JR九州住宅・過去の決算書を修正(後編) [2020年5月20日18:00更新]

JR九州住宅が、2018年3月期に前倒ししていた売上 3億7200万円を、2019年3月期に計上し直し、工事経歴書も正確な日付に修正し正常に戻したことは評価できる。
ちなみに、JR九州の2020年3月期の決算において、2019年3月期の連結決算の数値は一切変更されておらず、過去の決算の修正再表示も無かった。
JR九州グループ全体で 4400億円規模の売上の中にあって、3億7200万円は微々たるもので修正再表示は必要ないと判断したと思われる。

2018年に発覚した、住宅ローン書類偽造による水増し申請問題の第三者委員会の調査報告を受け、JR九州は同年 12月10日付でコンプライアンス教育の徹底など再発防止策を発表した。
しかし、2019年12月に監督官庁に提出した法定書類には、2018年3月期の粉飾を隠蔽したとの情報もあり、組織ぐるみでコンプライアンス違反を続けていたようだ。

また、前社長の松尾氏時代の不正については未だ謎が多い。
松尾氏は2018年6月に社長退任後、JR九州コンサルタンツの取締役に移動し僅か3ヵ月で解任されているが、解任理由は伏せられたままである。
更に、JR九州住宅の 2019年3月期決算の貸借対照表、資産の部、短期貸付金に 4億1047万円が計上されているが、債務超過額が 8億4500万円の企業が 4億円超を貸し付けるということが考えにくい。
こうした不都合な真実についても、株主や投資家に対して情報公開をするべきではなかろうか。

私たちは交通インフラとしてJR九州に特別な親近感を持ち、信頼してきた。
JR九州におかれては、今後更に信頼が積み重なっていくよう、コンプライアンスの徹底と積極的な情報公開に努めていかれることを期待したい。