土壌調査で中間報告【下】 違法行為 明白になったが [2007年12月18日21:30更新]

タグで検索→ |

noimage

 

年内で閉鎖されるP社工場前回、P社工場(写真)敷地内から採取された土壌の調査結果を踏まえ、今後市が取る対応について予想した。

本紙は12月号で、まだ中間報告が出てない段階ながら、福岡大学教授の態度に疑問を持つ関係者の声を紹介し「市にお墨付きを与える結果になる可能性もある」と指摘していた。

 



本紙予想の「市のシナリオ」が、仮に現実のものとなるとしよう。理由を問われた市は「専門家である教授の鑑定結果と指導をもとに決めた」と答えるはずだ。教授の報告は、現状ではシナリオの、まさに最大の根拠となるだろう。

だが、ここではある事実についての認識が決定的に欠落している。そしてそれこそが、これまでの市の姿勢に大きな「?」を付けざるをえない、重大な点なのである。そのことをいまだ本格追及しない議会は、チェック機能を果たしているとは言えず、市民からの批判を免れないだろう。 

廃棄物埋設は明らかな違法行為

教授の調査結果は、想定の範囲内だった。土壌サンプル採取時、多くの関係者が「化粧品のファンデーションを思わせる」と、その異様な臭いを指摘していた。また、化粧品は体に使用する物だから、製造過程で有害な劇薬などが大量に使われ、それがそのまま土中に埋まっているという事態も考えにくい。

その中で、多くの市議の関心は「有害物質は検出されなかった」という部分に向いているように思われる。

だが、県内に処分場を持つ、あるリサイクル業者はこう指摘する。「今回のようなケースでは、P社の行為は産業廃棄物処理法、土壌汚染法に違反する。土地の所有者である市は、徹底的に追及し、刑事告訴しなければならない」

つまり、もっとも重要なのは 「P社が、化粧品を製造する過程などで出た廃棄物を、敷地内に埋めていた可能性が極めて高い」すなわち P社が違法行為をしていたことが、科学的に裏付けられたという点である。 土壌調査の結果は、違法行為を裏付ける明確な証拠である。そして、P社の責任を不問に付すことは、違法行為を「故意に見逃す」ことにほかならない。 

P社追及の意思、市には「なし」

にもかかわらず、石田市長をはじめ市幹部がこの点に言及することはまったくといっていいほどない。いまだに「『立つ鳥跡を濁さず』でやっていただけると信じております」(全協での石田市長)と脳天気なことを言っている。

報告のポイントはP社の違法行為を裏付けた点にあるはずだが、市は「後処理をどうするか」しか考えていない。そもそも、廃棄物を埋めていたことは現場の状況から容易に想像できたにもかかわらず、それを調査で証明したのが、まさにP社の完全撤退と瑕疵担保責任の期限切れを目前に控えたこの時期―ということからして「異常」なのである。

こうした経緯などを踏まえた上で、本紙の結論を述べよう。 柳川市当局は、P社の違法行為の責任を追及することなど、最初からまったく考えていないのだ。だから、瑕疵担保責任の期限を延長しても事実上、ほとんど意味がないだろう。

「この種の違法行為を監督するのは、県の保健所あたりの管轄になるはずやけどね。市はなんで刑事告訴せんかなあ? 柳川はイイ所やねー。違法行為をしてもおとがめなし、後始末も税金でやってくれるかもしれんとやろ? オレも柳川で仕事しょうかな(笑)」(先述のリサイクル業者)。

P社の責任追及がおぼつかない現状では、すべてのツケが市民に押し付けられる可能性が高い。議会の責務は極めて大きなはずだが、残念ながらその本来の役割を果たしているとはとても言えない。 

議会は「共犯者」

今回の調査を福大教授に依頼した後、「態度がおかしい」「熱意が感じられない」との声が一部の関係者から上がっていた。また、教授は旧三橋町(現柳川市)出身。地元の人間である以上、さまざまなしがらみがあることも予想できる。だからこそ、本紙は「公正を期すためであれば、これまでとは別の、複数の調査機関に依頼すべきではないか」との関係者の声を紹介した(HP記事)。

結果はご覧の通り。市議の中には教授の報告に呆然となる者もいた。「前回、市の調査と違う結果を出したから」という安直な発想しかないからである。 今後、市の方針を議会が批判した場合、こう反論されるだろう。「教授に任せることはあなた方も賛成したではないですか。その言う通りにやってるんですよ。それに反対するのはおかしいでしょう、自分たちで決めたことを否定するんですか?」。

得意げにそう述べる市幹部、黙り込む議員―そんな映像が目に浮かぶ。

 

P社が産業廃棄物を敷地内に埋設していた行為を「免罪」=故意に見逃し、さらにツケを市民に負わせる結果になれば「議会も共犯者である」との批判は免れまい。筆者が柳川市議の立場なら、「われわれは市民の代表である」などとは、恥ずかしくて口にできない。

この教授に再調査を依頼することが決まって以降、特にサンプル採取後、大泉勝利・副市長をはじめ市幹部が教授のもとへ日参していた―との情報もある。もし本当なら、教授の報告が市の意向と完全に合致しているのもうなずける。議員としての責任を果たしたければせめて、それは事実なのか、市幹部らは何の目的で教授のもとを訪ね何を話したのか、またP社の違法行為を刑事告発すべきことくらいは、厳しく追及すべきではないか。

「議会も追及しきらんと? ソラあんた、議員も何かもらっとるに決まっとおばい(笑)」(リサイクル業者)。これが、今の柳川市議会に対するごく自然な見方ではなかろうか。

市民にとっては、本紙が予想した「市の対応」が結果的に間違いであってくれれば良いのだろうが・・。そうでなければ、このような市当局と議会を持った柳川市民が、あまりにも気の毒である。