政治と介護施設の深い関係 ① [2023年6月21日09:55更新]

弊社記事「介護施設の不在者投票前に二場候補が挨拶(2023年6月15日)」では、選挙期間中に候補者の二場市長が、不在者投票が行われる介護施設を直前に訪れ、挨拶をした上で 法定外のチラシを配布しており、公選法違反の疑いがあると書いた。

なぜ田川地区で 堂々とこの様な不正が行われているのか、取材するうちに 政治と介護施設に深い関係があり、起こるべくして起こったということが判ってきた。
これは 田川地域の住民の介護保険料にも直結する話であり、数回にわたり報じていくので ご留意頂ければ幸いである。

今回と次回は、4月の田川市長選挙、田川市議会議員選挙の不在者投票の結果について解説する。
ここで言う不在者投票とは、「選挙期日(投票日)または期日前投票の投票所で投票することができない人が、選挙期日(投票日)前に投票する制度」のことで、主に県の選挙管理委員会に登録された病院や介護施設などの指定施設で行う投票のことを指す。

指定施設になるための申請は比較的簡単で、県のホームページで、病院、老人ホーム、身障施設、保護施設で 計999の施設名が確認できた。
不在者投票指定施設一覧(令和5年1月19日現在)


さて、前述の介護施設ではこの制度を悪用していたのだが、4月の田川市の選挙における不在者投票について情報公開請求を行い、それをまとめたのが下表だ。
これを見ると、有権者は田川市だけではなく、田川郡内ほか飯塚市や北九州市ほか 複数の自治体に入所・入院していることが確認できる。

表の見方であるが、例えば 一番上の行の「田川市立病院」では、市長選挙と市議会議員選挙にそれぞれ 11人の有権者がいて、選挙管理委員会から送付された投票用紙を 11人が受理して投票、投票しないで返票した人は0人、投票した人のうち 1人が代理人に投票をしてもらったと見る。

注目は 老人ホーム、特に 特別養護老人ホーム、それも代理投票だ。
代理投票のできる人は、「心身の障がいのため、または文字の読み書きができないため、自ら候補者の氏名を書くことができない人」とされ、不在者投票管理者に投票する意思を伝えないといけない。

特養の関係者によると、少なからず認知症の方もおられ、自らの意思で投票した旨を管理者に伝えることができない方の方が多いという。
また、施設には選挙公報もなく、投票の際は 候補者の氏名と所属政党しか分からない。

こうした条件の中で、老人ホームの不在者投票が行われているということを知ってたいへん驚いた。

そうやって下表を見ると面白い。
例えば、特別養護老人ホームことぶき園、ここは26人が投票して全員が代理投票である。
一度 投票の様子を見てみたいものだ。

ー 続 く ー