は136人から増えないという見込みを記した表と、「町には370床あり入所率95%、町内の利用者は136人で残りの217人は他市町村の住民、安定した住まいの確保の観点から整備を進める」という説明がある。

この説明は矛盾する。
計画期間内の見込みは136人から増えないので、60床も増やす理由にならない。
また、町内に370床あるが町内の利用者が136人なので増やすという理屈は、平成27年度の福智町高齢者福祉計画の説明と同じ、これがまかり通るなら 次もその次も増床することができる。
作るなら むしろ他の市町村ではなかろうか。

次回は 新たな特養を運営する社会福祉法人について見ていく。
理事や評議員には見覚えのある名前が。

ー 続 く ー

政治と介護施設の深い関係 ⑦

大任町は期待を裏切らない。
高齢者人口に対する特養の割合は、なんと 11.8%、県平均の 1.5%を突き抜けていた。
そして、定員 210人のうち半分以上が 永原町長の親族が経営する施設ということが判った。

永原町長が 介護保険連合の連合長に就任したのが平成25年4月、その1年後の同26年4月に グッドライフの定員が50人増え、さらに同30年3月には 新規の社会福祉法人よろこびを設立して60人増えている。

グッドライフを経営している 社会福祉法人鷹羽会の現理事長は 町長の妻(二場前市長の姉)だが、平成29年の定款では町長自身が理事長、二場氏やその父親が理事に名前を連ねていたことが確認できる。
また、社会福祉法人 よろこびは町長の長男が理事長、平成30年の設立時の理事に現職大任町の町議2名、監査に田川市の今村寿人市議が名前を連ねていた。

そもそも これら介護施設の運営には、国・県そして町の予算も投入されており、町長はもちろん、議員も適正に税金が使われているか監視する立場にある。
町長や議員が 町長の家族が経営する特養を公平公正に監視できるのか。



特養は 介護報酬の最も高いもので、作れば作るだけ介護報酬も税金投入も多くなる。
増えすぎないように許認可権を持つ県の審査は厳しいと言われているが、大任町には当てはまらない様だ。

特養が作られていくスキームを大任町のケースで見ていくと、

1)事業者(親族)が開設を希望する
2)町(永原町長)が入所者数の目標を立て、介護保険者である 広域連合(永原連合長)に上げ、そこで 同意が得られれば 県に上げられる
3)県は介護福祉計画に 計画期間内の大任町の定員増見込み数を織り込む
4)県が計画を策定し公表すれば、町(永原町長)が社会福祉法人を公募する
5)公募に応じた事業者(親族)を町(永原町長)が審査、決定したら 意見書を添えて県に提出、県は広域連合(永原連合長)の同意が出ているため認可する

という流れになっている。

事業者(親族)と 事業者を選考する者(町)、介護報酬を支払う保険者(広域連合)が同一という利益相反が まかり通っている。

法的な手続きそのものには問題がないかもしれないが、総量規制を行っているはずの県の審査にも疑問が残る。
忖度があったか、それとも何か圧力があったか。

次回は田川地区の最後、妙な計画が進行中の福智町について。



ー 続 く ー

政治と介護施設の深い関係 ⑥

都道府県が認可する「特別養護老人ホーム(以下特養)」は、利用者の費用負担が少なく入所待ちが数年に及ぶこともある。
特にこれらは運営コストが高く 介護報酬に直結するため、許認可権を持つ都道府県が総量規制を行っている。

設置主体は 地方自治体以外では社会福祉法人に限定され、指定されるには 保険者(介護保険事業の運営主体)である市町村、または 広域連合に加入している場合はその同意が必要で、都道府県は指定を拒否することもできる。
つまり、広域連合(永原連合長)の同意がなければ 特養を新設することはできない。
開設するためのハードルが高いということを まず頭に入れておく必要がある。

さて、福岡県内の施設一覧が県のホームページで公表されており、それを元に、田川地区の市町村ごとに 法人名・入所定員・開設(認可)年月日を時系列で表にした。
介護施設・サービス事業所 統計情報

また、高齢者人口(65歳以上)に対する 入所定員の割合を付したので ご注目頂きたい。

まず、田川市・川崎町・香春町・添田町、これらの自治体では 高齢者人口(65歳以上)に対する 入所定員の割合は 1.7~4.0 %となっている。
全国平均、福岡県の平均が共に 1.5% なので、若干 高めというふうに捉えることができる。



赤村、ここは平成26年1月1日に特養「ホームサミック(50床)」の開設が認可されたことで、割合が4.6%から 10.9%に上がった。
ちなみに 社会福祉法人サミックは、令和4年8月に 飯塚市で特別養護老人ホーム(80床)の認可も受けている。



