地域の福祉力で高齢者支援 ふれあいネットワーク [2010年5月31日13:27更新]

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(10年4月号掲載)

カルタに興じるサロン利用者たち(福岡・春吉公民館)小規模世帯、それも1人世帯が増えている。福岡市の場合、05年の国勢調査によると1世帯当たりの人員は2.16人(全国は2.58人)で、1人世帯が全体の44%を占める。  

この中には、実家から離れて生活する学生や若い単身者も含まれるが、1人で生活するお年寄りも数多い。時折、報道される「孤独死」は、こうした高齢者が地域から孤立し、誰に看取られることなく亡くなる現代の様相を象徴するものである。 



そんな孤独死をなくし、地域で孤立する高齢者を1人でも少なくしようとする活動が各地域で行われている。福岡市の場合、各小学校区にある校区社会福祉協議会が地域の民生児童委員や町内会長(自治会長)、地域住民(ボランティア)の協力を得て行っている「ふれあいネットワーク」や「ふれあいサロン」、また、老人クラブが地域の単位クラブごとに行っている「友愛訪問」活動がある。 

ふれあいネットワークは、支援を必要とする高齢者や障がい者、子育て家庭を対象に、5~6人がチームを組んで、話し相手になったり、安否確認、声かけをする活動で、福岡市全体の146校区中129校区で行われ、ボランティアの数は約7900人、対象となる人は約1万4000人に達している。 

ふれあいサロンは、公民館や地域の集会所、マンションの集会室、個人宅などを使って、自宅に閉じこもりがちな高齢者を招き、月に1~4回、1回あたり2時間程度行われる集まり。

地域の開業医や保健師に来てもらって、季節の健康の話をしてもらったり、高齢者の総合相談窓口である地域包括支援センター(いきいきセンターふくおか)の担当者を招いて介護や認知症の話を聞くほか、漢字クイズやカルタ、トランプなどで、楽しみながら頭の体操も行っている。 

こうしたサロンは、128校区268カ所で開かれ、サロンを運営するボランティアは約3700人、利用者は約7200人いる。 老人クラブの友愛訪問は多くの地域でふれあいネットワークと重なっているが、やはり支援を必要とする高齢者をリストアップして、それぞれ担当者を決めて見守り活動を行っている。 

このように地域の高齢者にとっては頼りになる活動だが、ボランティア自体が高齢化し、より若い層の参加がなかなか進まないのが悩みだ。また、都市部で増え続けるマンションの高層化とオートロック化が高齢者の地域との隔絶を招き、地域の支援者(ボランティア)が高齢者と接触する際の大きな壁ともなっている。 

福岡市中央区の春吉校区でこうした活動に携わっているKさん(64)は「ネットワークもサロンも、地域でのつながりを何とか維持しようとする大変重要な活動だと考えています。しかし、ボランティア自体が70代、80代に達するなど高齢化が目立っています。より若い方々が積極的に参加してほしいですね」と訴える。

 【問い合わせ先】 各市町村の社会福祉協議会へ