柳川新体制スタートから1年(1)決断力・スピード感乏しく [2010年5月26日10:47更新]

タグで検索→ |

noimage

(10年4月号掲載)

柳川市役所就任から1年を迎えた柳川市の金子健次市長。

遅々として進まないP社工場跡地問題が端的に示すように、本紙が指摘してきた行財政改革はほとんど手付かずで、新年度を迎えたにもかかわらず「金子カラー」はまったく見えてこない。

そのため執行部に対して一部市民から「ある意味、前市長時代より悪くなった」との批判が出る事態となっている。

そんな中、執行部の決断力・スピード感の乏しさを象徴するかのように、P社問題をめぐって「地元有力建設会社が工場の解体工事を受注する前提で、無料で解体費用の見積もりをすると市側に持ち掛けている」との情報が。

執行部、そして柳川市民に、あらためて奮起を促したい。



典型的な挨拶市長   

「新年度を迎えても大胆な機構改革はおろか、人事面でもこれといった変化は結局ありません」。こう語るのはある市関係者だ。

「自分の意に沿わない者はすぐ閑職に飛ばしていた石田宝蔵・前市長時代に比べ、役所内部の雰囲気が明るくなったのは確かです。ところが1年経った今、一部職員からも『市長が何をやりたいのか分からない』との声が出始めています」 

 

本紙は前市長時代の07年から、一部の業界や関係者に便宜を図るのが目的としかいいようのない事業のあり方や談合の問題を報じてきた。先月号では厳しい市の財政状況を踏まえ、正当性が疑われる事業の中止・見直しや、無駄なポスト廃止などの行財政改革、談合排除のための制度改正の必要性・緊急性についてあらためて述べた。 

本紙としては、新体制に対して「1年目から結果を出せ」と求めているのでは決してない。市長の判断ですぐに変えられる事案に速やかに取り組むことで、自らの意志や方向性を内外に示すことが重要だと指摘したのである。だが本紙の提言など、執行部は誰も相手にしていないようだ。 

「新年度のスタートは絶好のチャンスだったはずですが、これでは市職員にナメられるだけ。すでにその兆候も出ています」。前出市関係者はこう語る。「市長のやっていることと言えば、各種会合や集会にこまめに顔を出して挨拶することくらい。実に喜々としてやっています」

「聖域なき改革」は掛け声倒れ  

「去年の議会で市長は、『聖域なき改革』という言葉を使って新年度からの財政改革に意欲を見せた。だから3月議会に提出される新年度予算案に注目していたのですが、正直言って期待はずれでしたね」。こう話すのは柳川市議だ。 

柳川市では05年の合併以降、旧1市2町で固定資産税率にばらつきがあった。だが今年度からは旧柳川市部の税率を引き下げて他と合わせることになり、「そのため単純計算で年間約2億円の税収減となる」(前出市議)。

経済に好転の兆しが見えない現状では、柳川市も他と同様、極めて厳しい財政状況が続くのは間違いない。だからこそ、行財政改革や制度改善が急務だと訴えてきたのだが・・。 

「強いて挙げれば、白秋祭(11月開催)の水上パレードで、市が関係者らを招待するため借り上げる川下りの船(どんこ舟)を16隻から2隻に減らしたこと。1隻の料金は10万円ですから計140万円の節約になるそうです。これでもまあ、よくがんばったと言うべきでしょうか(苦笑)」(同市議)。 

(続く)