7月12日に投開票が行われた田川市長選挙、中盤から終盤にかけて地元では元市長である二場公人氏が若干リード、その後を前市長の村上卓哉氏が追いかけ、新人で塾経営の浦野仁氏、元県議の佐々木允氏の順番であった。
ところが、蓋を開けてみると浦野氏が8345票、二場氏は4637票、村上氏4232票、佐々木氏3399票という結果、二場陣営もここまで差を付けられたことに驚いていた。
細かな分析は今後に行われるだろうが、地元の選挙関係者の話などを総合すると、選挙前から福岡県議会の海外視察や県職員のパーティー券購入の問題があったものの波風は立たなかった。
ところが、告示日5日の翌6日に、吉松県議から議長就任の際に自民党幹部に2000万円を支払った報道がなされると、事態は大きく動き出した。
最初は西日本新聞だったが、その後は他の新聞、テレビなどメディアも追従し投票日直前には全国放送のニュースやワイドショーまで取り上げる状況となり、空気は一変した。
約3割の浮動票があったと思われるが、多くの有権者が政治経験のある候補者を除外、全く政治色の付いてない浦野仁氏に流れた結果が、これだけの差になったと思われる。
声紋鑑定なども行われ、今後は事実が明かされると思うが、既に服部知事は長年に亘る県職員と県議会の在り方についても改革を宣言、パーティー券の購入を事実上禁じる通達を出した。また、挨拶や出迎え、見送り、議員を「先生」と呼ぶ細かな部分にも言及し、数十年来に及ぶ県職員の意識改革を行うと定例記者会見で述べた。
事実が明らかになり、自民党県議団の改革が進むことを県民は期待するが、先の田川市長選挙と同様に、来年4月の統一選挙は大荒れになる可能性が非常に高まっている。

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福岡県議会の余波
市長を替えるだけで、田川は変わるのか
市議補選で問う「議会正常化」と、市民に公開すべき10項目
田川市はいま、市長選と市議補選を同時に迎える。市長選に関心が集まるのは当然である。だが、市長がどれほど優れた政策を持っていても、議会が政争に明け暮れ、調査や議決の基準が不透明であれば、市政は前に進まない。
市長と議会は車の両輪である。
一方が壊れれば、もう一方だけを新しくしても、田川市政は正常には動かない。
田川市議会に欠けているのは「賛否」ではなく説明
議会には、市長に賛成する議員も反対する議員も必要である。全員が市長に賛成する議会は監視機能を失う。すべてに反対する議会も、市民生活を止める。
大切なのは、賛否そのものではない。
- なぜ賛成したのか。
- なぜ反対したのか。
- 何を調べ、どの資料を根拠に判断したのか。
- その判断が後に誤っていた可能性が生じた時、どう総括したのか。
それを市民が確認できることだ。
福岡市議会では、議案ごとの会派別、無所属議員別の賛否状況をウェブ上で公表している。議決行動を見えるようにすることは、特別に過激な制度ではない。
田川市議会も通常の公開採決では議員別の賛否を掲載している。だからこそ、市長不信任や政治倫理に関わる最重要案件だけが無記名となる現状には、再検討の余地がある。
誰が市長でも公開すべき10項目
今回の市政混乱を繰り返さないため、市長と議会には、少なくとも次の10項目の制度化が必要だ。- 市長交際費と議長交際費
支出先、目的、金額を原則公開する。 - 市長、副市長、議長の出張記録
日程、目的、同行者、公費、成果を公開する。 - 市長と議員の外部面会記録
企業、他自治体、政治関係者との面会日時と目的を公開する。 - 重要議案の議員別賛否
市長不信任、政治倫理、100条委員会設置などは、原則記名とする。 - 白票・棄権の理由
重大議案で意思を示さなかった場合は、各議員が理由を説明する。 - 100条委員会設置の判断基準
証拠、公益性、緊急性、費用など、調査権を使う共通基準を作る。 - 新庁舎など大型事業の費用と工程
契約、変更理由、進捗、将来負担を継続的に公開する。 - ふるさと納税の寄附額・経費率・純財源
集めた金額だけでなく、市に実際に残った額を示す。 - 教育・福祉・企業連携の成果指標
協定締結や事業実施ではなく、市民にどの成果が返ったかを公表する。 - 市長と議会による定例説明
成功だけでなく、遅延、失敗、見直しも市民に説明する。
田川市議会は2025年11月、約60人が参加する議会報告会を開いている。市民と意見交換する場を作る力は、すでに持っている。必要なのは、通常の活動報告にとどまらず、今回の市政混乱について議会自身が検証結果を示すことである。
市議補選候補者に聞くべき7問
市議補選は、単なる欠員補充ではない。今回の混乱を踏まえ、議会の正常化に寄与できる人物を選ぶ選挙である。
候補者には、次の7点を同じ条件で問うべきだ。
- 二度の市長不信任案否決をどう評価するか。
- 市長不信任や政治倫理案件の無記名投票に賛成か。
- 村上市長の公務調査案否決をどう評価するか。
- 市長・副市長・議員を対象とするハラスメント防止条例に賛成か。
- 全議案の賛否と理由を実名で公開することに賛成か。
- 今回の市政混乱について、議会独自の検証報告書を作るべきか。
- 過去市政と現市政を、同じ基準で検証すると約束できるか。
この回答を一覧で掲載すれば、市民は、候補者がどの陣営に近いかではなく、議会改革に何を考えているのかで選べる。
「村上派」を探すより、政治行動を見る
今回の検証で重要なのは、「誰が村上派か」という名札を貼ることではない。名札は変えられる。会派も組み替わる。選挙時の立場も変わる。
だが、議会での発言、提出議案、採決行動は公文書として残る。
市民が見るべきなのは、議員が誰と親しいかではない。
- 重要な場面で、どのような判断をしたのか。
- その判断を、現在も自分の言葉で説明できるのか。
- 判断が結果として適切でなかった可能性がある時、自ら検証できるのか。
それこそが、議員の品格である。
市民ファーストの議会とは、市長を守る議会でも、市長を倒す議会でもない。
事実を調べ、同じ物差しで判断し、賛否を公開し、自らの選択に責任を負う議会である。
市長を替えるだけで、田川市政は変わるのか。
その答えは、市長選だけでなく、市議補選と、現職議員一人ひとりの今後の行動によって決まる。
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調べる案件、調べなかった案件
村上市長の公務調査は否決、過去案件には100条委員会――議会の物差しは同じか
市議会の役割は、市長に賛成することでも、反対することでもない。市政運営が適切に行われているかを監視し、必要な事実を調べ、市民に説明することである。
そこで、田川市議会の判断を時系列で見ると、一つの疑問が浮かぶ。
なぜ、ある案件は強い調査権を使って追及し、別の案件は議会として調べなかったのか。
市長の公務出張と人事を調べる議案は否決
2025年3月、市議会には「田川市長の公務の調査に関する決議」が提出された。対象は、村上市長の公務出張に加え、人事評価や人事異動が適切に行われたのかという問題だった。地方自治法100条、98条に基づく権限を持つ特別委員会を設置し、議会として調査しようとする内容だった。
採決は公開され、賛成7、反対9で否決された。
反対したのは、次の9氏である。

