現職ら8人が立候補 大混戦の福岡市長選 告示迎える [2010年11月1日10:22更新]

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現職としての実績を訴える吉田宏氏(10月31日)任期満了に伴う福岡市長選が31日、告示された。

戦後最多となる8人が立候補し混戦模様となった選挙戦は、現職・吉田宏氏と、自民など保守系会派が推す元民放アナ・高島宗一郎氏の2人が先行。これに元佐賀市長・木下敏之氏が割って入る形で展開することになりそうだ。

政党や経済界、労組など各種団体はそれぞれ、表向き特定の候補の推薦・支援を表明してはいるものの、実態は分裂状態。過去に例のない選挙戦で、最後に勝利をつかむのは誰になるのか-。



 

「財政再建の道筋はつけた、ムダな事は一切やっていない」。天神・警固公園での出陣式。吉田氏は過去4年の実績を訴え、「次の4年、福岡をさらに良くすることが出来る、前へ進めるのは私だけ」と乱立した新人候補との違いをアピールした(写真上)。   

今回も前回(06年)同様、民主党の推薦を得た吉田氏。だがこども病院移転問題などに対して市民の「公約違反だ」との批判が根強いことなどから同党県連内で激しい反発が上がり、同氏を支持する一部市議団が孤立。

また現職支援を表明している各団体や財界なども、これまで保守候補を応援してきた経緯から分裂状態にあるのが実態だ。

そのため今回は前回獲得した約17万7000票を大きく下回ることが懸念され、陣営でも危機感を募らせる。

 

出陣式での高島宗一郎氏(10月31日)「そこに暮らす人の共感がないがしろにされた4年間だった。発信なくして共感なし」。吉田氏の出陣式の少し前、隣接する警固神社。高島氏は吉田市政を痛烈に批判、その上で「アジアのナンバーワン都市を目指すことを宣言する」と声を張り上げた(写真)

「難産」の末、自民など保守系市議会派が擁立を決めた高島氏。 出陣式には麻生太郎元総理、古賀誠氏ら自民の国会議員らがずらりと顔を並べた。

だが推薦は市議団レベルにとどまっており、かつての手厚い保守選挙とは比べるべくもない。政策協定を結んだ公明党にいたっては、現職だけでなく木下氏ら他候補に「保険」を掛けているのが実情だ。

また、これまで繰り返し「発信力」をアピールしてはいるが、政策内容に関する発言については具体性に乏しく、中身が薄い感が否めない。さらに告示直前になって、それまで推進するとしてきたこども病院の人工島移転を一時凍結することを表明。こうした点を、有権者がどのように判断するのか。

 

出陣式での木下敏之氏(10月31日)「行政刷新会議 事業仕分け人」と大書されたのぼりが立つ西鉄大橋駅前。「福岡市を徹底的に仕分けする」。木下氏は佐賀市、そして中央での実績を前面に出し、「約束は必ず守ります」と力強く語った(写真)

民主の推薦を得られず、厳しい選挙戦が予想された木下氏。だが佐賀県人会をはじめとする草の根運動で着実に支援を広げる一方、民主の支持基盤である一部労組の取り込みにも成功、この日は複数の民主国会議員から祝電が届いていた。

現職、そして自民候補を追い上げるには知名度アップが課題だが、すでに地元紙をはじめマスコミは「民主VS自公」という単純な構図に落とし込んだ報道を展開。そのため、先行する2人の間で埋没してしまう恐れもある。

それでも、過去の実績などからいわゆる無党派層に食い込めば、選挙戦の「台風の目」となる可能性は十分にあるだろう。

福岡市長選 立候補者一覧