協力金で問題になっているのが 有明海の注ぐ1級河川の漁協だ。
協力金の歴史は意外と浅く、半世紀もない。
それまでは河川工事を受注した業者が、一升瓶1本を持って漁協事務所に出向いて挨拶する程度だったが、40年程前、ある大型の河川工事で組合員1人当りに30万円の補償金が支払われたことを切っ掛けに、組合員が増え 工事毎に落札額に応じて協力を求めるのが慣例となったという。
平成12年に竣工した橋梁新設工事では、中堅ゼネコンが漁協に800万円を協力金として支払っており、地元業者にとってみると悪しき前例となったようだ。
繰り返すが、協力金により水生生物の増殖や河川の保全が地域の担い手によってなされているという側面があり、「協力金=悪」ではない。
ただ、業者の話によると、過去には協力金の支払いを拒否すると、工事現場の近くに舟を近づけるなどの嫌がらせがあったようで、スムーズに工事を行うために協力金を支払うようになった経緯もあるとのこと。
頭を痛めた業者らは、個別に対応するのではなく、土木業者が加盟している団体が一括して年間120万円を協力金として支払うことで 漁協と合意し、団体に加盟していない業者に対しては、漁協が 個別に落札額の 0.5%の協力金をお願いすることで落ち着いた。
6年ほど前に協力金は 200万円に増額され、一昨年までは問題なく履行されていた。
しかし、令和元年夏、支流の災害復旧工事で河川水の濁りや土砂の流出により、漁業権の行使に支障が出ているということで、漁協から団体に対し、工事差し止め等法定闘争ではなく、金銭での円満解決の申し入れがあり、双方が弁護士を立てて協議を始める。
以後漁協は、これまで団体から支払われてきた年間200万円の協力金は不要とし、工事毎に落札額の 0.4%の協力金を支払うようにルールを変更、団体に加盟している受注業者が漁協事務所に工事の挨拶に行っても、協力金の支払いを求める「覚書」を渡されるようになったという。
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