当時の会派で整理すると、「シン・タガワ」「社民党市議会議員団」「新風会」「日本共産党市会議員団」にまたがっていた。特定の一会派だけによる判断ではない。
この反対をもって、9氏がセクハラや不倫を容認したと断定することはできない。被害者の二次被害を避けることや、第三者委員会の調査を優先することを重視した議員もいた可能性がある。
しかし、この議案が対象としていたのは男女関係の真偽だけではなかった。
- 公費を伴う出張が適切だったのか。
- 人事評価や人事異動に恣意性はなかったのか。
- 市長の権限が行政組織の中で適正に行使されたのか。
議会自らが持つ調査権を使わないと決めた以上、反対した議員には、なぜ議会調査が不要だったのか、代わりにどのような方法で事実確認を行うつもりだったのかを説明する責任がある。
その後、過去の2案件には100条委員会
ところが、その後の田川市議会は、過去の2案件に地方自治法100条に基づく調査特別委員会を設置している。一つは、2021年の情報公開請求に関する個人情報漏えい疑惑である。市は、情報漏えいがあった可能性を否定できないとして、請求者側と和解した。調査決議は香月氏が提出し、柿田、榊原、石松、小林の4氏が賛成者となった。
もう一つは、2019年度の指名競争入札による建設工事発注をめぐる疑惑である。調査決議は榊原氏が提出し、柿田、村吉、石松、小林の4氏が賛成者となった。
過去案件を調べること自体は、議会の正当な役割である。
情報公開制度の根幹に関わる問題や、公平な入札に疑念がある問題を調査することに異論はない。
ただし、市民に説明されるべき事実がある。
村上市長の公務調査案に反対した9氏のうち、榊原、村吉、香月、石松、小林、柿田の6氏は、その後、過去案件を調べる100条委員会の提案者または賛成者となっている。
なぜ村上市長の公務出張や人事異動は議会調査に値せず、2019年、2021年の案件には強制力を伴う100条調査が必要だったのか。
案件の違いはある。だからこそ基準を示すべきだ
もちろん、三つの案件は同一ではない。情報漏えい問題では、市が可能性を否定できないとして和解している。建設工事発注問題では、具体的な業者選定をめぐる疑義が示されている。
一方、村上市長の問題では当時、第三者委員会の最終結論がまだ出ておらず、女性職員のプライバシーと二次被害への配慮も必要だった。
だから、単純に「過去案件だけを狙った」「市政によって調査基準を変えた」と断定することはできない。
しかし、案件が異なるからこそ、議会は判断基準を明らかにする必要がある。
- どの程度の証拠があれば、100条委員会を設置するのか。
- 公益性、緊急性、調査費用、関係者への負担をどう比較するのか。
- 第三者委員会がある場合、議会調査をどこまで控えるのか。
- 第三者委員会の結論が出た後、議会は自らの判断を再検証するのか。
その物差しが公表されなければ、市民には「誰を調べるかによって議会の姿勢が変わっている」と見えてしまう。
市長問題以前から続く議会内の対立
田川市議会の混乱は、村上市長のセクハラ問題だけで始まったものではない。2023年12月には、議事運営の公平性などを理由として陸田孝則議長への不信任決議が可決された。その後、議長の言動をめぐる懲罰特別委員会が設けられ、2024年2月には公開の議場で陳謝する懲罰が可決されている。
議長不信任は2025年5月、7月、12月にも提出され、12月の不信任決議も可決された。議会自身の広報でも、「会派間の信頼は崩壊している」「現在の市議会は正常な判断ができない状態にある」といった、議員同士の厳しい評価が公表されている。
市長と議会の対立だけではない。
議員と議員、会派と会派、議長と一部議員の間で、長期にわたり信頼が損なわれてきたことが、公文書から見える。
つまり、今回の市政混乱は一人の市長だけを交代させれば解消する問題ではない。
6月議会で、議会自身の検証は行われたか
2026年6月議会の一般質問では、永松広宣氏が「セクハラの再発防止と組織改革」を正面から取り上げている。市政正常化に不可欠な質問である。一方、佐藤俊一氏と永松氏は二場市政期から始まった高度実践型未来農業者輩出事業を、村吉勇介氏は中学校再編の評価を取り上げた。過去の政策を検証することも、議員の正当な仕事である。
ただ、一般質問は基本的に、市長や執行部に対して市政を問う場である。議会自身の判断を議会に質問する制度ではない。
だからこそ、二度の不信任否決、公務調査案の否決、無記名採決を選んだ経緯については、一般質問とは別に、議会運営委員会や検証特別委員会、議会報告書という形で総括する必要がある。
過去市政を調べる議会が、自らの直近の判断だけは検証しないのであれば、市民の不信は消えない。

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市長は辞職した。議会は何を総括したのか
二度の不信任否決と無記名投票――市政混乱の「もう一つの責任」
村上卓哉前市長は辞職した。全国ニュースやテレビは、女性職員へのセクハラ認定と辞職という「その瞬間」を大きく報じた。しかし、地域を継続して見る媒体が追うべきなのは、市長が辞職したという結末だけではない。
問題が表面化してから辞職に至るまで、市議会は何を調べ、どのような判断をし、その結果を現在どう総括しているのか。
田川市政の混乱は、市長一人だけの問題として終わらせてよいのだろうか。
議会全体が村上市長を守った、とは言えない
まず、事実は丁寧に分ける必要がある。2025年3月定例会で田川市議会は、村上市長に対する問責決議を全会一致で可決した。辞職勧告決議も賛成9、反対7で可決し、市長給与を任期末まで50%減額する条例も全会一致で可決している。
従って、「市議会全体が一枚岩となって村上市長を守った」と表現するのは正確ではない。市長の責任を厳しく問う意思を示した議員も、早期辞職を求めた議員もいた。
一方で、最も重い政治判断である不信任決議案は成立しなかった。
2025年3月19日の不信任案は、無記名投票で賛成10、反対7。通常の議案なら賛成多数だが、市長不信任には出席議員の4分の3以上、当時は13票が必要だったため否決された。
4月30日に再び提出された不信任案も無記名投票となり、賛成9、反対扱い9で否決された。反対扱いとなった9票には、意思を明示しない白票4票が含まれていた。
その後、市の第三者調査委員会は、公用車内で女性職員の手を握った行為や、その後の性交渉など計4件をセクハラと認定した。報告は、女性職員の立場上、拒否が困難であることを十分認識しないまま行為をエスカレートさせたと指摘した。村上氏は2026年5月末で辞職し、市議会も辞職に全会一致で同意した。
結果として、不信任を成立させないだけの議員が二度にわたって存在し、村上市政の継続を可能にしたことも、消すことのできない事実である。
誰が続投を選んだのか、市民には見えない
最大の問題は、二度の不信任採決がいずれも無記名だったことだ。不信任とは、市長がその地位にふさわしいかを議会が判断する、極めて重い採決である。それにもかかわらず、市民は、自らが選んだ議員が賛成したのか、反対したのか、白票を投じたのかを確認できない。
無記名投票は議会のルール上可能である。だが、ルール上可能であることと、市民への説明責任を果たしていることは同じではない。
市長に「ガラス張りの市政」を求める一方で、市長の存否を決める議員自身の判断は見えない。
この矛盾こそ、田川市議会が総括すべき第一の問題ではないか。

