人工島事業救済こそが目的 こども病院 移転ほぼ決定か? [2008年9月22日09:12更新]

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(08年9月号掲載) 

福岡市立こども病院(中央区唐人町)福岡市立こども病院(中央区、写真)の移転問題で市はこのほど、人工島(東区)の基本構想案を発表した。

当初の計画よりも広い面積で購入単価も増加しており、関係者からは「人工島の土地を一定面積購入するのが真の目的だ」と指摘する声が上がっている。

一方、市民病院との統合移転を主張していた市議会自民会派は市の案に前向きな姿勢を見せ、9月議会で関連議案が可決される公算が大きくなった。

「結局、人工島事業救済のためではないか」。一部市民や医療関係者は市の決定に反発を強めている。



 いつの間にか面積、単価が・・

9月5日、吉田宏市長が記者会見し、新病院基本構想案を発表した。用地取得費は約47億円(土地購入単価13万5000円、敷地面積3.5㌶)。だが今年7月時点での市の説明では単価は約13万4000円。また、面積は昨年4月以降で1.5~3.0㌶、今年7月には最低3.0㌶と想定していた。数字が増えたことについて市は「必要な医療機能を検討した結果」と説明している。

建設費は約100億円。これもまた、7月までは一貫して85億円としていた。市は「建設資材の価格が上がったため」としている。

人工島移転案はほかの候補地に比べて費用が安くすむ─というのが「売り」の1つだったはず。だが正式に決まったとたん、数字が上昇したわけだ。

さらに、病床数は260でその利用率は約90%、1日あたりの外来患者数は約420人を見込んでいる。「現状でも病床利用率80%で外来患者数は約300。人工島に移転すれば西地区の患者は浜の町病院など周辺の病院へ受け入れを要請する予定で、市の算出した数字は現実離れしている」(病院関係者)。

市長は記者会見で最初、土地の購入単価をなぜか何度も『13万7000円』と話していたが、途中で職員から指摘を受け訂正した。一部の記者が質問したが明確な答えはなかった」。こう話すのはある報道関係者だ。「マスコミの間では『そのうちこの数字に"上方修正"されるのではないか』と、笑えない話も出ています」

自民会派も賛成へ 「とんだ茶番」の声も

市が基本構想案を発表したその日、自民党市議が会見し、市長案賛成に前向きな姿勢を示した。これで一気に人工島移転実現の流れが強まった。

6月の段階では、ある自民市議は本紙取材に「こども病院、市立病院を統合して移転するという方針に揺るぎはない」と明言していた。だが実はその直後から、自民と市との「密約」の噂が流れ始めていた。

自民が主張していた取得する土地の面積は、最低でも4㌶。一方、市は3㌶を上限としていた。密約説は「双方の落とし所として土地取得面積を中間の3.5㌶にし、代わりに自民は市長案に賛成する、ということで合意した」というもの。これが現実となったわけだ。唐突に見える自民の方針転換も、実は既定路線だったのではないか。

「自民会派内でも、若手議員は『うちの先生らは当局から"注射"を打たれとるけん』とサジを投げてますよ」。ある大手マスコミ記者はこう苦笑する。「要するに、自民にとっては単独か統合かが問題だったのではない、一定の広さの土地を購入することこそが重要だったというほかないでしょう。とんだ茶番です」

医師、患者家族ら 反発さらに強める

吉田市長は選挙の際、こども病院の人工島移転見直しを掲げた。確かに今回、前市長らが進めていた統合移転案は変更されたが、問題の本質は単独か統合かではない。市長は患者への説明会で「事業救済が目的ということはありえない」と述べたが、額面通りには受け取れない。その選定過程や引き上げられた数字などを見る限り、一定の広さの土地を一定の金額で市が買い取ることこそが、こども病院人工島移転の真の目的である─というしかない。

9日には専門医の代表らが、人工島移転の見直しを求める緊急提言を市や議会に提出。ある医師は「一部の医師ではなく、東区を除く全員が反対している。強引な市のやり方には協力できない」と話している。

また患者家族らも、人工島移転の是非を問う住民投票の実現を目指し署名活動を進め「目標の3万人分を何としても集めたい」(佐野寿子代表)と意気込む。

 

1読者、1視聴者としてマスコミ各社の記者にお願いしたい。今のところ、人工島移転に関して不可解な点を指摘する報道はほとんど見られない。当局発表の数字を垂れ流すだけでなく疑問点を検証し、特集・特番の形で報道していただけないものか。

紙面と時間を割くに値する重要なテーマだと思うのだが・・。問題意識がないなら仕方ないが、市政担当はそんな記者ばかりではないと、信じたい。