「小沢無罪」で野田政権倒閣へ! [2012年3月2日13:02更新]

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衆院議員70人率い、新党勢力を束ねる陰のキーマンに
橋下氏ら「第3極」が焦点 小沢グループが人材供給

4月中、下旬に予定されている民主党の小沢一郎元代表の政治資金規正法違反事件の判決を永田町は息をひそめて待っている。有罪か無罪かでその後の政界の動きが大きく変わるからだ。無罪になれば小沢氏は野田政権の倒閣に向けて一気に動き出すのは確実で、民主党、自民党を巻き込んだ政界再編に発展する可能性もある。



グループ統合で備え


 「判決で無罪が出れば小沢は必ず動き出す。自民党が解散を仕掛けるのはそれからだ」。自民党のベテラン議員の1人はこう話す。
小沢氏は年末に自らのグループの合同勉強会「新しい政策研究会」(新政研)を発足させた。昨年12月の発足総会には106人が出席。その後もほぼ毎週、定例会合を開き、小沢氏が出席して80〜90人をコンスタントに集め、勢力を誇示している。
これまで小沢氏は「参院議員」「衆院当選1回議員」「衆院中堅・若手議員」「衆院ベテラン議員」というように別々にグループを作らせ、分割して統治してきた。グループを一つにまとめると、自然に小沢氏の後継者を作る動きが出て「裏切り」や「乗っ取り」が起こるためだ。
それでも合同勉強会を作ったのは、衆院解散・総選挙をちらつかせる野田佳彦首相に対抗するためだ。小沢グループは09年衆院選で初当選した新人議員が多数を占める。選挙基盤が弱く、衆院解散となれば大量落選は確実だ。民主党敗北が必至の情勢でも首相が解散へ突き進むのは、たとえ民主党が選挙に負けても、小沢グループを一気に排除して小沢氏の力をそぎ、自民党内の良識派(増税派)と組めば、政治生命をかけた消費増税が実現すると計算しているためだ。
だが小沢氏もだまってはいない。小沢氏は必ずしも将来的な消費増税には反対していないが、消費増税を掲げて戦う衆院解散・総選挙には絶対反対だ。
消費増税を争点とした衆院選となれば民主党は過半数を割る可能性が高い。だが一方で自民党の政党支持率も低迷を続け、自民党が圧勝する可能性も低い。漂流する民意の受け皿になりそうなのが、橋下徹大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」や、石原慎太郎東京都知事を党首に想定して進められている新党構想、いわゆる「第3極」だ。
民主も自民も過半数をとれなければ当然、キャスチングボードをとるのは「第3極」となる。そして現段階ではそうなる可能性はかなり高い。

地域政党との 連携視野

石原新党や橋下新党をめぐる動きに今のところ、小沢氏はあまり顔を出していない。それはやはり裁判を抱える小沢氏に対し、石原氏や橋下氏に警戒感があり、意図的に敬遠しているからだ。しかし、小沢氏が無罪になれば状況は一変する。
 たしかに橋下氏らの勢いはあたるべからざるものがあるが、残念ながら国会議員は現時点では1人もいない。石原新党も国民新党やたちあがれ日本がベースになったとしてもせいぜい10数人だ。橋下氏は維新塾をたちあげて400人を集め「全国に候補を擁立する」とぶち上げているが、0から国政の候補者を集めるのは一般に考えられているよりはるかに難しい。永田町では「50人も集められない」というのが相場観だ。ましてその中から選挙戦を戦える資金や基盤を持っている候補者となると寥々たるものだろう。
しかし、小沢氏は配下に衆院議員だけで70人以上を抱え、十分、新党へ人材を供給するベースになりうる。
当然、石原氏や橋下氏には小沢氏に主導権を握られることへの警戒感もある。そのため小沢氏は最後まで表には出ず、控えめにする。そもそも小沢氏は「首相になる」という指向性が薄く、石原首相でも橋下首相でも全く構わないということも強みになる。
すでに水面下では動き始めている。小沢氏の側近で、新党大地・真民主に参加した松木謙公衆院議員は「減税日本」を率いる名古屋市長の河村たかし氏の「同志」で、もともと地域政党指向が強い。松木氏が新党大地に参加したのは、石原慎太郎東京都知事(東京)、大村秀章愛知県知事(名古屋)、橋下徹大阪市長(大阪)の「地域」をキーワードとした連携構想に、新党大地も地域政党として加わることが前提だ。もちろん、新党大地の鈴木宗男代表は小沢氏との連携を視野に入れている。
4月を過ぎれば、間近に迫る衆院解散・総選挙で、新党とその背後にいる小沢氏が台風の目になることは間違いない。

(福岡県民新聞 第62号 2012年2月15日 掲載記事 )