(10年4月号掲載) 本紙だけでなく、多くの市民が新市長、金子健次氏の手腕に期待していた。だがこれまでのところ、決断力・実行力の乏しさが浮き彫りになりつつある─と言うほかない。 それを象徴するかのような噂が今、P社工場跡地をめぐる問題に関連し、地元建設業界や市関係者の間を駆けめぐっている。 P社化粧品工場と土地を旧大和町が購入後、建物からアスベストが見付かったのだが、どちらが処理費用を負担するか決まらず放置されたまま。 金子市長もP社と交渉を続けているが結論は出ておらず、そのため本紙は3月号で「まずは建物解体とアスベスト除去にいくらかかるのかを明確にした上で話を進めなければ意味がない」と指摘した。 「だからかどうかは分かりませんが、熊本のある会社が今、解体・除去費用の見積もりを無料で調査すると市側に持ち掛けている」。ある地元業界関係者は声をひそめる。 「この会社の裏で糸を引いているのは柳川の有力建設会社O社と、もっぱらの噂です。無料調査の条件が『解体工事を柳川のAランク企業に発注すること』らしく、そうなれば業界お得意の“事前の話し合い”でO社が落札し、後は下請けに出してボロ儲け、というシナリオでしょう」 ある市関係者は「市長はなぜか、調査費を議会に諮るのをためらっている」と話す。 議会との融和を唱える市長にとって、反発を避けたいとの思いがあるのかもしれない。だからと言って「うまい話」に飛び付つけばどうなるか。民間企業がメリットもなく無料で仕事をするはずがない。 「ただより高い物はない」という言葉を、執行部は知らないのだろうか。 改革には様々な困難が伴う。名古屋市における市議の定数半減案などをめぐる対立はその好例。軋轢や反発を避けていては何も変えられない。 ある市民はため息混じりに語る。「新市長になっても前市長時代と同じ、税金の無駄使いや一部業界・業者への便宜供与が改正されないのであれば、市議会が機能停止状態になり市政に対する市民の関心が低くなった分、ある意味前より悪くなったかもしれない」 本紙は09年8月号で金子市長のインタビュー記事を掲載し「どの地方自治体も非常に厳しい状況に置かれている現在、柳川が『再生した地方都市』のモデルケースとなってほしい」と結んだ。だが今となっては残念ながら、訂正しなければなるまい。 明確なビジョンや政治理念、決断力や実行力がない上に、少なくとも表面的にはいざこざが解消されたことや「自分が市長であること」に満足している者がトップに座ると、その自治体はどうなるか。柳川市はいずれ、それを体現することになるかもしれない。 10月には市議選を迎える柳川市。易きに付くのではなく、現状への危機感と市政改革に取り組む意欲を持った、新しい人材の登場を望みたい。
柳川新体制スタートから1年(2)「前市長より悪い」の声も [2010年5月28日11:32更新]
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「無料で調査」の甘言
柳川の行く末は・・