―前編の続き―
そもそも、ゴミ処理施設や消防、水道など複数の自治体が共同で運営している一部事務組合の事業は、構成している自治体の議会や住民から見えにくいという問題がある。
特にプラント建設など大規模な施設整備事業は、費用が大きいにも関わらずそのプロセスが不透明と言われており、最近では田川地区(大任町)のゴミ処理施設の情報開示が不十分として報じられた。
とにかく数百億円規模、20年先を見据えた事業である。
その内容や金額の適正性については直接住民負担になる問題であるが、ふくおか県央が公表している資料だけ見てもそれが適正かどうかは判断するのは難しい。
それを組合議会の過半数(8人)が賛成すれば決定、というのにも違和感がある。
ところで、弊社において、最近九州の自治体が計画してきたゴミ焼却施設の概要を比較してみた(下図)。
今年4月より稼働している北九州市の日明工場、2028年10月稼働予定の久留米市の新上津クリーンセンター、2030年7月稼働予定の大村市のゴミ処理施設、そして、ふくおか県央のゴミ処理施設。
こうして見ると、確かにふくおか県央の設計・建設費(445億円)や運営管理費(20年間で299億円)は高い。
資材価格や人件費等建設コストが高騰しているのも事実だが、本当にそれだけでここまで高くなるのかは疑問である。
また、北九州市の日明工場は、日鉄エンジニアリングが受注しているというのも興味深い。
域内人口が減少傾向にある中、今後これだけの維持費が住民の負担となり、身の丈に合った施設規模でいいのではないかという意見ももっともだ。
この費用に関する疑問が解けない限り、推進派の考えには賛同しにくい。
住民の理解と信頼を得るためには、徹底した情報公開と説明が不可欠である。
そこで提案したいのが、推進派と慎重派を交えた公開ディスカッションである。
ゴミ処理施設の処理方式、建設費、運営費を他自治体の計画と比較し、ふくおか県央の現計画がいかに優れているか、住民に対して分かりやすく示す必要があるのではないか。
事業の推進にあたっては、単に法令や要求水準を満たすだけでなく、住民に開かれ、地域から信頼される施設を目指すという基本理念を具現化することが求められる。
今回の議会の混乱を教訓とし、事業の透明性を高め、住民が納得できる形で進められるよう、関係者は真摯な努力を尽くすべきである。
―了―
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ゴミ処理施設の費用、納得のいく説明を(後編) [2025年5月26日06:00更新]
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