新電力事業の落とし穴・ホープ(後) [2021年7月17日14:17更新]

ホープ社は平成17年、現代表が24歳の時、自治体保有の様々なスペースの広告事業化等を目的に㈲ホープ・キャピタルとして創業、同21年に㈱ホープに組織・商号変更を行った。

自治体情報誌やアプリケーション等のサービスを行う一方、自治体向け営業活動の支援・代行等事業を拡大、同25年には グロービス・キャピタル・パートナーズから約1.5億円の出資を受け、同28年に東証マザーズに上場を果たした。

良かったのか悪かったのか、転機となったのが、同30年3月に自治体向け電力小売事業に進出したことだ。
その後の躍進ぶりは凄まじく、令和元年度には公共機関の電力調達入札において、落札金額 合計約23億円で東電・九電・中電に次ぎ全国4位となり、株式市場で注目される存在となった。
令和元年6月期の売上は38億6200万円、経常利益7500万円だったが、同2年6月期には売上144億0700万円、経常利益10億1200万円に急伸させ、初の配当を出した。

しかし前述の卸電力の高騰により、今年4月に発表した 令和3年6月期連結業績の修正予想では、売上は280億0650万円に倍増するのだが、経常利益が最大59億3700万円の大幅赤字となり債務超過に転落するとした。
電力小売事業を始めてからは、売上の9割以上を電力事業を占めるようになっているため、今後の資金繰りのハードルは高いと思われる。

ホープ社を急成長させたのは電力小売事業、しかし思わぬところで落とし穴にはまってしまった格好だ。
大手電力会社の反撃もある中で、地元福岡の若き経営者には 創業以来の危機を乗り越えてもらうことを切に願っている。

ー 了 ー