南海トラフ地震臨時情報 その1 [2024年8月28日09:54更新]

今から約3週間前の8月8日午後4時43分ごろ宮崎県沖日向灘を震源とする、マグニチュード7.1の地震が発生、日南市で最大震度6強を記録し熊本、鹿児島の各県で物的、人的被害が出た。

津波注意報も発令されたが津波による大きな被害は確認されず同日22時には全て解除されたが、今回の地震では初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表されている。

静岡県沖から宮崎県沖にかけて日本列島が位置するユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込んでいる場所を南海トラフと呼ぶが、このエリアでは過去1400年の間で約100年から200年周期で巨大地震が発生している。

最後に発生した昭和南海地震(1946年)から80年近く経っていることから、近い将来に次の大規模地震が発生することが懸念され、我が国では昭和51年に地震予知推進本部が設置されて以降、昭和53年に「大規模地震対策特別措置法」が、平成14年に「東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」が制定されるなど地震予知体制や防災体制の整備を進めてきた。

政府中央防災会議の検討会議に設置された被害想定ワーキンググループが2012年に試算した被害想定では30都府県で最大32万3000人の犠牲者が出るとし、インフラなどの経済被害は最大220兆円に上るとされ、発生すれば我が国の経済・社会に甚大な影響を及ぼすまさに国難と言える災害となるであろう。

現在の科学的知見では地震の正確な予知は難しいとされている。

一方、南海トラフ地震については直近の2事例で大きな地震が発生した後にそれぞれ32時間後、2年後に南海トラフの別の領域で大規模地震が発生したことから、今回のように想定震源域で大規模地震が発生した後に続いて別の大規模地震が発生する可能性を告知し、避難の準備などの体制をとることを防災の軸としてきた。

そこで今回発表されたのが「南海トラフ地震臨時情報」である。

約3週間が経過し徐々に日常が戻っているとは思われるが、やはり突如として襲ってくる大地震、日常生活はもちろん仕事の上でも事前に準備を少しでも行っておくべきだろう。