糸田町では、元々高齢者人口に対する入所定員の割合が高めだったところに 平成26年5月1日にサンハイム豊寿園が認可されたことで 6.4%に上がった。
ちなみに、天馬福祉会は 町議会の井手元正人議長の親族が理事長を務めている。


赤村と糸田町では 入所者数が 国・県の平均をかなり上回っていることが判った。
次回は、あの大任町について。

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政治と介護施設の深い関係 ⑤

福岡県介護保険広域連合には 県内33の自治体が参加しているが、自治体ごとに介護サービスの量が異なり介護報酬にかなりの差がある。
これを一括りで平均して介護保険料を算出すると 介護報酬の低い自治体から不満が出るので、介護報酬によって A・B・C 3つのグループに分け、それぞれのグループの平均で介護保険料を決定している。

下表は、広域連合が公表している 「高齢者一人当たり給付費 市町村ごとの詳細」に、 令和5年4月現在の高齢化率とその順位を付け加えたものである。
最も介護保険料が最も高いAグループを見てみよう。
東峰村・赤村・川崎町・大任町・小竹町・宮若市・福智町・糸田町の順に 高齢者一人当たりの給付費が高い、つまり サービスが充実していて介護報酬が他の自治体より多く支払われていることになる。

問題はここからだ。
東峰村・赤村・小竹町は高齢化率が高く、高齢者一人当たりの介護給付費も高いので理解できるが、他の自治体を見ていくと 必ずしも 自治体の高齢化率の順位と高齢者一人当たりの介護給付費が一致していないことが分かる。

例えば、宮若市は高齢化率16位と中位に位置するが 高齢者一人当たり給付費は6位と高くAグループに入り、つまり 平均以上の介護サービスが行われているということになる。
また、築上町を見ると、高齢化率は8位と上位だが 高齢者一人当たり給付費は19位と平均以下に抑えていることが分かる。

一般的に、都市部で自治体に病院など医療機関が充実していれば介護施設は比較的少ないが、一方で 過疎地で病院が少ないところでは 介護施設が必要とされる傾向にあると言われている。
しかし、それだけではない。
首長が 雇用創出という視点から 積極的に介護サービスを充実させ、介護施設を増やす場合もあるという。

地域にそうした事情があるのは理解できるが、介護サービスを拡充すればその分 お住まいの方の介護保険料は上がるし、国・県の負担(原資は税金)も大きくなっていくことも忘れてはならない。

さて、上表のピンクの網掛けが田川地区の市町村である。
詳しく見ていくと 興味深い事実が分ってきた。

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政治と介護施設の深い関係 ④

満40歳になると徴収される介護保険料は、自治体によって異なることをご存じだろうか。
その差は 最大で 月額 2389円、年額にすると2万8668円になり、関係自治体にお住まいの方にとって 気になる金額では。
筆者も田川地区の介護施設について取材をしていく中で、いろいろと気づかされたが、政治と介護施設が密接に結びつき、介護保険料に影響していることが分ってきた。



この表のうち、Aグループ(8市町村)、Bグループ(17市町)、Cグループ(8市町)の計 33自治体は「福岡県介護保険広域連合」に加入、同組織では介護保険事業を効率的かつ効果的に遂行するため 平成11年に設立された特別地方公共団体で、生活圏域ごとに設置した8つの支部で構成され、市町村と事務を分担しながら運営を行っている。

事業者が特別養護老人ホームや軽費老人ホーム等の施設を開設したい場合は県の認可が必要となる。
手順は、まず要望書を市町村に提出、市町村が必要と認める場合は意見書を添えて県に申請、県の審査を通ればスタートという流れだが、上記の広域連合に加入している自治体の場合は介護保険料に直接影響が出るため、市町村からまず広域連合に書類が届き、広域連合が認めないと県に上がらない仕組みになっているという。

そういう意味では、広域連合が実質的な認可の権限を持っていると言ってよいだろう。
現在、連合長は あの永原譲二大任町町長、平成25年に就任し 10年間 広域連合加入自治体の高齢者福祉サービス向上のために汗をかいてきた。
現在3期目、任期はあと2年残っている。

ー 続 く ー

政治と介護施設の深い関係 ③

田川地区には 介護サービスの向上のため研修等を目的として結成された「田川地区介護サービス事業所協議会」という任意団体がある。
福岡県介護保険広域連合(33自治体で構成)の組合長を務める永原譲二町長(大任町)の肝煎りで始まったとされ、 約300の介護事業所が加入する、県内他の地区には見られない珍しい団体だ。