続投論を公に述べた議員は、今どう考えるのか
無記名投票である以上、不信任に反対した全議員を実名で断定することはできない。一方、3月議会で不信任に反対する理由を公に述べた議員は確認できる。
石松和幸氏は、村上氏が2年間で多くの成果を上げたとして、説明責任と信頼回復を求めながら、道半ばの施策を前進させるべきだと述べた。
小林義憲氏は、職員アンケートや改革継続を理由に、不信任に反対した。4月の再提出時にも、第三者委員会の報告を待つべきであり、判断は時期尚早だとの意見を表明した。
香月隆一氏は、不信任を可決すれば市政改革が逆戻りするとし、村上氏に反省と改革継続を求めた。
第三者委員会の結論が出る前に慎重な判断を求めたこと自体には、一定の論理がある。被害を訴える女性への二次被害を避け、外部の専門家による調査を待つべきだという考え方も理解できる。
しかし、第三者委員会が実際にセクハラを認定し、市長が辞職した今、当時続投論を述べた議員にも改めて聞く必要がある。
- 当時の判断は今も正しかったと考えているのか。
- 市政継続によって得られた成果と、混乱が長期化した不利益をどう比較するのか。
- 第三者委員会の認定を受け、何を見誤った、あるいは見誤っていなかったと考えるのか。
- 同じ事態を繰り返さないため、どの制度改革に賛成するのか。
不信任への反対は、直ちにセクハラの容認を意味しない。だが、後に重大な認定が出た以上、自らの政治判断について市民に説明する責任は残る。
問われているのは「村上派」という呼び名ではない
「村上派」は公的な会派名ではない。
議員を曖昧な陣営名で一括りにすれば、記事そのものが好き嫌いや選挙戦術に引きずられる。本紙が検証するべきなのは、確認可能な政治行動である。
- 誰が続投論を述べたのか。
- 誰が調査に賛成し、誰が反対したのか。
- 誰が記名による説明を避けたのか。
- 誰が現在、自らの判断を検証しているのか。
市長は辞職した。次に問われるのは、その市長を監視する立場にあった議会が何を学んだのかである。
市長辞職をもって事件を過去にすれば、議会の判断は検証されないまま残る。

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疑われない市政の最低条件
誰が市長でも公開すべき10項目
田川市政が再び疑念や印象論に覆われないためには、候補者個人の人柄や自制に期待するだけでは足りない。次の市長には、少なくとも以下の情報を制度として公開することを求めたい。
重要なのは、候補者が「私は誠実だ」「私は信用できる」と語ることではない。市民が資料で確認できる仕組みを作ることである。
村上氏には、第三者委員会の認定を踏まえた再発防止制度が問われる。佐々木氏には、県議辞職の理由と公に否定する事項を整理し、政策選挙を妨げる疑念を早期に区分する説明が求められる。二場氏には、前回選挙で生じた疑念を公開制度へ変えることが求められる。浦野氏には、発信の多さだけでなく行政情報の正確性と検証可能性が問われる。今永氏には、まず比較できる政策資料の公開が必要となる。
田川市長選を政策選挙に戻す方法は、疑念を無視することではない。候補者が事実関係を早期に説明し、その後は数字と政策で競うことである。本紙は全陣営に同じ共通質問と、公開政策・公開報道に基づく個別質問を送り、回答を公平に掲載する。

