高速道路運営問題 一部の幹部が好き放題(1)SHD現役社員が証言 [2010年5月7日14:55更新]

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(10年4月号掲載)

NEXCO西日本SHDのあるビル(大阪市)「この会社は間違いなくおかしい」。「西日本高速道路サービス・ホールディングス(NEXCO西日本SHD)」(大阪市、写真)の複数の現役社員が、重い口を開いた。

本紙が2月号から取り上げている高速道路管理運営会社の問題。サービスエリア(SA)などを管理運営するSHDの福岡支店長が、テナントで扱う商品の選定に強引に関与していることを報じたが、こうした横暴はほんの1例にすぎず、SHDの一部の幹部がやりたい放題である実態が、社員の証言で浮かび上がった。

親会社も含め、コンプライアンス(法令遵守)とは無縁の企業が、近畿以西の高速道路を管理運営しているという事実に、慄然とするほかない。



好き放題のY氏 「トラの威を借りるキツネ」

「多くの社員がおかしいと思っている。なのに誰も表に出そうとしない。この会社は異常です」。SHD社員はこう訴える。

「最大の原因は、すべてが営業推進本部長のY氏を中心に決まっていること。そこには通常の手続きなど存在せず、やりたい放題です」 

 

SHDは、道路公団民営化で誕生した「西日本高速道路」(NEXCO西日本)の子会社。NEXCO管内のSA、PA(パーキングエリア)を管理運営しており、民間業者計約70社とテナント契約を結んで飲食店経営や物品販売を行っている(下図参照)。 

 

本紙は、同社に対し一部テナントが「SA、PAを私物化している」と反発していることなどを報じてきた。 

 

Y氏はかつて「ダイエー」から出向し福岡ダイエーホークスの設立に参加、「福岡ドーム」(現ホークスタウン)の営業本部長も務めた。06年、SHDに入社したという。 

「Y氏の担当する営業推進本部は、はっきり言って実績が上がっていない。にもかかわらず昇進だけは早く、3月にはSHDの子会社『ロジスティクス』の社長に突然、就任した。

そんなY氏が人事など、好き勝手にやっている」。前出のSHD社員こう憤る。 

「例えば、ロ社の社長に就任した途端、自分の子飼い社員を呼び寄せた。またY氏が言えば交際費も自由に使える。こうした行為については、取締役会などの正式な手続きを経ないで行われているのです」 

物言わぬ社員たち  

近畿以西の高速道路SA、PAを管理する会社が、そのような状況とは・・。にわかには信じがたい話である。

では、なぜこのようなことがまかり通るのか。

「Y氏の後ろ盾はSHD、そしてNEXCOの会長であるI氏です。ロ社の社長就任もI会長の一声で決まったと囁かれています。Y氏に楯突くことはI会長に楯突くのと同じ。実際、Y氏は外向きにも『自分は高速道路会社のナンバー2だ』と言ってはばからない」(前出社員)。 

I会長は福岡県出身。「神戸製鋼所」などを経て2社の会長に就任した。

「NEXCO、SHDは民営化で生まれ変わった会社だけに、公団や財団法人出身者が多く、一言で言えばぬるま湯体質。はっきり言ってどうしようもない会社です。

社員のほとんどが、見て見ぬふりをするか言いなりになるか。だからY氏は『ここの社員はバカばっかりだ』『好きなだけ、使いたいだけ使い倒せばいい』と公言している」

こう証言するのは別のSHD社員である。 

(続く)