12日の衆院本会議に、松野博一官房長官の不信任決議案が提出されたが、賛成少数で否決された。
立憲民主党が松野官房長官の辞任を求めるのは最大野党として当然であるが、趣旨説明の登壇者の人選を間違ったようだ。
登壇したのは福岡2区の稲富修二議員、自民党の政治資金パーティの問題、裏金づくりを
「疑惑の域を超えて、疑獄といわれるほど、近年まれにみる異常事態」
「政治に対する国民の信頼は、地に堕ちた」
と痛烈に批判、更に
「自民党政権のもとで真相解明が進むのか甚だ疑問」
「自民党政権の自浄作用にはとても期待できない」
と畳み掛けた。
堂々とした趣旨説明だったが、一方で稲富氏を知る関係者から批判の声が上がっている。
というのも、令和2年9月の国民民主党解党時、残った1億円以上の資金を将来にわたり身内に還流させるための政治団体が新たに設立され、同3年10月の衆院選前に 500万円を受け取っているからだ。
この件については 後日報じるが、税金が原資の政党助成金の還流である。
パーティ券のキックバックを誤魔化して脱税した自民党議員も悪いが、国民の血税をマネーロンダリングして懐に入れている点ではもっと悪質だ。
立憲には「政治とカネ」の問題は厳しく追及してほしいが、ブーメランが返ってこない議員を選ぶ必要があるだろう。
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自民党批判、稲富氏にブーメラン
立憲「政治とカネ」追求、問われる本気度
立憲民主党の城井崇議員や稲富修二議員は、12月8日の衆議院予算委員会を どういう思いで聞いていただろう?
質問に立った元代表の枝野幸男議員の追求は迫力があった。
安倍元首相が亡くなった昨年7月8日付で、「自由民主党山口県第4選挙区支部」と安倍氏の資金管理団体「晋和会」の代表者が妻の昭恵さんに代わり、7月から12月までの間に約1億3000万円が 第4選挙区支部から晋和会に寄付として移されていた。
枝野氏は、同選挙区支部には県議市議が多数いるにも拘わらず、安倍氏が亡くなったその日に政治家でもない私人の昭恵さんが支部長に就いた点、昭恵さんが代表を務める第4選挙区支部から同じく昭恵さんが代表を務める晋和会に資金移動がされた点について、公党の体を成していないと断じた。
支部の資金には ①政党助成金や②支援者からの寄附金の他に、③安倍氏個人の寄附金、④安倍氏の政治資金パーティーで集めた金が含まれているので、一部を 安倍氏の資金管理団体に戻すというのも分からないではないが、問題は支部内で民主的な手続きを踏んだ上で 昭恵さんが代表になり、資金移動が行われたかだろう。
枝野氏の追及はさすがだが、立憲福岡県連顧問の吉村敏男氏が行った資金移動はご存知だろうか?
全く同じ構図であり、枝野氏が事前に知っていたら この日の質問はできなかったかもしれない。
吉村氏は平成31年4月、県議に落選し他の地方議員がいたにも拘わらず旧国民民主党福岡県第8区支部の代表に居座り、令和2年9月の同党解党に伴い、支部解散の直前に自身の後援会に約900万円を移動させた。
吉村氏の場合、支部の資金は 個人の寄付やパーティ収入ではなく ほぼ全額が政党助成金が原資なので 質が悪い。
折しも立憲福岡県連は、昨年市長選に出た田中慎介福岡市議の資金管理団体が、寄付金など収入約336万円を政治資金収支報告書に記載していなかったという理由で、田中市議を無期限の役職停止処分とすることを決めたばかり、「政治とカネ」の問題には厳しく対処する点をアピールした。
枝野氏が 衆議院予算委員会で 山口県「自由民主党第4選挙区支部」の資金移動がおかしいと指摘しているのに、城井氏や稲富氏が吉村氏の資金移動を不問にできるだろうか。
立憲民主党福岡県連が本気で「政治とカネ」の問題に取り組む気があるのか 地元マスコミも注目している。
国民の金はわしのもの
福岡県選挙管理委員会が29日、政治団体の収支報告書を公開した。
国会では 自民党派閥の裏金疑惑などが問題視されているが、これから話す 県内の某政治家のケースも かなり悪質と言えるかもしれない。
法をすり抜ける上手さはどこかの副議長と同じだが、こんなことが許されるていいものか、特に この政治家に関わりのある方にはよく考えて頂きたい。
登場するのは 元県議会議員の吉村敏男氏、立憲民主党福岡県連の顧問を務め 佐々木允県議を副議長に押し上げた立役者、また「九州の自立を考える会」の副会長を務める人物だ。
吉村氏は平成31年4月の県議選で落選後、今年の統一地方選にも出馬はしなかったが、現在も自身が代表を務める後援会を維持し、公式ホームページも存在するので まだ政治家と言ってよいだろう。
→ 元福岡県議会議員 吉村敏男 ホームページ
下図は 令和4年分の吉村敏男後援会の収支報告書であるが、前年からの繰越額 832万3612円という額に注目してほしい。
国会議員でも 現職の県議でもないのに、これだけの額を後援会にプールしていることに驚きだ。
あまり知られていないが、政治団体を解散した場合、そこにある残金の報告義務はあるが その行き先について追跡する法的な規定はなく、大抵の場合、政治家個人の懐に入る いわゆる臨時収入になる。
後援会の資金は 政治家本人が寄附として入金することが多いので、解散時に本人に戻るという流れに、そこまで目くじらを立てることもないという考え方もある。
だが、吉村氏の場合、その金額の大きさ、入手した経緯が 看過できるレベルではないのだ。
令和4年分で 次年度繰越金として 772万9002円を計上、仮に 後援会を解散した場合、吉村氏の懐に入ることになる。