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看板政策を数字で検証する
100億円、学校再編、119億円庁舎、財政再建に実現の道筋はあるか
選挙では、短い言葉ほど伝わりやすい。「100億円」「学校を再検証」「庁舎を見直す」「実績を継続する」といった主張は市民の関心を集める。しかし、市長の仕事は言葉を掲げることではなく、予算、条例、人員、議会、国県、事業者を動かし、結果を出すことである。佐々木氏の「ふるさと納税100億円」
100億円が不可能だと決めつけるべきではない。全国には短期間で寄附額を大きく伸ばした自治体もある。ただし、田川市の令和6年度実績は7.31億円、令和8年度見込みは15億円であり、100億円を掲げる側には、規模に応じた具体的な事業計画が必要になる。1. 達成年度と年度別の寄附目標
2. 主力返礼品と年間供給数量
3. 参加事業者数と新規開拓の方法
4. 広告費、ポータルサイト費、写真・ページ制作費
5. 物流、在庫、問い合わせ、品質管理の実施主体
6. 募集経費率と市に残る純財源
7. 特定返礼品や制度変更への依存リスク
8. 未達時に計画を見直す時点と基準
100億円という目標を評価するためには、「何を売るか」だけでなく「誰が、何件を、いくらの経費で処理し、市にいくら残すか」まで示されなければならない。
浦野氏の「中学校2校体制の再検証」
現在の再編方針は、21回の審議、市民アンケート、住民説明会を経た最終答申に基づく。答申では、生徒数減少と小規模校化による教育活動上の制約を改善することも目的とされた。したがって、再検証で問われるのは「声を聞くか」ではなく、過去の答申のどの前提が変わったのか、現在の2校でどの問題が生じているのか、巻き戻す場合の施設費、教職員配置、通学、部活動への影響はいくらか、小中一貫校に必要な人材と改修・建設費はいくらか、新たな結論まで子どもの環境をどう安定させるかである。
教育の切り取りワードだけでなく、子どもを再度の制度変更にさらさない工程と根拠を示せるかが問われる。
二場氏の「新庁舎再点検」と財政ロードマップ
新庁舎の概算事業費は約119.3億円で、自己資金約41.1億円、地方債約78.2億円を見込む。周辺環境整備費は含まれず、現時点の概算は物価や計画精査で変動する可能性がある。二場氏が再点検を掲げるなら、総事業費の上限、維持する防災・市民サービス機能、削減・変更する機能、遅延費用、市民参加の方法、最終判断の期限を明らかにする必要がある。
財政再建についても、経常収支比率、実質単年度収支、基金、地方債残高、ふるさと納税の純財源など、初年度、2年目、任期末の到達点を示すべきである。総合政策であるほど「最初に何をするか」が曖昧になりやすい。優先順位と数値目標が政策の完成度を左右する。
村上市政の「実績」を結果で検証する
村上氏が在任中の実績や政策継続を訴えるのであれば、実施事業の数ではなく、結果を示す必要がある。人口の社会増減、自主財源、教育指標、企業誘致による雇用、新庁舎計画の進捗と市民理解など、就任時と辞職時を同じ指標で比較するべきである。「圧力に屈せず実行した」という政治姿勢も、何を実行し、どの成果が生じ、どの副作用や未達があったのかを資料で示して初めて評価できる。
今永氏にも同じ物差しを
今永氏については、政策資料が示された段階で同じ数字と工程の物差しを当てる。公開資料が少ないことを理由に否定的評価をするべきではないが、投票日までに比較材料を出すことは候補者の責任である。
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出直し選で問われる「説明責任」
市長の信用を、謝罪や印象ではなく、事実経過と制度で確認する
今回の田川市長選は、市長本人の行為を第三者委員会がセクハラと認定し、辞職に至ったことから始まった。そのため、品格や説明責任を政策と切り離すことはできない。田川市の6月補正予算では、市長選と市議補選の選挙費として3,955万9千円、予備費を含む補正総額として5,244万2千円が計上された。市議補選を含む合算額である点には注意が必要だが、通常予定されていなかった時期に市長選を実施するため、新たな公費が必要となったことは事実である。
「ガラス張り」は村上氏自身に適用されるか
村上氏には、第三者委員会の報告を前提として、一連の経緯を時系列で説明する必要がある。問題となった公務や出張はどのようなものだったのか。市長と職員の上下関係をどう認識していたのか。委員会のどの認定を受け入れ、どの部分に異論があるのか。なぜ辞職し、何が変わったため再び立候補するのか。SNS動画や会見で謝罪したことと、市民が再発可能性を判断できるだけの説明をしたことは同じではない。「反省している」「審判を仰ぐ」という言葉だけでなく、市長本人を監視する第三者制度、職員の外部相談窓口、公務出張と職員同行の規則など、再発防止策を具体化する必要がある。
再出馬が報じられるたびに、過去の報道が再び参照されることは避けにくい。市長は企業誘致、大学連携、ふるさと納税、国県との交渉で田川を代表する。自身の信用が田川市の対外信用に及ぼす影響と、追加公費を伴う出直し選の政治的責任についても、説明が求められる。
同じ基準は佐々木氏にも向けられる
佐々木氏は2025年、一般女性との過去の不適切な関係を理由に県議を辞職した。関連する名誉毀損訴訟は請求放棄で終結したと報じられている。また、辞職に伴う県議補選では、田川市の補正予算に2,589万円の選挙費が計上され、同額の県委託金が財源とされた。市の一般財源負担ではないが、公費を用いる補欠選挙が必要になった事実は残る。ネット上では、これとは別の主張も流通している。選挙前に出る情報には政治的意図やネガティブキャンペーンが含まれる可能性があり、本紙が裏付けられない個別内容を事実として再掲するべきではない。
しかし、「ネットの話には答えない」で済ませれば、疑念が選挙を覆い、看板政策が見えなくなる。政策選挙に戻すためにも、佐々木氏自身が、辞職理由として認めている事実、否定している主張、訴訟を請求放棄した理由、今後の再発防止を整理して説明することが望ましい。これは未確認情報を追認するためではなく、候補者本人が事実と虚偽を早期に区分するためである。
二場氏にも前回選挙への説明が必要
二場氏も説明責任を免れない。2023年の市長選では、周辺自治体との関係や情報公開のあり方が選挙の背景として報じられた。返り咲きを目指すなら、「違法行為が認定されたわけではない」「噂だった」と述べるだけでは、市民が以前との違いを確認できない。他自治体や企業との面会記録を公開するのか。連携協定の費用、成果、終了理由を公表するのか。契約や事業者選定の過程を見せるのか。市長交際費、出張、重要会議資料を原則公開するのか。疑われた後の釈明ではなく、疑われにくい制度を具体的に提示できるかが問われる。
全候補に必要な説明責任
説明責任とは、問題が起きた際に謝ることだけではない。何が起きたのか、なぜ起きたのか、誰が確認したのか、再発をどう防ぐのか、その仕組みを市民がどう検証できるのか。この五つを示すことである。浦野氏と今永氏にも、市長自身を対象に含む倫理・ハラスメント防止制度と、行政情報の公開範囲をあらかじめ示すことが求められる。
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田川市長選、5候補の政策は何に答えるのか
人物の印象ではなく、財源・工程・実行体制を同じ物差しで見る
前市長の辞職に伴う田川市長選は、7月5日告示、12日投開票で行われる。6月22日の「立候補予定者と対話する会」には、浦野仁氏、佐々木允氏、二場公人氏、村上卓哉氏、今永信之氏の5人が立候補予定者として掲載された。正式な候補者は告示日に確定するが、市民が比較できる政策材料を今の段階から整理する必要がある。本稿で用いる物差しは四つである。第一に、目標が具体的か。第二に、財源が示されているか。第三に、実行までの工程と行政体制があるか。第四に、市民が後から成果を検証できるかである。
田川市の令和6年度ふるさと納税実績は36,596件、7億3,110万7,540円。令和8年度予算では寄附見込額15億円、必要経費割合57.7%とされる。新庁舎整備の概算事業費は約119.3億円で、周辺環境整備費は含まれない。令和7年度全国学力調査では、中学校数学の標準化得点は68.3だった。どの政策も、こうした現在地から離れて評価することはできない。
浦野仁氏
教育への熱意を、行政の工程に変えられるか浦野氏は「田川、新時代」を掲げ、教育、子育て、経済、福祉の4分野を柱としている。中学校2校体制の再検証、不登校対策、行政・学校・民間・福祉の連携、小中一貫校の検討など、教育を前面に出す姿勢は明確である。
教育を主要争点にすることには合理性がある。田川市では中学校数学の全国平均との差が大きく、不登校、部活動、通学、教員負担も含めて改善が必要だからだ。
一方、中学校再編は白紙の状態から始まったものではない。市民アンケート、住民説明会、21回の審議会を経て最終答申がまとめられた。再検証を掲げる以上、過去の議論のどの前提が変化したのか、何を維持し、何を変え、費用と期間をどの程度見込むのかを示す必要がある。
「声を聞く」「一貫教育を検討する」という言葉だけでなく、初年度に着手する施策、教育委員会との役割分担、再検証中も子どもの教育環境を安定させる手順まで語れるかが問われる。
佐々木允氏
100億円という目標に、事業計画を添えられるか佐々木氏の代表的な政策は「ふるさと納税100億円」である。福祉、人権、教育を守るには外から財源を獲得する必要があるとして、農産物、企業の技術、炭鉱の歴史、体験型返礼品などをブランド化する考えを示している。財源論を正面から掲げた点は分かりやすい。
ただし、100億円は令和6年度実績の約13.7倍、令和8年度見込み15億円の約6.7倍である。寄附額がそのまま市民サービスに使えるわけではなく、返礼品、送料、広告、ポータルサイト、委託費などの経費が生じる。
政策として評価するには、達成年度、年度別目標、主力返礼品、供給量、参加事業者数、広告費、物流・在庫・問い合わせ対応、経費率、市に残る純財源を示す必要がある。
目標が大きいこと自体は問題ではない。だが、数字に応じた説明密度がなければ、市民に希望を与える目標である一方、選挙向けの耳触りのよい言葉にも見える。問われるのは金額の大きさではなく、実現までの設計図である。
二場公人氏
総合政策を、検証可能な数値にできるか二場氏は、市長経験を背景に、財政、新庁舎、教育、DX、外部連携を横断する政策を打ち出している。個別の給付や事業を並べるより、市政全体の優先順位を組み直そうとする点が特徴である。
過去には、田川市がソフトバンクとDX・ICT利活用に関する連携協定を結び、青山学院大学との包括連携も進めた。外部の企業や大学を市政に引き込んだ経験は、行政運営上の一つの材料となる。
ただし、協定を結んだことと、市民生活に成果が返ったことは同じではない。何が実現し、何が途中で止まり、今後どの指標で成果を測るのかを説明する必要がある。
財政再建を掲げるなら、初年度、2年目、任期末の数値目標が必要になる。新庁舎を再点検するなら、継続・縮小・変更の判断基準と期限を示さなければならない。政策の幅広さを、優先順位と検証可能な数字に変えられるかが焦点である。
村上卓哉氏
在任中の実績と、辞職に至った責任を切り離さず語れるか村上氏は前回選挙で「ガラス張りの市政」や主体的な市政運営を掲げ、現職だった二場氏を破った。今回も、在任中に取り組んだ政策や実績を市民に判断してもらうとして、出直し選への立候補を表明している。
しかし、今回は通常の継続選挙ではない。市の第三者委員会が女性職員に対する複数の行為をセクハラと認定し、村上氏が辞職したことに伴う選挙である。
在任中に実施した政策を訴えることは当然だが、実績の説明と辞職の説明を別々に扱うことはできない。「ガラス張り」を掲げるなら、何が起き、どの認定を受け入れ、なぜ辞職し、短期間で再出馬するのかを、自身の問題にも適用して説明する必要がある。
さらに、再発防止を本人の自制に委ねるのか、独立した相談窓口や第三者監視を制度化するのか。失った信用を、どの仕組みで回復するかまで示せるかが問われる。
今永信之氏
政策資料の提示が、まず必要になる今永氏は5人目の立候補予定者として対話会に掲載されている。一方、6月21日時点で本紙が確認できた範囲では、他候補と同じ粒度で比較できる詳細な政策資料や財源計画は限られている。
新人が既存候補とは異なる視点を示すことには意味がある。しかし、市長選では、新庁舎、財政、教育、ふるさと納税、福祉、透明性について、立場と優先順位を示す必要がある。
公開資料が少ないことだけを理由に否定的評価をするべきではないが、投票日までの時間が限られる中、政策を示さないこともまた有権者への情報不足となる。
今永氏については、政策資料が公表された段階で、他の4氏と同じ物差しを当てて検証したい。まず問われるのは、市民が比較できる材料を、いつまでに、どの形式で示すかである。
5候補の訴えは異なる。しかし、市民が見るべき基準は共通である。目標、財源、工程、行政体制、検証方法を示せるか。今回の市長選を政策選挙にするには、候補者の強い言葉より、実行できる設計図を比較する必要がある。

