藤原さんは捜査当局に「黒幕」とされながら「まったくの事実無根」と一貫して主張。また共犯として逮捕されたほかの2人(有罪が確定)も公判では「彼は無関係」と、捜査段階での供述を一変させた。 さらに、藤原さんが「セクハラ行為に関する文書を関係者に渡していた」との主張が事実かどうかをめぐって、いったん結審したにもかかわらず審理を再開。RKB記者を極秘に証人として呼ぶなど異例の展開を見せていた(関連記事)。検察側は懲役2年を求刑したが、はたして福岡地裁はどのような判断を下すのか。1月に行われた県関係者の証人尋問を中心に、これまでの経緯をまとめた。 1月17日、福岡地裁。証人として法廷に立った2人の県教育庁関係者は、そろって「初めて藤原さんが訪ねて来たのは06年9月4日だった」と述べ、それを聞いた藤原さんは呆然としていた。 起訴状によると、藤原さんはほかの2人と共謀し、06年8月末から9月初めにかけて二丈町教育長にセクハラ行為についての文書を送りつけるなどして脅し、現金6000万円を要求した、とされる。藤原さんらは同年11月、恐喝未遂容疑で逮捕され、藤原さんが文書を作成したこと、県警の調べに対して2人が「藤原さんと共謀してやった」と供述したことなどから翌月、同罪で起訴された。 逮捕直後から容疑を否認していた藤原さんは「最初にセクハラ行為を知ってからRKBなどマスコミ関係者、そして県の教育庁に文書を持って行った。マスコミには取材・報道してもらうため、教育庁は二丈町教育委員会の監督部署だと思い、調査・指導してもらうために渡した」と主張。弁護側は「恐喝しようとする者が事前に情報を第三者に漏らして公にするはずがないから、こうした情報提供は藤原さんが事件と無関係であることを示す」としていた。 藤原さんの主張によると、初めて県教育庁を訪れたのは06年8月9日。その際、セクハラ行為に関する文書を渡した、という。だがこの日、検察側の証人として出廷した2人の証言は、藤原さんの主張を全面的に否定したわけだ。 県関係者の証言する9月4日は、恐喝が失敗に終わったとされる直後のこと。つまり「情報提供は恐喝行為の前ではなく、後だった」としたい検察側の意向に沿った形となっている。 これを裏付ける証拠として検察側が提出したのは、「9/4 藤原さん、突然来室」などと書かれた1枚のメモ用紙。だが、その存在自体きわめて不自然と言うほかない。 まず、提出されたものはコピーで、原本ではないこと。原本の保全措置を取っていなかったのに、なぜそのコピーが今ごろになって法廷に出されるのか。そもそもこのメモ用紙は、用件が済み次第廃棄される類のもの。1年半前の物が存在している(しかもコピー!)ということは通常では考えられない。 捜査員が県教育庁を最初に訪れたのは06年12月ごろ。メモがその時点で存在していれば当然、県側から捜査員に提出され、とっくに法廷に証拠として出されていてもおかしくない。 このほか、パソコンに入力された記録も証拠提出されたが、公文書の類は一切ない。もし二丈町教育長の問題について検討するなどした記録を出せば一目瞭然のはず。県側は「この問題は当方の管轄ではないので、部内で正式に話し合われたことはなかった」というが、それならば、県と無関係な問題についての「走り書きのメモのコピー」が残っているのはなぜだろう? また県職員は、藤原さんは詳細な法律名を挙げて「教育長の行為はこの法律に触れる」と話した―と証言した。県教育庁には二丈町教育長に対する監督権限などないことすら知らない者が、一般には知られていない教育に関する法律を詳細に知っている、という方が無理がある。藤原さんも「そんな法律など存在自体知らない」と否定している。 藤原さんは逮捕直後から捜査員に対し「マスコミと県教育庁を調べてほしい」と再三に渡って要請していた。捜査当局はそれに関する調べはおこなったようだが、その結果は法廷へはほとんど提出されていなかった(RKB記者への調べを記録した書類は、提出されたものの証拠採用はされなかった=記事)。検察側は「藤原黒幕説」の根拠をほかの2人の供述にほぼ全面的に頼る形で起訴し、それを法廷でひっくり返されて「顔面蒼白」の状態となっていたのが現実だった。 繰り返すが、この裁判はいったん結審し昨年10月に再開されている。つまり、本来であればすでに出されていて当然の証拠・証言が、最後の最後へ来てようやく日の目を見たわけだ。 そのような証拠が、果たして信用性が高いといえるだろうか。 今回の裁判では、藤原さんを有罪とする証拠は、極めて乏しいと言わざるをえない。 藤原さん自身は最初から無罪を主張。「共犯者」2人は捜査段階での供述を「捜査員に無理やり認めさせられた。事実ではない」として全面的に翻した。そのため、再開後の法廷では「関係者への情報提供が恐喝行為の前だったとする被告の主張が事実か」に焦点が絞られた。こうした経緯を踏まえ、本紙は「共犯者の証言を捜査当局がねつ造した可能性があり、藤原さんは『冤罪』ではないか」と報じた。 だがRKB記者は警察の聴取には応じる一方で、法廷での証言は「報道の原則」を理由に拒否。県関係者は、不自然ながらも藤原さんの主張を否定する証言をした。 検察側は「共犯者2人の捜査段階での供述は信用できる」(注:法廷で供述を一変させた理由については明確に述べていない)、「藤原被告の、8月に文書を渡したとした主張は嘘であり、その日付を記したメモ帳は偽造した物」などとして、懲役2年を求刑した。 福岡地裁はこのあたりをどう判断するのだろうか。 実は、この事件を担当する裁判官はこれまで無罪判決をほとんど出したことがない。「彼は『捜査当局大好き裁判官』として有名ですからね」(ある司法担当記者)。 はたして結果は・・。
セクハラ行為を理由に二丈町の教育長を脅し現金を奪おうとしたとして、恐喝未遂罪で起訴された不動産業、藤原正男被告(58)の判決公判が21日に迫っている。
二丈町教育長恐喝未遂事件 判決の行方は? [2008年3月19日09:26更新]
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