他人の家庭を壊した「平和大使」市議

福岡都市圏の世界遺産を擁する市に、生命保険の営業で 重大なコンプライアンス違反を犯した市議がいる。

裁判記録によると、外資系のA生命保険会社の営業をしていた市議Fは 令和元年8月頃、旧知のMさんに資産運用の生命保険契約を提案、1000万円を預ければ 20年後に1700万円に返戻されると説明し加入させた。
この他にもFは、Mさんに複数の友人を 保険の顧客として紹介させている。

しかし、令和2年6月頃、MさんがA社に確認したところ、虚偽の説明だったことが判り、A社が調査した結果F本人もそれを認めるに至った。
全ての保険契約が無効とされ Mさんには1000万円が返金されたが、こうしたことが原因で夫婦関係は壊れてしまったという。

その後、Mさんの夫がFに慰謝料を求めて提訴、裁判所は事実関係を認め Fに約100万円の支払いを命じている。
議員にあるまじき行為は市議会の知るところとなり、辞職相当と主張する市議もいたがF本人は開き直り居座っている。

Fのプロフィールには 「国連UPF任命機関メンバー/平和大使」と記載があり、マスコミが注目している団体の関係者の様だ。
そのことに興味はないが、平和大使協議会のウェブサイトには、「家庭を基盤として地域社会・国づくり運動」と方針が明記されており、平和大使が他人の家庭を壊すとは 何ともお粗末な話、支援者の方はご存知だろうか。

Fの公式ウェブサイトのプロフィール

国連と統一教会の強固な関係

安倍元首相の銃撃直後は日本中が悲しみにくれていたのに、今や国葬反対が6割以上を占めている。
国葬外交と期待したが、元首・首脳級の出席が わずか7人、岸田首相の思惑も見事に外れてしまい、あとは何事もなく終わることを祈るばかりだ。

もちろん連日の旧統一教会に関する報道の影響だが、批判の急先鋒に立っているのが読売新聞グループの情報番組だ。
過去に国会で憲法改正について問われた安倍首相が、「自民党総裁としての考え方は、相当詳しく読売新聞に書いてありますからぜひそれを熟読していただきたい」と答弁したこともあり、いわばズブズブの関係と見られていただけに意外である。

これについては、平成15年、時の小泉首相が、総選挙に立候補の意欲を示していた中曽根元首相を公認せず引退に追い込んだことがあったが、中曽根氏の盟友のナベツネこと読売の渡邉恒雄氏が、小泉氏らと行動を共にした安倍氏に対する意趣返しという見方もある様だ。

こうして日本のマスコミがこぞって統一教会と政治家の関係をあぶり出している中、追い込まれた自民党は「統一教会との関係を断ち切る」と宣言した。

しかし、統一教会系の国際NGO団体「UPF」は、国連の最高意思決定機関である経済社会理事会の総合協議資格を有し、今のSDGsの流れも主導してきたと言われている。
ある識者は「国連とUPFの関係は密接。国内で関係を断ち切ったら国際社会から孤立することもある。日本の政治家やマスコミは現実を理解していない」と今の流れに疑問を呈している。

国際社会の現実と国内世論の間で、岸田首相はますます難しい舵取りを迫られている。

宗教との距離を見直す機会

一部ネットニュースで、統一教会の関連団体に 自民党議員 98名、立憲民主党 6名、日本維新の会 5名、国民民主党 2人が関わりを持ち、そのうち閣僚や党幹部の経験者が 34人に上ると報じられ 話題になっている。
保守的な思想を持つ政治家、これだけの国会議員が 社会的に批判の多い宗教団体と繋がっていて、いったいどこが保守かと怒りを覚えた支援者もいるのではなかろうか。

一般的に 殆どの人は 政治家を志したときは 特定の宗教とは無縁だが、次第に引き込まれていく。
例えば、前任者が宗教団体と関わりがあれば その地盤を引き継ぐ中で紹介され、否が応でも関わるようになる。(統一教会と自民党政治家の関係は これに当たる。)

また、初めての選挙の後、支持者=宗教団体の信者 から声が掛かり 断れないケースも多い。
宗教団体にとっては 関係する政治家が一人でも多い方が、信用度が上がるので都合がいい。
政治家の側も余程 強い支持基盤があれば、きっぱりお断りできるのだが、別に信者になることを強制される訳でもないので、適当にお付き合いしていこうとなる。

こうして、中道から保守の政治家が 複数の宗教団体と付き合いがあり、集会に来賓として呼ばれ 挨拶することは珍しくない。

国会議員と統一教会の関連団体との関わりについては、霊感商法などの被害があることを知りながらも、岸信介元首相の時代から「反共」を明確に打ち出し、諸先輩方がお付き合いをしてきた歴史があり、数ある宗教団体の中でも 比較的ハードルが低かったのではなかろうか。
そして何より、「保守」を標榜した安倍元首相の関与こそが、多くの政治家の安心に繋がったと言えるだろう。

今回の事件は宗教と政治家の距離を見直す 良い機会である。
殆どの中道保守の国会議員の本音は、神道や伝統宗教は除き、新宗教との関係を断ちたいものと想像する。
憲法に政教分離の原則が規定されているのだから、政党内部で 今後一切 宗教団体の集会に出席しないと申し合わせるのも一つのアイデアだ。

UPF(文鮮明・韓鶴子総裁夫妻が創設した団体)日本支部のホームページ