反問権で市議を攻撃? 井上市長 [2023年10月6日09:17更新]

国会でも地方議会でも、議員は首長に対し議会の場で様々な要望を伝える。
直接有権者の声を拾い集めている議員が、行政が見落としている部分を指摘するのは真っ当なことだ。

一方で、限られた財源の中でやり繰りをし予算を決めている首長は 、議員をはじめ団体や有権者などから上がってきた全ての要望をいったん受け、最終的に自身の責任で取捨選択する。
要望を切り捨てた際は 恨みつらみを言われるかもしれない。
つらい立場ではあるが、好んで首長になったのだから それも受け止め、堂々としていればいい。

春日市議会9月定例会における井上澄和市長の発言が酷かった。
質問に立ったのは吉居恭子市議、この日は 弊社が報じてきた 放課後児童クラブの指定管理者㈱テノ.サポート(福岡市 代表者 池内比呂子氏)の おやつ代の実費徴収の取り扱いについて質問することになっていたので注目されていた。
(おやつ代の取り扱いに関する珍答弁は別途報じる。)



吉居市議の質問の前半は、市民生活への支援策として「18歳までの医療費無償化」「小中学校給食費無償化」「就学援助の認定基準額の大幅引上げ」「3歳未満児の保育料減額」「全世帯への光熱費等の支援」など 確かに多岐にわたり 予算の掛かることではあった。
とは言っても、前述の様に 有権者からの声を行政に伝えるのが議員の務めである。

井上市長は「答弁に入る前に」と前置きをして、自治体の予算がなんたるかについて、吉居市議のホームページの内容まで引用して、「自治体経営に無知」と言わんばかりの主張を約6分30秒続けた。

そして、「反問権」を行使してきた。
反問権とは、議員からの質問の趣旨や内容などを確認するため、首長が議員に質問することを指す。
井上市長が吉居市議に尋ねたのは、

1.あらゆる事務事業をそれぞれ最も進んでいると思う自治体に合わせるということができると思って、このような質問をしているのか。
2.あらゆる面で最高のサービスを提供していると思われる自治体があれば参考にするので紹介してほしい。
3.提案の支援策に必要となる膨大な財源をどこに求めるべきと考えているのか。

の3点、中身がないのはもちろん、議員の質問権を封じようとしていると受け止められても仕方がない内容で、公の場で吉居市議を貶めようとする意図が見えた。

7期目に入った井上市長だが、発言を聞いた市民からは「市民の代表に対して高飛車な物言いは失礼だ」「度量の小ささが際立った」などの声が上がっている。