(08年10月号掲載) 麻生太郎首相をはじめ派閥の領袖など大物自民議員が顔をそろえる福岡。中でも「道路族のドン」古賀誠氏のお膝元福岡7区(大牟田市など)では、民主党が予定候補者を差し替え、前八女市長で古賀氏の元秘書、野田国義氏の出馬が決定。一気に注目の選挙区となっている。 「打倒古賀誠」を目指し、水面下で進められてきた今回の候補差し替え。野田氏擁立の舞台裏を探った。 先月末、野田氏は小沢一郎・民主党代表、前回出馬し落選した中屋大介氏らを伴って地元八女市で出馬会見を行った(写真)。 東京からも多くのマスコミが訪れた記者会見。野田氏は「国民の生活は大きな痛手を被っている。政権を交代するしかない」と力を込めた。また中屋氏も「野田氏を支える」と述べた。 古賀氏は自民の選挙対策委員長を務める。そのため小沢代表は「最も重要な、何としても勝たねばならない選挙区」と位置付けた。 唐突に見える今回の候補差し替え。だが実際には昨年来、「民主が7区の候補を差し替える」との情報が絶えず、本紙も1月にHPで紹介。また5月には党本部幹部が差し替えについて言及、その後自ら打ち消すというドタバタ劇があった。 「実は、民主県連幹部が野田氏と接触したのはかなり早い段階でした」。こう語るのはある民主関係者だ。「野田氏もほどなく前向きな姿勢を見せたが、その条件が『絶対秘密にすること』。周辺自治体との合併問題を抱えるため、ぎりぎりまで表沙汰にしたくなかったようです」 野田氏擁立が明らかになったのは先月末。本紙はHPにていち早く報じていた。 野田氏は大学卒業後、古賀氏の秘書となり1993年、34歳で八女市長に。「その経歴や実績、若さなどから、古賀氏にぶつけるタマとして最良と判断したのでしょう」(同)。 野田氏について古賀氏は「何か政治ってこんなに悲しいものかなあと、率直に思います」とコメントしている。 だが、擁立の理由はそれだけではない。 「今回の擁立劇の裏では、民主・自民の有力県議が連絡を取り合い、周到にシナリオを練っていました」。こう話すのは大手マスコミ記者だ。 野田氏の7区出馬が報じられた直後、空席となる八女市長選に保守系県議が立候補を表明した。「これも予定通り。民主は対立候補を立てるつもりはない。つまり、八女市長のポストを保守系県議団に差し出すことで、衆院選における地元議員の古賀氏からの『離反』を取り付けたのです」(同)。 そのため当初、市長選は無投票になるとの見方もあった。今月に入り地元市議が立候補を表明したが「古賀氏サイドが擁立したとの噂もある。まあ、結果は見えているでしょう」(同)。 県議らの「裏切り」。その背景には、本紙でも報じて来た自民県連内の国会議員vs地元議員の「対立の構図」があるのは明らかだ。 昨年、自民県連会長ポストをめぐって古賀氏、山崎拓氏ら国会議員と県議ら地元議員との間で激しい綱引きが展開された末、新宮松比古県議が就任するという異例の事態に。さらに、安倍晋三元総理の辞任を受け行われた総裁選で、麻生太郎氏の支持をめぐり対立が激化。「次の選挙で落としてやる」といった声が地元議員から上がっていた。 ある7区担当記者は「野田氏擁立は、民主有力県議と7区内に地盤を持つ自民有力県議が、『古賀落選』で利害が一致し手を結んだ結果」と解説する。「すでに地元では『自民の県議連中は本気で選挙をやろうと思ってない』というのが共通認識になりつつある」(同)。 さて、一見有利なように見える野田氏だが「彼の弱点は民主の支持母体である労組との関係」との指摘がある。7区の大票田である大牟田市は従来から社民系労組の牙城。野田氏は市長時代、行財政改革を進め市職員労組と対立、このため労組との関係が「アキレス腱」になる─というのだ。 「その点も県連は考えてますよ」と民主関係者。「野田氏は11区の社民候補、山口はるな氏と政策協定を結んだ。すでにある県連幹部が7区内の労組対策に走り回っている。その後は11区のテコ入れを予定している」 また別の関係者は「小沢代表がわざわざ会見に同席したのは、労組に対する『しっかりやってくれ』とのメッセージでもある。いずれまた現地入りし、手綱を引き締めることになるだろう」と話す。 民主・野田氏擁立劇の裏側にある、地元議員の離反。現状では古賀氏陣営は極めて厳しい状況にあると言わざるをえない。そうした情勢を意識してか、陣営では取材をシャットアウト、マスコミからは不満の声も漏れている。 はたして結果は・・。
近く予定されている総選挙。すでに各陣営とも解散時期をにらみつつ、事務所を開設し街宣や集会を行うなど、本格始動している。
野田氏擁立の舞台裏 福岡7区 民主・自民県議が結託!? [2008年10月16日13:36更新]
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昨年から差し替え情報絶えず
地元議員の「離反」
見え隠れする自民県連の内紛
野田氏の弱点は・・
古賀氏、絶体絶命?

