新市長誕生の公算大 現職、惨敗の可能性も 福岡市長選 [2010年11月12日09:38更新]

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吉田宏・福岡市長(左)と新人・高島宗一郎氏14日投開票の福岡市長選は、民主・国民新推薦の現職・吉田宏氏(写真左)が苦戦。自民推薦の新人・高島宗一郎氏(写真右)が優勢に選挙戦を進め、新市長が誕生する公算が大きくなっている。同じく新人で元佐賀市長・木下敏之氏も激しく追い上げているが、今一歩届きそうにない。

今週、元市幹部・植木とみ子氏が突然、選挙戦からの撤退を表明。同じ保守系の高島陣営との「談合」も取りざたされ、有権者の反発が懸念されたが、大勢に影響はない模様。

ある政党が実施した直近の世論調査では「高島氏が大差をつけている」との情報も。2期目を目指した吉田市長は思わぬ惨敗を喫する可能性もある。



 

各種世論調査や各陣営の情勢分析などを総合すると、先週末の時点では吉田・高島両氏がほぼ拮抗する状態だった。だがマスコミが行っている期日前投票場の出口調査では高島氏が現職を上回るなど、選挙戦最終盤になって高島氏が逆転したと見られる。

9日には植木氏が突然撤退を表明。「高島陣営との政治的談合があったのではないか」と取りざたされた上、植木氏が11日、自身のHPに「市の領域を越えた政治的圧力に屈服した」との文章を一時掲載、撤退は自らの意志ではなかったことを示唆した。

こうしたことに反発する有権者が「保守離れ」を起こす恐れも指摘されていたが、分裂していた保守票を取り込む「メリット」の方が大きかった模様で、高島氏優勢を決定付けることになった。

 

一方、現職・吉田氏は、極めて厳しい情勢。こども病院移転問題などで市民の批判は根強く、その不人気ぶりは目を覆いたくなるほど。

さらに民主県連の内紛から江藤博美市議らを中心に組んだ選挙態勢もお粗末で、「当たり前でしょ。あいつらに選挙を仕切れるはずがない」(ある民主国会議員)との声が。一部経済界の支援を受けてはいるものの、前回選挙の選対メンバーは今回ほとんど加わっておらず、当時の支援者も多くが離れてしまっているのが実情だ。

これに加えて、中国漁船衝突事件などをめぐって菅内閣の外交手腕に批判・反発が起き、民主政権への支持率が急落。こうした中央政界の動きも少なからず影響したと見られる。 

3番手として注目された木下氏はここへきて「息切れ」。佐賀市長としての実績を前面に押し出し、草の根運動で着実に知名度と支持を上げてきたものの、政党支援を受けた2候補の壁は厚く、あと一歩届きそうにない。

 

こうした情勢から、最終的には思わぬ大差がつくことも予想され、14日夜のマスコミによる開票速報では早い時間帯に「高島氏当確」が打たれる可能性が高い。