組織ぐるみで不祥事隠蔽 ③ ~前社長の詐欺容疑~ [2023年1月29日07:30更新]

昨年8月、エステート・ワンから JRJの松尾前社長を詐欺罪で訴える告訴状が出され、12月に福岡地検が受理し取り調べが始まっている。

特定建設業の許可を有していなかったことが明らかになったJRJであるが、施主 及び建物を購入した区分所有者らを裏切る重大な事件と言えよう。
施工業者が施主に資格がないことを隠して請負契約を締結し、建物を完成させた場合、請負代金を請求する権利があるのだろうか。

JRJはエステート・ワンと請負契約を締結し、前渡金2億3888万円を受け取り着工、その後の中間金と完工金の合計 5億8000万円は未回収だが、請負代金請求訴訟(訴額 1億9000万円)で勝訴し 裁判所はエステート・ワンに支払うよう命じている。

松尾前社長を告訴したエステート・ワンの新原社長は語る。
「計画していた筑後市のタウンハウスのゼネコンがキャンセルになり、代わりにどこか請けるところがないか探してたとき、JR九州OBの松永氏から JRJの松尾社長を紹介されました。JRブランドで私たちにもメリットがあると考え契約することに。
その後、糸島市で別のタウンハウスの計画を進めていることを知った松尾社長から、そちらもやらせて欲しいとお願いされたので、決まっていたゼネコンに詫びを入れてJRJに変更しました。」

契約書を交わした際、新原社長はJRJが特定建設業の許可を持っていないとは夢にも思わなかったという。
「銀行から借り入れを起こして事業をする以上、法令を守らない企業と契約するはずがありません。分かっていたらもちろん契約していません。」

そして、JRJ松尾社長との信頼の中で、販売状況に応じて 中間金と完工金を3年以内に支払うという条件で請負契約を交わし、建物が完成した。
ところが、2018年(平成30年)6月に松尾社長が退任し、島野新社長に中間金・完工金を即時支払うように求められた。

「松尾社長との約束があることを訴えても 島野社長は聞く耳など持っていませんでした。そして12月、まだ協議の途中だったのに JRJがいきなり エステート・ワンの銀行口座を差し押えしてきました。社員給与の支払いや銀行への借入金の返済が全てストップし、40人いた社員を解雇、事務所も全て引き払い事実上の倒産となりました。」

新原社長は「差し押えがなければ事業が停止することもなく、松尾氏との約束通り残金を支払うことはできました。弊社が松尾氏にリベートを支払った話や不適切な会計を指摘していたので、5億8000万円が回収できないことを承知で弊社を潰すつもりで差し押えしてきたとしか思えません」と強調する。

現在、福岡地検は松尾前社長を詐欺罪で起訴できるか取り調べ中だが、ここまでの流れを整理すると、
・2019年(令和元年)9月、JRJはエステート・ワンに請負代金請求訴訟で勝訴
・2021年(令和3年)12月、JRJが資格なしで請け負っていたことが明らかになり 営業停止処分
・JRJは松尾前社長に5億8000万円の焦げ付きの責任があるとして損害賠償を求め提訴、裁判の中で 松尾氏は単独の判断ではなく社内で共有されていた、JR九州の田中常務にも報告していたと主張
・同裁判が 1月末に調停手続きで合意が成立、JRJが松尾氏の主張を一部認めた可能性あり(非公開)

この関係からすると、会社ぐるみで法令違反を認識しながらエステート・ワンと契約していたと考えられる。
しかも、特定建設業の資格がないことを 隠して請負契約を締結しており悪質だ。
新原社長はJRJに対し、一度敗訴している請負代金請求訴訟の再審を求めていく考えだ。


区分所有者が訴訟準備

特定建設業の資格なしで建築した同タウンハウスについて 気になる情報がある。
現在、区分所有者の1人が損害賠償を求める裁判を準備しているというのだ。

その区分所有者Aさんは建設業を生業としている方である。
入居後 職業柄様々な施工ミスが目についたそうで、管理組合を通じてJRJに問い合わせても 誠意ある回答がなかったため、欠陥住宅調査で著名な東京の会社に詳細な調査を依頼している。

読者の皆さんは、福岡市東区の傾いたマンションをご記憶だろうか。
1994年(平成6年)に建てられ当初から不具合を指摘されながら、販売したJR九州3社が施工不良を認めなかったが、2020年(令和2年)4月の調査で複数の基礎杭が支持層に達していないことが判明したことで一転して認め、26年目にして建て替えが決まった。



その決定的な調査を行ったのが 今回区分所有者のお宅を調査した東京の会社である。

2021年(令和3年)10月の調査で、壁や天井の裏側に防火被覆材の施工が不足し準耐火性能が欠如している箇所が多数見つかった。
準耐火性能住宅として販売されていたが、火災の際は隣に延焼する恐れがあるということだ。
その他にも複数の瑕疵が認められる箇所があり、Aさんは知ってしまった以上売るに売れないという。


これらが事実であれば施工会社として本来の設計通りに回復する必要が出てくるが、Aさんが回復費用をある業者に見積ってもらったところ約1000万円かかると言われたらしい。
仮にタウンハウス全戸に同じ瑕疵が認められたら 億単位の金額が必要になってくる。

特定建設業の資格なしで建築した建物だから施工不良があっても不思議ではなく、放置している感覚がおかしい。
施工した建物が法令の基準を満たしているか 今すぐ総点検を行う必要があるだろう。
ここで火災が発生しないことを祈るばかりだ。

ー 続 く ー