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田川市長選、4候補の政策と説明責任をどう読むか
市民の血税を使う選挙だからこそ、印象ではなく「品格」と「設計図」で選びたい
前市長の辞職に伴う田川市長選は、7月5日告示、7月12日投開票で行われる。今回の選挙は、任期満了による通常選挙ではない。女性職員へのセクハラ認定を受けて村上卓哉前市長が辞職したことに端を発する、いわば出直し選挙である。出馬を表明しているのは、村上前市長、二場公人元市長、佐々木允元県議、浦野仁氏の4人。短期決戦の中で、市民は次の市政の担い手を選ばなければならない。しかも、この選挙には市民の税金が使われる。田川市の令和8年度6月補正予算案では、市長選及び市議補選の執行に係る経費総額として5,244万2千円が示され、そのうち3,955万9千円を補正予算案に計上している。約4,000万円規模、予備費分を含めれば5,000万円を超える公費を使い、市民はもう一度、市長を選び直すことになる。
だからこそ、今回の市長選を、噂、感情、しがらみ、SNS上の印象、足の引っ張り合いで終わらせてはならない。問われるべきは、誰が一番強い言葉を使うかではない。誰が田川の信用を回復し、人口減少、財政、教育、福祉、地域経済、新庁舎整備を現実に動かせるのかである。
村上前市長は、自身の辞職に伴う出直し選に再び立つ構えを示している。報道によれば、市の第三者委員会は、秘書だった女性職員に対する複数の行為をセクハラと認定した。村上氏は「市政の混乱と停滞を避けたい」として5月31日付で辞職したが、一定のけじめを付けたとして、改めて市民に信を問う考えだという。
村上氏に問われるのは、政策以前に信頼回復である。前回掲げた「ガラス張りの市政」は、今回は自らに向けられる言葉でもある。ハラスメント防止、職員との関係性、意思決定の透明性、市政を混乱させた責任の総括を、反省の言葉だけでなく制度として示せるのか。市民が「もう一度任せてもよい」と思えるだけの説明責任を果たせるかが焦点となる。
二場元市長は、前回選挙で批判や疑惑への対応に追われ、政策や実績を十分に訴えきれなかった面がある。今回、二場氏が市民に求めるのは、単なる返り咲きではない。「もう一度信じてほしい」「田川を託してほしい」という信任を得るには、過去の市政運営への説明責任を避けず、経験を未来の政策に変える提案が必要になる。
二場氏の評価軸は、実際に外部連携を動かしてきた経験を、今の田川にどう再設計するかである。田川市は二場市政下でソフトバンクとDX・ICT利活用に関する連携協定を結び、5G、IoT、AIを活用した市民サービス向上や庁内外業務のDX推進を打ち出した。また、テックマヒンドラとのDX推進パートナー連携では、デジタル基盤整備、人材育成、デジタル実装などが掲げられた。これらを過去の実績で終わらせず、庁舎、教育、福祉、経済をつなぐ「田川再起動」の工程表として示せるかが問われる。
佐々木元県議は、「対立から解決へ」を掲げ、田川市を「稼ぐまち」に変える必要性を訴えている。中心政策として目を引くのが、ふるさと納税100億円である。佐々木氏は、人口減少による自主財源の減少、扶助費や医療費、公共施設維持管理費の増加を踏まえ、福祉・人権・教育を守るためには、田川市自らが稼ぐ力を持つ必要があると説明している。財源論を正面から語る姿勢そのものは、市民が注目すべき論点である。
一方で、佐々木氏には政策以前の説明責任も残る。報道では、佐々木氏は既婚の身でありながら別の一般女性との不適切な関係があったことを理由に県議を辞職したとされる。本人はパワハラや不倫は否定しているが、不倫などの噂を巡る名誉毀損訴訟については訴えを取り下げたとも報じられている。さらに、後援会主催のゴルフコンペ賞品を巡り、公職選挙法違反などの疑いで刑事告発されたとの報道もあるが、本人は法令違反にはあたらないとの認識を示している。今回の市長選は、まさにトップの品格と公私の線引きに端を発した出直し選である。佐々木氏がこれらの経緯をどう説明し、市民にどう納得を求めるのかは、避けて通れない。
また、100億円という数字は、市民に希望を与える一方で、根拠がなければ市民の不安を置き去りにする。田川市の令和6年度ふるさと納税実績は36,596件、7億3,110万7,540円である。100億円はその約13.7倍にあたる規模であり、単に「目指す」と言うだけでは足りない。主力返礼品は何か、何年で到達するのか、参加事業者はどれだけ確保できるのか、物流・在庫・広告・問い合わせ対応を誰が担うのか、経費を除いて田川市にいくら残るのか。政策として問われるのは、数字の大きさではなく、実現までの設計図である。
浦野氏は、30歳の新人として「田川、新時代」を掲げる。公式サイトでは、教育、子育て、経済、福祉の4つの改革を柱に、しがらみのない政治、市民最優先の政治を訴えている。学習塾経営の経験や海外での経営学習を市政に注ぎ込むとしており、若さ、発信力、教育現場での経験は、閉塞感のある田川に新しい空気を入れる要素である。
一方で、市長職は思いだけでは務まらない。教育改革一つを取っても、学校再編、通学、部活動、不登校、教員負担、財源、議会調整が絡む。子育て支援、福祉、交通、企業誘致も同じである。民間経営や教育現場での経験を、行政の制度、予算、組織運営にどう翻訳するのか。浦野氏には、若さを実行力に変えるための手順を示すことが求められる。
4候補とも、それぞれに訴えるものはある。村上氏は、信頼を失った市政をどう制度として立て直すのか。二場氏は、過去の説明責任を果たしたうえで、経験と実績をどう再起動の政策に変えるのか。佐々木氏は、品格を問われる経緯をどう説明し、100億円という大きな目標をどう現実の財源計画に落とすのか。浦野氏は、若さと教育への熱を、どう行政の実行力に変えるのか。
市民の血税を使って行われる選挙だからこそ、田川市民には、印象ではなく政策で選ぶ責任がある。不倫、セクハラ、疑惑、対立、印象操作。そうした言葉で田川の名前が語られる時間は、もう終わりにしなければならない。
問われているのは、田川の品格である。
そして、田川の将来である。
誰なら信じられる説明があるのか。
誰なら託せる政策があるのか。
誰なら、その政策を本当に動かせるのか。
今回の田川市長選は、過去への怒りをぶつける選挙ではない。田川の信用を取り戻し、未来を選び直す選挙である。