同協議会の会長は 佐々木陽子氏、介護福祉施設「暖家の丘」を運営する社会福祉法人猪位金福祉会の理事長で、県議会副議長 佐々木允氏の母親として知られる。

公式サイトはこちら

ところがこの協議会、サービス向上のための先駆的な取組みをする団体として尊重したいところだが、一方で政治利用されているという話もある。
会員からは「年会費10000円も支払う価値がない」、「研修に出たこともない」など、会の意義を否定する不満の声が多く聞こえて来る。
そればかりか、「監査が来ると脅かされて仕方なく入っている」という事業所も。
結成された平成27年当時、未加入だった施設に広域連合が不定期な監査に入ったという噂が広がり、加入した事業所が多いという。

問題は 昨年12月1日付で各事業所に送られてきた通知で、二場公人田川市長と佐々木允県議から 統一地方選挙の推薦願が提出され、理事会で協議し推薦を決定したという内容だ。
母親が息子の推薦決定のお知らせをするところが笑えるが、それはさておき、やはり政治利用という指摘は間違っていないのではなかろうか。


田川地区において 介護施設は貴重な雇用の受け皿であり、大小各事業所には相当数の従業員が働いている。
協議会から特定の政治家の推薦を決定したという通知が来れば、各事業所も従業員にそれを伝えることになるだろう。

4月10日付の通知(下図)は、佐々木県議の無投票当選のお知らせに加え、二場市長の後援会への協力を各事業所にお願いする内容だ。
加入している事業所が300以上、この影響は計り知れない。
従業員に周知されれば、入所者や利用者に伝わっていくことも考えられる。


介護サービス事業所を選挙に結びつける仕組みを発案し実現させた人物の手腕に、あらためて感服させられた。


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政治と介護施設の深い関係 ②

表の解説の続き。

不在者投票で、気になるのは 指定施設で公平公正な投票が行われるかどうか。
公選法には不在者投票の「公正な実施の確保に努める努力規定」が設けらており、総務省は 指定施設等で行われる不在者投票について、「選挙管理委員会が選定した立会人」を立ち会わせる取り組みを積極的に進めるよう通知している。

しかし、今回の田川市の不在者投票で、選管が選定した立会人を求めた指定施設はわずか2施設、赤い星マーク がある特別養護老人ホーム寿楽園と障害者支援施設月の輪苑のみだった。
その他の施設では 施設の職員が立会人を務めるが、ここは性善説で 施設の職員が公平公正に立ち会うというのが前提である。

本当にそれを信じていいのだろうか。
その施設の経営者が 政治家やその親族だとしても?

例えば、シントラスト夢美苑を経営する社会福祉法人真養会の理事長は現職の陸田孝則市議である。
陸田氏は今回、我田引水の仕事ぶりと横柄な態度が影響したためか票を減らし、18人中16位で何とか滑り込んだ。
弊社記事→ 田川市の政治倫理 ~リクデンと陸田議員~(2023年1月12日)

陸田氏の獲得した票は 923票、次点で敗れた候補は882票で その差は41票、シントラスト夢美苑では 32人が不在者投票(うち代理投票15人)を行った。
福智町の町長選で7票差で勝敗が決したことを思えば、不在者投票がいかに貴重かお分かりだろう。

この他にも、サンプレイス暖家の丘・あいあい田川(田川市)、レイクヴィラたぎり(糸田町)は 県議会副議長の佐々木允県議の親族、グッドライフ・よろこび(大任町)は 永原譲二町長の親族が経営している。
弊社記事 「介護施設の不在者投票前に二場候補が挨拶(2023年6月15日)」で紹介した 不正のあった施設は、この中に含まれる。

殆どの介護施設で公平公正な投票が行われているとは思うが、実際に政治家の親族が経営している施設で不正が行われていたことを、田川地区の有権者の皆さんに認識して頂きたい。

ー 続 く ー

政治と介護施設の深い関係 ①

弊社記事「介護施設の不在者投票前に二場候補が挨拶(2023年6月15日)」では、選挙期間中に候補者の二場市長が、不在者投票が行われる介護施設を直前に訪れ、挨拶をした上で 法定外のチラシを配布しており、公選法違反の疑いがあると書いた。

なぜ田川地区で 堂々とこの様な不正が行われているのか、取材するうちに 政治と介護施設に深い関係があり、起こるべくして起こったということが判ってきた。
これは 田川地域の住民の介護保険料にも直結する話であり、数回にわたり報じていくので ご留意頂ければ幸いである。

今回と次回は、4月の田川市長選挙、田川市議会議員選挙の不在者投票の結果について解説する。
ここで言う不在者投票とは、「選挙期日(投票日)または期日前投票の投票所で投票することができない人が、選挙期日(投票日)前に投票する制度」のことで、主に県の選挙管理委員会に登録された病院や介護施設などの指定施設で行う投票のことを指す。

