(08年7月号掲載) それぞれに心を込めて作られ、購入した人たちには評判のいい商品なのだが、販路がその施設を知る人たちだけにとどまっていて、なかなか広がらない。したがって手に入る工賃も低いままなのが悩みだ。 こんな状況をなんとかしたいと生まれた専門情報誌がある。昨年11月末に創刊号、今年4月末に第2号が出た『ariya(アリヤ)』(以下アリヤ)だ。 創刊号では「希望という名のパン」と題して、パンやケーキなどを作る施設と商品、そしてそこで働く人たちの思いを丁寧に紹介している。第2号は「純情石けんを探して」。作業所の定番商品ともいえる石けんを特集している。 『アリヤ』の出版を思い立ったのは、情報誌などの編集に長く携わってきた藤野幸子さん。 「3年ほど前でした。当時、障害者自立支援法が話題になり、いろんなメディアに"自立"の文字が踊っていました。しかし、たまたま出会った福祉施設の方からは『作った商品が売れない、売り方が分からない、十分な工賃が払えない』という悩みを聞きました。これでは"自立"は絵に描いた餅。私にできるのは何だろうと考えたのがきっかけです」と語る。 当時、藤野さんは生協関連の情報誌の編集に20年近く携わり、雑誌編集者としてのキャリアを積んできた。その一方で「本当にやりたいことは何だろうか」という疑問にも突き当たっていた。 そんな思いと福祉施設の商品のことが結びついた。 「福祉施設の商品が売れないのは、よく知られていないことが一因。まず知ってもらうこと。そのための本を出すことが自分の仕事ではないか」と藤野さんは考えた。 その思いを仕事仲間のライターの神原里佳さん、デザイナーの能登原正枝さんが受け止めてくれた。そこで、アリヤ出版を立ち上げ、出版に向けて走り出した。 「アリヤ」とは蟻の家、小さくとも地に足をつけて支えあって歩いていこうという意味なのだという。 しかし、出版事業というのは並大抵のことではない。印刷はやはり障がい者が働く福岡コロニーの協力を得たが、「ほとんど全精力を出版に振り向けたので、貯金を取り崩すなど生活はギリギリ。大変なことをはじめてしまったと思いました」 そんな藤野さんたちの苦闘が周囲を動かした。カメラマン、ライターなどがほとんど手弁当で手伝ってくれた。 7月末には第3号「アーティストたちの夏」が出る。アートに取り組む障がい者たちの作品を取り上げる。1冊500円。年4冊発行予定で、定期購読だと送料を入れて2320円。「できれば定期購読で」と藤野さん。 〈問い合わせ先〉
福祉作業所、共同作業所などの福祉施設では、クッキーやパン、石けん、アート作品、手工芸品などさまざまな商品が作られている。
アリヤ出版 福岡市中央区薬院3-3-17
FAX 092(531)8054
E-mail info@arinoie.com
福祉施設の商品を紹介 情報誌「ariya(アリヤ)」 [2008年8月8日08:53更新]
タグで検索→ |