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田川市長選挙
再び「印象選挙」か、それとも政策で選ぶ本質選挙か
前市長の辞職に伴う田川市長選は、7月5日告示、7月12日投開票で行われる。田川市選挙管理委員会が日程を公表しており、突然の市長交代を受けた選挙となる。今回の選挙で問われるのは、単に「誰が次の市長になるか」ではない。ここ数年、田川市政を覆ってきた疑惑、批判、告発、印象操作、足の引っ張り合いの政治から、市民が本当に抜け出せるのかという点である。村上卓哉前市長は、女性職員へのセクハラ行為が第三者委員会に認定されたことを受け、5月31日付で辞職した。前市長は前回選挙で「田川市を取り戻す」と訴え、二場公人前市長の市政運営への批判を追い風に当選した。しかし、その市政が任期途中で自らの問題により幕を閉じたことは、市民に重い失望を残した。政治家の私生活がすべて公的問題になるわけではないが、職員との関係、権力関係、市政混乱につながった問題であれば、トップとしての品格と説明責任は避けられない。
田川市の課題は待ってくれない。令和8年6月1日現在の住民基本台帳人口は4万3630人。人口減少、少子高齢化、地域経済の停滞、教育、公共施設の老朽化は、誰が市長になっても直面する現実である。つまり、今回の選挙は「雰囲気のよい候補」「批判がうまい候補」を選ぶ選挙ではなく、停滞した市政を実際に動かせる候補を選ぶ選挙でなければならない。
その中で、最も注目されるのが、6月8日に無所属で立候補する意向を表明した二場公人元市長である。前回選挙では、二場氏は疑惑や批判への対応に追われ、政策や実績を十分に訴えきれなかった面がある。もちろん、過去の市政運営について説明責任がなくなったわけではない。情報公開、周辺自治体との関係、行政判断の透明性は、今回も市民が確認すべき論点である。
一方で、前回の選挙が「印象」に傾きすぎたことも、今となっては冷静に検証されるべきだろう。批判や噂と、確認された事実は分けて考える必要がある。選挙に勝つための言葉は強く響く。しかし、市政を前に進めるには、国、県、民間企業、職員組織、市民を動かす実務力が必要になる。その点で、二場氏が市長時代に進めたソフトバンクとのDX・ICT連携、テックマヒンドラ・コミュニケーションズ・ジャパンとのDX推進パートナー連携などは、田川が外部の力を取り込み、次の産業や行政改革に向かおうとした実績として再評価の対象になり得る。
対抗軸として名前が挙がる佐々木まこと元県議は、6月2日に立候補の意向を表明した。県議経験があり、「対立から解決へ」と訴える姿勢は一定の期待を集める可能性がある。ただし、佐々木氏は過去に一般女性との不適切な関係を理由に県議を辞職している。本人は法的問題はないと説明し、パワハラや不倫疑惑については否定しているが、村上前市長の問題で市政が混乱した直後だけに、有権者は公私の線引きや説明責任について、より厳しく見ることになるだろう。
また、新人の浦野仁氏は4月15日に立候補の意向を表明しており、「田川、新時代」を掲げる。若さや発信力、学習塾経営の経験は、閉塞感のある田川に新しい空気をもたらす要素ではある。ただ、市長職は発信力だけでは務まらない。財政、議会、人事、公共事業、防災、福祉、教育、企業誘致を同時に動かす総合行政の責任者である。若さを評価するにしても、具体的な政策、実行体制、財源の裏付けを見極める必要がある。
今回の市長選で避けて通れないのが、新庁舎整備である。田川市の新庁舎整備基本構想素案では、概算事業費は約119.3億円。財源は自己資金約41.1億円、地方債約78.2億円を見込むとされている。現庁舎の老朽化や耐震性の課題は事実であり、建て替えそのものを単純に否定する話ではない。しかし、119億円規模の事業を「必要だから進める」だけで済ませてよいのか。防災拠点、行政DX、市民サービス、周辺地域の再生、民間投資誘導まで含めたロードマップがなければ、一時的な建設需要だけが残り、将来世代への負担となりかねない。
市民が今回見るべきなのは、誰が誰を批判したかではない。誰が数字を見ているか。誰が財源を語れるか。誰が庁舎を単なる箱モノではなく、まちの再起動拠点として描けるか。誰が教育、人口減少、地域経済を一体で語れるかである。
前回の選挙では、批判の勢いが結果を動かした。だが、批判によって市長を代えることと、まちを良くすることは同じではなかった。今回、市民が再び印象や感情に流されるなら、田川市政はまた同じ混乱を繰り返すことになる。
二場氏にとって今回の選挙は、単なる返り咲きの機会ではない。前回十分に伝えきれなかった実績と政策を、冷静に、具体的に、市民の前に示せるかが問われる選挙である。同時に、有権者にとっても、噂やしがらみではなく、政策と実行力で市長を選び直す機会である。
田川は、もう一度問われている。
印象で選ぶのか。批判で選ぶのか。
それとも、停滞を動かす政策で選ぶのか。

