(10年3月号掲載) 「西日本高速道路サービス・ホールディングス」(NEXCO西日本SHD、大阪市、写真)の言う「お客様最優先の商品提案」に対するテナント業者らの“反乱”は、鎮まるどころかますます激化しているのが実情だ。 SA、PAの運営実態は一体どうなっているのか。本紙は先月号で、こうした状況は「高速道路民営化で外部からチェックできない部分が生じ、ブラックボックス化したから」であり「政府は早急に実態を調査すべきだ」と指摘した。 国交省高速道路経営管理室は今月3日、SHDの親会社である「西日本高速道路」(NEXCO西日本、大阪市)の担当者を呼び出し、この問題について資料を提出させた上、さらに詳しい情報提供を求めたという。 だがそこでのやりとりを見る限り、同省やNEXCOの認識は甘いと言わざるをえない。 SHDやテナント関係者などの証言を総合すると、経営管理室がNEXCOにたずねた内容は、クレッセなどPA運営3社の設立の経緯や概要、営業しているPAの数など、ごく基本的な事実確認が中心。本紙が報じたミカンの1件は「嫌であれば仕入れなければいいだけの話だ」「取るに足らない」と一蹴したという。 民営化によってSA、PAの運営が国交省の管轄下から離れた以上、詳細が分からないのも無理はない。NEXCOも、子会社とはいえ別会社であるSHDの経営実態について、認識が不足しても仕方ない面は、確かにある。 さらに、紙面上の制約から本紙前号の記述内容が不十分で分かりにくかったこともあるかもしれない。本紙としては大いに反省し、今回はより分かりやすく具体例を挙げた次第である。 本紙既報の記事を読めば分かる通り、SHD側の行為はお客様満足度向上のためとはほど遠いのでは─と言うほかない。仮に福岡支店長本人が「強要の意志はなかった」と説明したとしても、テナント業者側からすれば強要に等しい事情・背景があることはご理解いただけるはずだ。 だからこそ、クレッセなど3社が子会社化に反発したり、新ポスシステムの導入は「販売商品選定などについてSHD側がこれまで以上に介入するのが狙いではないか」と不安視する向きが出ているのである。 事実関係を調べるのならばNEXCO側だけでなくクレッセ、ハープスなどのテナント業者から広く話を聴くべきなのは明白だ。 3社以外の、沈黙を守っているテナント業者の不満も、すでに限界点まで達している。本紙報道を受け、3社と同様の声が他社から漏れ出すのも時間の問題である。にも関わらずこのまま手をこまねいていては、関係者の怒りの矛先はいずれ親会社のNEXCO、そして国交省に向けられることになるだろう。
動き鈍く認識甘い国交省 SA、PA運営問題 早急な調査再度求める [2010年4月16日12:09更新]
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