今秋予定の福岡市長選 水面下の動向(1)現職・吉田氏すでに始動 [2010年5月21日09:30更新]

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(10年4月号掲載)

初当選した吉田宏氏(06年11月)福岡市長選があと半年あまりに迫っている。 

現職の吉田宏市長はまだ正式表明はしていないものの、政治パーティーを初めて開催するなど、出馬へ向けすでに始動。

これに対し、市議会の野党保守系会派ではいまだに対抗馬として誰を立てるか決まっていない。だが水面下では、一部関係者が擁立を画策する、あるいは立候補に意欲的とされる人物の名前が現段階で複数、取りざたされている。

前回、民主などの推薦を受けて初挑戦し、大方の予想を覆して当選を果たした吉田市長。対抗馬となるのは誰なのか、各政党の思惑、内情は─。市長選へ向けた動きを探った。   



 

「当然2期目を目指すものとは思っていましたが、やっと動き出しましたね」。こう話すのはある市政担当記者だ。 

06年の選挙で初当選した吉田市長。2期目をにらんだ動きはこれまでほとんど見られなかったが今月16日、初めての政治資金パーティーを開催した。

「ただ、その場所がなぜか東京であるために、役所内部や関係者から『最初のパーティーを福岡市でやらないなんてどうかしてる』『やっぱりあいつは福岡のことなんて考えていない』といった声が漏れています」(前出記者)。

民主内に燻る不満  

吉田市長は西日本新聞の元記者で、経済部長などを歴任。前回、民主などの推薦を受け、「現職が圧倒的に有利」との下馬評を覆し、山崎広太郎氏の3選を阻んだ。その後全国で吹き荒れることになる「民主の風」のさきがけとも言える選挙だった。 

だが就任直後、選挙カーをめぐり収支報告書の不備が表面化。また記者時代から続く地元財界幹部との親交ぶりが、一部から「不適切ではないか」と批判された。 

またこども病院の移転計画を「白紙に戻す」と公約に掲げながら、従来案通り人工島への移転を決定。市民や患者家族らが猛反発し、大規模な市民運動へと発展した。 

「多くの市民から『今の市長は一体どうなってるんだ』と叱責され、往生しました」(民主若手国会議員)。こうしたことから、一部の民主関係者の間では不満が燻っているという。

 

はたして今回の選挙で、民主はどのような対応を取るのか。

同党関係者は内情について「確かに、市長に批判的な声があるのは事実だが、党として推薦するのはまず間違いない。ただ、与党議員としての“うまみ”を覚えた一部の市議を除けば、どれだけ真剣に応援するか分からないね」 

(続く)