こんな県議会いらない(1)麻生知事の責任問題 巧妙に隠蔽 [2010年5月17日09:08更新]

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(10年4月号掲載)

福岡県庁前副知事らが逮捕されるなど、県民に大きな衝撃を与えた福岡県町村会を舞台とする裏金接待疑惑と汚職事件。この問題はこのほど終わった福岡県議会でも取り上げられた。 

今回の事件を生み出した原因が長期政権の「ひずみ」にあることは明らかにもかかわらず、麻生渡知事ら県執行部に対する議会側の追及は甘く、知事の責任問題は結局、巧妙に隠蔽されてしまった。

本来の役割であるチェック機能を果たすどころか、「御用機関」と化した県議会の実態と体たらくぶりを露呈する形となった、と言えそうである。



案の定 期待はずれ  

2月24日から3月26日まで開かれた福岡県議会2月定例会。麻生知事の側近として県政を動かしてきたナンバー2、中島孝之・前副知事らが摘発された汚職事件が取り上げられるとあって、マスコミ各社も注目。議会での動きを連日大きく報じた。 

大手マスコミ記者は呆れ顔で振り返る。「麻生知事ら執行部はもちろん、今の県議にも最初から期待はしていなかったのですが、それにしても今回の議会はひどかったですね。

副知事の任命権者である麻生知事の責任追及はおろか、特にこれといった再発防止策も出てこなかった。せいぜい、副知事の倫理規範を定める条例を決めたくらいです」 

 

議会では、接待疑惑を受けて設置された「職員倫理調査委員会」が最終報告書を提出。前副知事、接待を受けた幹部職員ともに「倫理意識が希薄だった」と指摘、副知事に資産を公開させることなどを提言。また同一部署に長期在職することがないよう、人事配置の見直しも求めた。

これを受けて出された先述の条例案は、賛成多数で可決された。

「県警の捜査中に、民間人が接待の実態を調査するといってもたかが知れている。そもそも調査委の設置自体、接待疑惑発覚で沸き上がった県政への批判をかわすためだったのは明白。この程度の提案など誰もが考え付くレベルですよ」(前出マスコミ記者)。 

注目された麻生知事自身に対する処分は、自らの給与を10分の5(5割)減額するにとどまった。期間は6カ月間で、減給総額は約400万円となる。 

(続く)