のこくず再利用で削減CO2を販売へ 大川市 エコ先進都市へ着々 [2010年4月26日10:34更新]

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(10年3月号掲載)

大川市のし尿処理施設「筑水園」し尿の焼却・乾燥する際の燃料に「のこくず」を使った全国初の設備が稼働している大川市のし尿処理施設「筑水園」(写真、同市紅粉屋)。本紙は昨年9月号で「燃料やCO2(二酸化炭素)を低減できる画期的な技術」として紹介した。

同施設を運営する「大川柳川衛生組合」(組合長・植木光治大川市長)はこのほど、削減したCO2を売買するために「国内クレジット認証制度委員会」へ事業申請した。 

すでに「九州電力」(福岡市)などが購入する意向を表明しているという。筑水園の堤起男事務局長は「今後はさらにこの技術を発展させ、使える分野を広げていきたい」と話している。 



 

この制度は、CO2などの温室効果ガス排出量削減を目指し、中小企業などの取り組みを活発化・促進することを目的として新たに始まった。

大企業の資金・技術によって中小企業が温室効果ガス排出を削減した場合、これを「国内クレジット」として大企業に販売。購入した大企業側は、これを自らが削減した分として自主行動計画などに反映できる。つまり、CO2排出量を削減するとその量に応じてお金を得ることが出来るシステムと言える。 

 

筑水園では大川・柳川両市で排出されるし尿を1日平均213キロリットル処理している。ところが08年以降、重油の価格が高騰し経費が増大、早急に代替燃料を探す必要に迫られた。

家具の街・大川市には木材を加工する多くの事業所(木工所)があり、その作業過程で大量にのこくずが発生する。そこで「これを燃料に使えないものか」と改良や実験を進め、新設備を完成させた(写真)。 

燃料にのこくずを使う新設備のこくずは法律上、産業廃棄物として分類され、処分する時は木工所側が有料で専門業者に委託しなければならない。また取り扱う際に空中に飛散し、周辺住民から苦情を受けるケースもあるといい、いわば街の〝厄介者〟となっている。

これを組合が買い上げることで事業者からは感謝される上、燃料として使う重油の費用を節約でき、さらにはCO2排出量も低減できる。  

昨年から本格的に稼働を開始。09年度の決算見込みで重油購入費は約1180万円、08年度より約2600万円も低減できることに。そのほかにも職員らが様々な面で節約に努め、大川・柳川両市がし尿処理に支払う負担金は年々減少しているという。 

 

一石二鳥にも三鳥にもなるこの技術。応用できる分野はまだまだありそうなだけに、大川市が「エコ先進都市」として知られる日が来るのも、そう遠くないかもしれない。