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今年の十大ニュース
今年もあと残すところあと3日となりました。
県内各地から数多くの話題を提供頂きました。
感謝の意を込め、弊社が選ぶ十大ニュースを発表します。
10位 春日市長、資産報告に虚偽記載の疑い
7期目の選挙も楽勝だった春日市の井上澄和市長、情報開示を拒む姿勢は大任町並みと指摘する声も。→ 関連記事

9位 我がことだけ、なりふり構わない 稲富修二代議士
4月の統一地方選、立憲の稲富代議士は 他党の県議と2連ポスターを作ったかと思えば立憲のN市議の支援は一切せず、理解に苦しむ行動が目立つ。いったい何がしたいのか。
→ 関連記事

守谷県議は国民民主党幹事長代行(当時)、現在は常任幹事
8位 ワクチン接種後の副反応被害が表面化
今年も新型コロナウイルスワクチン副反応被害に関連する記事を書いた。来年も マスコミが報じない影の部分にスポットを当てていきたい。
→ 関連記事

7位 立憲県連顧問の吉村氏、政党支部の残金900万円を自身の政治団体へ
「政治とカネ」の問題を追求するはずの立憲民主党、その県連顧問がこれでは まともな追求ができるはずがない。→ 関連記事

6位 飯塚市の坂平副議長、百条委員会を振り切る
「今すべき事を、今行います。」と当たり前のことを公約に掲げたにも拘わらず、再選を果たした飯塚市の坂平市議、来年は 素晴らしいゴミ焼却施設建設のオピニオンリーダーとして期待が集まっている。→ 関連記事

5位 田川地区、介護と政治の深い闇
田川地区の介護保険料が高いのはなぜか。政治家が介護事業に関わっていることとの関係を検証した。
→ 関連記事

4位 現職の二場公人氏を破り 村上卓哉市議が新市長に
今年の統一地方選も各地でメイクドラマがあった。中でも特筆すべきは田川市長選挙だろう。
→ 関連記事

3位 佐々木県議会副議長、説明責任果たさず
田川市には清潔な県議会議員が必要です。政務活動費の支出の仕方や、親戚の県道取得への担保提供、報道を無視し続ける不誠実な態度は、政治の不信と疑念を増幅させています。
→ 関連記事

2位 進む 利権絡みの国道3号広川~八女バイパス建設
国道3号、八女市と広川町の住民が 渋滞解消を望んでいるのは 広川から久留米に向かう箇所だが、広川~八女に600億円の利権バイパスが実現しようとしている。福岡県民の負担は200億円、その分他の道路の整備が遅れる。
誰も止めようとしないのはなぜ?
→ 関連記事

1位 町村会会長選挙で大どんでん返し、永原町長敗れる
田川市長選で永原氏の義弟、二場公人氏が敗れたのに続き、福岡県町村会会長選挙で永原町長がまさかの敗戦、流れが変わったと実感した瞬間だった。→ 関連記事

以上ですが、こうして振り返ると やはり筑豊の話題が多いことに気づかされます。
来年も良い世の中になるよう情報発信に努めて参ります。
それでは、良いお年お迎えください。
介護施設の不在者投票前に二場候補が挨拶
昨日地元紙が、田川市の課長が 4月の市長選挙期間、現職だった二場候補に投票を呼び掛ける内容を LINEの同級生グループに送ったことが発覚し 戒告処分となったと報じた。
また、他のニュースサイトでも 同市における期日前投票の買収の実態について 詳細に報じていた。
田川地区の不正選挙はまだある。
介護福祉施設を利用した選挙違反が堂々と行われている。
同選挙期間中の4月18日、二場候補が 田川市内の有料老人ホームの食堂に訪れ、昼食前 入所者ら 約80人を前に 挨拶し、自身の後援会チラシを配布したことが、利用者の関係者の話で判った。
事実であれば、これだけで「戸別訪問の禁止」と「法定ビラ以外のチラシ配布の禁止」、2つの公職選挙法に抵触する可能性がある。
問題はこの先だ。
あろうことか、その2時間後、同施設では市長選と市議選の不在者投票が行われていたのである。
選挙管理委員会に確認したところ、入所者のうち18人が投票していたことが判った。
入所者には 選挙公報も届けられておらず、投票する際は 候補者名と政党名しか情報がない。
こうした中で、直前に候補者本人が挨拶に訪れ チラシまで配布すれば 有利になるのは間違いない。
福祉施設も二場候補に不在者投票の日時の情報を提供したと思われ、不正に加担したことになる。
ちなみに、その施設は某政治家の親族が経営している。
現在、田川市選挙管理委員会が鋭意調査中で、政治家がらみで及び腰になることはないと思われるが、証拠や証言が残っており これを見過ごすことはできないだろう。
当日配布されたチラシ
田川市長選挙、新人村上氏が接戦を制す
注目の田川市長選挙は、新人の村上卓哉氏が初当選を果たした。
3選を目指す二場公人氏に対し 元市議の村上氏が挑んだ選挙戦、選挙直前の3月に 田川郡東部環境衛生施設組合議会の百条委員会が 村上氏を告発する議案を可決するなど、行政を利用した選挙妨害とも取れる激しい前哨戦が繰り広げられた。
二場氏の出陣式には 田川郡の首長が顔を揃え 新人を寄せ付けない空気を見せつけたが、村上氏は「ガラス張りの政治」を訴え現職市議ら8人と共闘、草の根で支持を広げていった。
その結果、徐々に 衛生処理施設や水道施設の広域行政、ゴミ収集業者の入札、バイオマス発電所誘致など市政運営の不透明さが市民の間に浸透していった。
選挙中の情勢調査では 互角の戦いと言われていたが、最終的に村上氏が引き離し 予想以上 約4000票の差をつけて勝利した。

