怪文書拡散の元副市長立候補? [2023年2月15日10:38更新]

元副市長が立候補を表明

4月に行われる統一地方選で筑後市選挙区(定数1)が注目されている。
同選挙区は自民党県連相談役で現在9期目の藏内勇夫県議(69)の牙城で、直近4回は無投票だった。

その藏内氏に対抗して立候補の意向を示しているのが、先月10日付で副市長を辞した北島一雄氏(66)で、勝利を確信している様だ。
理由として、(1)令和3年11月の市長選において2期目を目指す西田正治市長が 藏内県議らが支援する新人候補を退けたこと、(2)副市長として知名度がアップしたこと、(3)原口英喜前議長や公明党議員など市議会の半数を押さえていることなどが挙げられるだろう。

 

出回った怪文書

しかし、北島氏について気になることがある。
市議選に落選し浪人中だった令和2年の秋、「全農パールライスが日清製粉工場跡地を、業者が買った価格の3倍で取得(3億3千万円 → 9億5千万円)、これは背任行為で地元大物議員が関わっている」という趣旨の文書が市内に出回った。
配布元は「農業の自立を考える会」としか記載されていない怪文書、読む人に藏内県議の関与を想像させるもので、全部で5回ほど配布された。

その後、同団体の代表者が地元で知られた農業従事者の下川氏で、JA組合員を同団体に勧誘していることが判った。
北島氏も個人ブログでその怪文書の画像を添付して拡散、11月2日には「全農パールライス背任行為、説明を求める仲間を募集します。入会の御案内、ある人が立ち上がりました。私も入会して活動をしっかり応援していきます。」と入会を呼び掛けた。

こうした中、同年12月議会の最終日、北島氏を副市長に選任する議案が提出された。
一部議員が、「事実関係を確認もせず、藏内県議を意図的に犯人に仕立て上げようとする団体の関係者は副市長として相応しくない」として反対したが、「賛成9・反対7」の僅差で可決、北島氏は副市長に就任する。

続く令和3年3月議会において、弥吉治一郎議員から「農業の自立を考える会の会員になったことはあるか、関わりがあるのか」と尋ねられ、北島副市長(当時)は 「副市長に就任する前に違法行為を働いていたならば資質を問われるかもしれないが、そのようなことはないので答弁しない」と明確に答えなかった。
つまり、「怪文書拡散に関わっていても違法行為ではないので、副市長としての資質に問題なし」ということになる。

 

政争の具に使われたJA組合員

それから2年経つが、そもそも疑惑には根拠がなく、当時勧誘されて集まったJA組合員は「考える会」を離れ、活動は停止している様だ。
また、土地取引の売買価格については、当事者と不動産仲介業者以外では市役所内部しか知り得ない情報で、何者かが不正にその情報を入手し、JA組合員に流し疑念を抱かせるよう誘導した可能性がある。

西田市長は議会で、「内部調査の結果、市から漏洩していない」と答弁しており真相は闇の中だが、土地の価格が3倍になったという情報を最初に掴んでいたのは 原口前議長ということが判明している
結局、JA組合員は政争の具に利用されただけではなかろうか。

こうした経緯があっての北島氏の立候補表明、藏内県議を追い落とす怪文書を拡散させた張本人だけに市民から疑問の声が出始めている。