解散時の残金の行き先を届け出る仕組みになっていないのは 法の盲点と言える。
税務署が把握しなければ 税金もかからない。
与野党含め 国会議員はそのことを じゅうぶん承知しているが、故意に放置しているという指摘もある。
知り合いの国会議員に尋ねてみたらいかがだろう。
平成24年に民主党が下野して以来、「民進党」になったり「維新の党」やら「希望の党」が出てきて、今振り返っても理解することは容易ではない。
ここでは、どうやって吉村氏が後援会にこのような大金をプールしたかについて説明するが、ひとつ言えるのは 政党の離合集散のどさくさで、偶然 大金がそこに出現し、それを動かせる立場にあったということである。
平成29年10月の衆院選直前、福岡県では 当時「民進党」の現職衆院議員の城井崇氏と稲富修二氏、浪人中だった緒方林太郎氏らが離党して「希望の党」入り、一方で「希望の党」から排除された山内康一氏は枝野幸男氏が立ち上げた「(旧)立憲民主党」に参加、その後、参議院議員の野田国義氏も「(旧)立憲民主党」に合流した。
その結果、「民進党(同30年6月に(旧)国民民主党に名称変更)」福岡県連にとどまった国会議員は 参院議員の古賀之士氏だけになり、本来国政選挙に使うはずだった 潤沢な資金(約2億円)が残されたという経緯がある。
当時の「(旧)国民民主党」県連会長は吉村氏、その資金を仲間で合法的に山分けすることを決め、他の国会議員・地方議員らも損をする話でもなかったので その決定に従っている。
資金の流れを見て行くと、旧国民民主系の国会議員(城井氏、稲富氏、古賀氏)はじめ 地方議員に幻滅してしまうほど低レベルな内容である。
今回はそこには触れないが、中心人物の吉村氏が行った資金移動について、明らかにしておきたい。
前述の様に 同31年4月の県議選で吉村氏は落選、県議という身分を失ったが「(旧)国民民主党」 第8区総支部(直方市、飯塚市、嘉麻市、中間市、宮若市、遠賀郡、鞍手郡、嘉穂郡)の総支部長を辞任せず 居座り続けていた。
令和2年8月19日、「(旧)国民民主党」の党本部は、解党し「(旧)立憲民主党」と合流して 新党結成を決めた。
それに応じ、同年9月末までに「(旧)国民民主党県連」はじめ 各衆院選挙区の政党支部も、政治団体の解散届を提出している。
下の図は、県が公表している「(旧)国民民主党」第8区総支部が 同年9月28日に解散届と同時に提出した収支報告書である。
収入と支出の金額が1034万9775円なので 総支部の残高は0円だが、寄附・交付金として 912万2812円を支出していることが分かる。
いったいどこに寄附したのか。
もうお察しの通り、寄附の相手先は 吉村敏男後援会だった。
福岡県公報 令和3年3月26日
第186号増刊1 [PDFファイル/2.17MB] 13頁
令和2年8月31日付で、「(旧)国民民主党第8区総支部(飯塚市若菜52-1)」から「吉村敏男後援会(飯塚市若菜52-1)」に 912万2812円の資金が移った。
同住所の建物内で右から左への資金移動、名目は 政党支部から後援会への寄附である。
寄附とは、一般的に「公共の利益のために自身の金品を差し出すこと」を指すが、私たちの知らない もっと幅広の解釈があるようだ。
吉村氏は(旧)国民民主党第8区総支部で 自身が代表 兼 会計責任者を務めていた。
自民党の国会議員のように多額のパーティー券収入がある場合は別だが、野党議員の場合、後援会活動の収入の殆どは 自己資金か政党からの寄附金で、政党からの寄附金は「政党助成金」が 元になっている。
つまり、国民の税金が原資である。
令和2年分政治資金収支報告書
福岡県公報 令和3年11月30日
第254号増刊1 [PDFファイル/1.13MB] 112頁
令和3年分政治資金収支報告書
福岡県公報 令和4年11月29日
第353号増刊1 [PDFファイル/1.01MB] 104頁
翌年への繰越金は772万9002円、(旧)国民民主党から入手した金を自身の後援会の事務所経費として使い続けている。
「国民の金はわしのもの」というタイトルは、(旧)国民民主党の資金を 我が物として使っているという意味ではなく、原資が国民の税金、政党交付金を我が物にしていることを指している。
そもそも、政党が政党交付金として国からもらった資金は、その政党の政治活動に使われなければならない。
党が解散して他党に合流する決定をしたのであれば、党に残った資金は 国庫に返納するか、合流する党に移動させるのが筋だろう。
ところが、(旧)国民民主党の県連会長の吉村敏男氏は、令和2年の解散時に残った資金を国庫に返納せず、立憲民主党に持ち込むこともせず、そこにいる 国会議員(城井崇氏、稲富修二氏、古賀之士氏)と地方議員で山分けする方針を決めた。(これについては別途報じる。)
そして、自らが代表と会計責任者を務める(旧)国民民主党第8区総支部に残った資金 912万2812円を自身の後援会に移し、使い込んでいる状況だ。
この厚かましさはとても真似できるものではない。
完全に国民の感覚とずれている。
そう言えば、佐々木允県議を県議会副議長に押し上げたのも立憲民主党に入党させたのも 吉村氏と言われている。
10月11日に行われた 佐々木氏の副議長就任記念祝賀会で、佐々木氏は 吉村氏を「私が新人の頃から 県議会の有り様を教え導いて下さっている」と紹介、強固な師弟関係であることを披露した。
この言葉に全てが集約されていると思われる。
こうした人物が 立憲民主党福岡県連の顧問であり、九州の自立を考える会の副会長を務めていることから、これらの団体の信頼が低下するのを心配する声が出始めている。