市長候補と市議候補8人の合同演説会
16日告示の田川市長選・市議選、例年に増して候補者たちの熱気が伝わってくるという声が聞かれる。
特に、牙城を守り抜きたい現職と 風穴を開けたい新人の一騎打ちとなっている市長選挙は、お互い譲らずどちらに転ぶか分からない状況だ。
20日、市内のディスカウントストアの駐車場で、市長候補と8人の市議候補が一堂に会し 合同演説会を行っている珍しい光景を目にした。
8人の市議候補がそれぞれの想いの丈を訴えた後、市長候補がマイクを握り「隠し事をするような市政にノーを突き付けましょう。私はガラス張りの市政を実現します」と力強く語り、集まった候補者全員当選へ向けて更なる支援を呼び掛けた。
市長選・市議選の期日前投票は前回のペースを上回り、19日までに4100人が投票を済ませたという。
投票所で列に並んでいた20歳くらいの若者が「俺15人集めた」と自慢していたとの話も聞かれ、期日前投票に極めて熱心な陣営がある様だ。
田川地区の方向性を大きく変える選挙戦は残り2日、警察2課も選挙違反には目を光らせているので、くれぐれも現金の授受などないよう各陣営・有権者共に気を付けて頂きたい。

当たり前の「情報公開」を訴える2人
弊社では情報公開に消極的な自治体にスポットを当て報じてきた。
個人情報以外の部分について開示するか否かの判断には 一定の幅があり、首長の裁量に委ねられていると言ってよいだろう。
そのため、開示した資料が「黒塗り」だらけの自治体は、官製談合や不都合なことを隠そうとしていると疑われても仕方がないのである。
また、そこの首長に限って、「条例に従い ガラス張りで公開している」と真顔で説明するものだ。
ところで、福岡県内の情報「非」公開のベスト4、大任町・田川市・春日市・嘉麻市のうち、田川市と春日市で首長選挙が明日16日に告示されるが、それぞれに情報公開が不十分と主張する立候補予定者がいるという。
公共施設の収支が黒塗りの春日市
春日市では、井上澄和市長が「放課後児童クラブ」の収支報告書を黒塗りで公開したことをきっかけに、他の公共施設(スポーツセンターや図書館、児童センターなど)の公共施設の収支計画者についても一律に黒塗りすることになった。学童施設で実費徴収したおやつ代をいくら使ったか、図書館がいくら図書の購入費に使うのか、市民も市議も知る術がなくなっている。
→ 春日市の情報公開に関する 過去の弊社記事
元市議で立候補を予定している川崎英彦氏(60)は、公共施設の決算書黒塗りを問題視し、情報公開推進会議の設置や、行政評価に外部の目を入れること、予算編成のプロセスの公開などを推進するとしている。
→ かわさき英彦 公式ウェブサイト

意思決定過程に疑問の多い田川市
田川市では、家庭用ごみ収集について市の委託業者選定が不透明だっとして、百条委員会が資料提出を求めたにも拘わらず、二場公人市長の判断で明らかにされず疑惑の解明に至らなかった。また、住環境に大きな影響のあるバイオマス発電所の建設が、住民に知らされないまま進められるということもあった。
→ 田川市の情報公開に関する過去記事
→ 田川バイオマス発電に関する過去記事
出馬を予定している市議の村上卓哉氏は、「公平・公正な市政をすすめるために税金の使い道を全て隠すことなく公開しガラス張りの行政を実現します」としている。
→ 村上たくや 公式ウェブサイト

春日市と田川市で情報公開が進むのか、有権者の判断に注目したい。
永原町長の訴え「道徳心に欠ける人達で田川は滅ぶ」
16日告示23日投開票の田川市長・市議選を目前に控え、ネット界隈も騒がしくなってきた。
Youtube番組「センキョタイムズ」が、「田川市長選の”ヤバイ”をこっそり教えます」と題し、田川市にまつわる話をシリーズで報じているが、本日の地元紙朝刊が 発信者の選挙テック・大井忠賢氏について取り上げ、「現市長への批判的な姿勢を隠さず、利権問題にも触れる」と紹介している。
ネットニュースや弊社の記事にも触れながら、大任町や田川市、田川郡東部環境衛生施設組合などの情報開示が不十分であるという趣旨で編集されており、総じて現市長にとっては不利な内容だ。

シリーズ第1回の視聴回数は6000回超え、第2回以降も3000回を超えており、市長派としても無視できない存在となっているのは間違いない。
これに対し、田川郡福智町の属紀三嗣町議が、疑惑に反論する内容のYoutube動画を作成し発信を始めた。
「何が真実なのか、なぜ嘘や印象操作が行われているのか全てを見ればあなたにも理解ができる」ということで4回分を収録、2~4回は 何と永原町長本人が出演し、ゴミ処理施設や百条委員会の件について説明をしている。
その中で、永原町長は、「ネットで事実でないことや誹謗中傷することは道徳心に欠ける。この人たちが政治の世界に入ってきたら田川は滅ぶ。良識のある市民の方はそこを理解して投票に行って頂きたい」と訴えた。

町長自ら出演というのは危機感の表れと思われるが、田川市の有権者の皆さんにおかれては両方の動画をご視聴し、一票を投じて頂きたい。
弊社においても、昨年来 田川市郡関連のグレーな部分について報じてきたので読み返して頂ければ幸いである。
弊社記事 → 田川市郡関連記事
