全世帯の25%に8.5万円振る舞った自治体 [2023年3月14日09:07更新]

政府は令和2年に地方創生臨時交付金を創設し、これまで総額16兆円以上を地方自治体にばらまいてきた。
今年度は 9月の閣議決定で電気・ガス・食料品等の物価高騰の影響を受けている一般家庭の負担軽減を目的に交付金を配分している。

そのメニューの1つ、「省エネ家電買替促進事業」を採択した自治体は多いが制度設計は各市町村に委ねられており、例えば福岡市では、「先着順で1万世帯に、対象家電購入者は1万ポイントを交通系カードに付与」とし、予算に上限を設けた上、薄く広く行き渡る制度となっている。

さて、福岡都市圏のある自治体では 昨年11月25日から2月末までの期間、省エネ家電を買い替えた世帯に、市内店舗での購入で経費の3分の2(上限10万円)、市外での購入で2分の1(上限7万5000円)を補助するとして開始、全体で1200世帯の申込みを想定した予算は7000万円、「予算を超えたとしても上限は設けず、適宜必要な予算措置を検討する」と悠長に構えていた。

ところが、蓋を開けて見ると市内や近隣市の家電量販店には市民が殺到、思わぬ特需に店は笑いが止まらない状況だった様で、店のスタッフが 1ヵ月間で1億5000万円売り上げたと教えてくれた。

真っ青になったのが市の執行部だ。
当初の見込み額を大幅に上回ったため、市長は禁断の「財政調整基金」 3億6000万円を取り崩すことを「先決処分」で決定、異例の対応で凌いだ。
結果として全世帯数の25%、比較的裕福な世帯に平均8万5000円の大盤振る舞い、「電気・ガス・食料品等の物価高騰の影響を受けている一般家庭の負担軽減」という本来の目的とは 大きくずれた様に思われる。

甘い見込みで上限を設けず、公平性の面で大失策、自分で稼いだ金ではないから このような無駄遣いができるのだ。
原資は税金で国債(借金)、結局こうしたバラマキのツケが増税となって我々に返って来る。