(10年2月号掲載) 昨年12月号で紹介した大川市の家具業界。永年培われたノウハウを活かし、高齢者や障がい者を対象とした「バリアフリー配慮家具」を製作、売り出そうという取り組みが、現在進められている。 2月20、21日には初のイベント「環境(自立)介護家具シンポジウムin大川」が開かれ、これまで製作されたイスやベッドなどが展示されたほか、講演や交流会も催された。 「超高齢社会を迎える今後、こうした家具のニーズが高まるのは間違いない」。バリアフリー配慮家具とは何か、その根本にある発想、考え方とは。 提唱者である国際医療福祉大リハビリテーション学部(同市榎津)教授、斉場三十四氏(66)に話を聞いた。 同福祉大の1室に並べられた、一見普通の家具類(写真上)。 タンスの前面にある丸く大きなボタンを軽く押すと、引き出しがすっと飛び出てきた(写真下)。中のバネの力で、手を掛けなくても開けられる仕組みになっているのだ。 「ボタンなどの色を変えているのは、視力が落ちて物が見えにくい人のためですよ」(斉場氏)。 イスに座ってみると、腰に当たる部分がちょうど良い加減にふくらんでいるため、体への負担が軽く感じられた。「高齢者や障がい者だけでなく、誰もが心地良く使えるのがバリアフリー配慮家具なんです」 佐賀大医学部で15年に渡り教べんをとった斉場氏が国際医療福祉大に移ったのは昨年4月のこと。以来、佐賀大時代に立ち上げた「バリアフリーデザイン研究会」での経験や人脈を活かしながら、地元業界にバリアフリー配慮家具の将来性を説き、賛同する業者らと連携して新しい家具の企画、製作を続けている。 斉場氏は脳性まひで両足が不自由なため、松葉杖が手放せない。「足の力が弱く、肉体的には85歳の高齢者とほぼ同じ。ですから立ち上がる時など、他の人が気付かないようなところに目配りができる。そうした利点を活かしながら、地元家具業界の活性化にも貢献したいと思っています」 (続く)
バリアフリー家具を販売へ(1)家具の街大川で新しい取り組み [2010年3月23日08:38更新]
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