新福岡市長誕生(1)旧来の保守政治復権 「素人市長」手腕に疑念も [2010年12月2日09:27更新]

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(10年11月号掲載)

当選確実となり取材に答える高島宗一郎氏(11月14日)11月14日投開票の福岡市長選は、自民・公明両党が支援した元KBCアナウンサーの高島宗一郎氏(36)が初当選を果たした。再選を目指した現職の吉田宏氏は惨敗した。

高島氏の当選で自公、みらい福岡が与党会派に返り咲くわけだが、選挙戦終盤で突然撤退した保守系候補者陣営との「政治的談合」が取りざたされるなど、旧来の政治手法が市民の厳しい視線にさらされるのは必至。また、自ら「素人」と話す高島氏の政治手腕について多くの周辺関係者が疑念を抱いているのが現実だ。

一方、推薦した現職が破れた民主党県連内では、かねてから燻っていた執行部への不満が爆発する可能性が高まっている。



予想通りのゼロ当確報道

中央区薬院の高島氏の事務所では、集まった支援者らが歓声を上げた。家族とともに現れた高島氏は「当選させていただき本当にありがとうございます。皆様の支援でもってここまでこれました。市民が夢を見られるナンバーワンの福岡市にしたい」と上気した表情で語った(写真)。  

投票を締め切る午後8時を回った途端、民放テレビ各社が「高島氏当選確実」のテロップを流した。投票所の出口調査から高島氏が2位に大差をつけていることが分かり、マスコミがいわゆる「ゼロ当確」を打つとの情報が、関係者の間で事前に流れていた。 

本紙はHPで「新市長誕生の公算大 現職、惨敗の可能性も」と題した記事を掲載(11月12日)、「最終的には思わぬ大差がつくことも予想され、開票速報では早い時間帯に高島氏当確が打たれる可能性が高い」と指摘していた。 

冷ややかな見方  

前回06年の吉田市長誕生から一貫して対抗姿勢を示してきた自民・公明・みらい福岡の保守勢力。「市長選では何としても対抗馬を立てる」として候補者選定に着手。だが企業経営者や地元出身官僚らには交渉段階でことごとく断られ、「現職に相乗りするつもりではないか」との憶測も流れたほど。 

そんな時に手を挙げたのがKBCの朝の情報番組で司会を務めた高島氏。「若すぎる」との懸念をよそに、自民ベテラン議員を中心に支持団体を固め、無党派層も取り込んで大差での勝利を成し遂げた。 

ただ、関係者の見方は冷ややかだ。「福岡市政、政治についてほとんど何も知らないのは明らか。これでは保守系ベテラン議員や市役所の言いなり、『操り人形』になる可能性もある」(大手マスコミ記者)といった声が大勢を占める。

それでも、当選後のインタビューでは「政治においては素人だが、市民の目線で頑張りたい」と意欲を見せたが・・。

(続く)