指定施設になるための申請は比較的簡単で、県のホームページで、病院、老人ホーム、身障施設、保護施設で 計999の施設名が確認できた。
不在者投票指定施設一覧(令和5年1月19日現在)


さて、前述の介護施設ではこの制度を悪用していたのだが、4月の田川市の選挙における不在者投票について情報公開請求を行い、それをまとめたのが下表だ。
これを見ると、有権者は田川市だけではなく、田川郡内ほか飯塚市や北九州市ほか 複数の自治体に入所・入院していることが確認できる。

表の見方であるが、例えば 一番上の行の「田川市立病院」では、市長選挙と市議会議員選挙にそれぞれ 11人の有権者がいて、選挙管理委員会から送付された投票用紙を 11人が受理して投票、投票しないで返票した人は0人、投票した人のうち 1人が代理人に投票をしてもらったと見る。

注目は 老人ホーム、特に 特別養護老人ホーム、それも代理投票だ。
代理投票のできる人は、「心身の障がいのため、または文字の読み書きができないため、自ら候補者の氏名を書くことができない人」とされ、不在者投票管理者に投票する意思を伝えないといけない。

特養の関係者によると、少なからず認知症の方もおられ、自らの意思で投票した旨を管理者に伝えることができない方の方が多いという。
また、施設には選挙公報もなく、投票の際は 候補者の氏名と所属政党しか分からない。

こうした条件の中で、老人ホームの不在者投票が行われているということを知ってたいへん驚いた。

そうやって下表を見ると面白い。
例えば、特別養護老人ホームことぶき園、ここは26人が投票して全員が代理投票である。
一度 投票の様子を見てみたいものだ。

ー 続 く ー

介護施設の不在者投票前に二場候補が挨拶

昨日地元紙が、田川市の課長が 4月の市長選挙期間、現職だった二場候補に投票を呼び掛ける内容を LINEの同級生グループに送ったことが発覚し 戒告処分となったと報じた。
また、他のニュースサイトでも 同市における期日前投票の買収の実態について 詳細に報じていた。

田川地区の不正選挙はまだある。
介護福祉施設を利用した選挙違反が堂々と行われている。

同選挙期間中の4月18日、二場候補が 田川市内の有料老人ホームの食堂に訪れ、昼食前 入所者ら 約80人を前に 挨拶し、自身の後援会チラシを配布したことが、利用者の関係者の話で判った。
事実であれば、これだけで「戸別訪問の禁止」と「法定ビラ以外のチラシ配布の禁止」、2つの公職選挙法に抵触する可能性がある。

問題はこの先だ。
あろうことか、その2時間後、同施設では市長選と市議選の不在者投票が行われていたのである。
選挙管理委員会に確認したところ、入所者のうち18人が投票していたことが判った。

入所者には 選挙公報も届けられておらず、投票する際は 候補者名と政党名しか情報がない。
こうした中で、直前に候補者本人が挨拶に訪れ チラシまで配布すれば 有利になるのは間違いない。
福祉施設も二場候補に不在者投票の日時の情報を提供したと思われ、不正に加担したことになる。

ちなみに、その施設は某政治家の親族が経営している。
現在、田川市選挙管理委員会が鋭意調査中で、政治家がらみで及び腰になることはないと思われるが、証拠や証言が残っており これを見過ごすことはできないだろう。

当日配布されたチラシ

アサデスが特集

県議会では15日、臨時議会が開催され、新議長に香原勝司県議(直方市)、副議長に佐々木允県議(田川市)が選出された。

佐々木県議は田川市議を経て現在県議3期目、政策提案能力が高いと評判の人物だ。
特に 再生可能エネルギーの導入には熱心で、2018年6月議会では「バイオマス発電」を県として推進するよう訴えた過去がある。

二場公人前市長と佐々木県議は、4月の統一地方選で 互いの集会に出席しエールを交換するなど 昵懇の仲として知られている。
水面下での2人の努力が実を結び 南国殖産(鹿児島市)を誘致することに成功、現在 田川市糒(ほしい)地区の 長閑な田園の一角に、住民の反対をものともせず バイオマス火力発電所の建設が進められている。

参考:弊社記事
前代未聞!住民説明ないまま火力発電所着工(2022年8月8日)
南国殖産、永山社長はご存知か?(2022年9月5日)
南国殖産に 田川市議会がイエローカード (2022年12月21日)






偶然にも 同日の朝、KBCの「アサデス。」が、この バイオマス火力発電所を取り上げ、事業を進める南国殖産が資源エネルギー庁に「住民説明会を行い理解を得られた」と虚偽の報告をするなど不誠実な対応をしていることを報じた。

田川バイオマス発電所 地域住民「知らないうちに建設が・・・」