土地の契約切れ目前に 久山町のテーマパーク計画  [2007年6月15日18:17更新]

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(07年6月号掲載) 

テーマパークの建設が計画されている山林日本トレイド(福岡市博多区、山崎和則社長)が進めているアメリカの大手映画配給会社「パラマウントのテーマパーク誘致プロジェクトが破綻寸前に追い込まれている。1000億円を超えるとされる投資交渉が9月までにまとまらなければ、久山町の建設予定地(約150㌶)の地権者会との契約が切れるためだ。

山崎社長は「7月までには交渉をまとめると自信を見せてはいるが、地権者らは「あの人はいつも口だけで実際には何も進んでいない」と冷ややかだ。一方、韓国・仁川で同様の計画が進んでいることも発覚し、県内に日本屈指のテーマパークを造る構想は「風前の灯火」。頓挫した場合は出資金に絡む問題などが噴出することが予想され、計画の行方が注目される。
(写真=久山町のテーマパーク建設予定地)



 

米国からの手紙

4月中旬、パラマウント社側から福岡県や久山町役場に何通かの手紙が届けられた。パ社関係のアメリカ人が県庁を訪問したこともあり、一部メディアはこれを「アメリカの投資グループが資金を投じる意向を表明した」と報道した。

だが、ある行政関係者は「手紙の中身は報道と全然違う」と指摘する。「パ社からの手紙は『テーマパークの誘致計画については、当社のパートナーであるパシフィック・エンターテインメント・ホールディングス(PEH、マイケル・デスティファノ社長)と交渉してほしい』という業務的な内容。社長からも手紙が来たが『近いうちに日本に行くので久山町で会合の場を持ちたい』というアポ取りが趣旨で、投資に関する具体的な文言は一切ない」

要するに、ビジネス相手への挨拶状程度でしかないのだが、いつの間にか内容がすり替わっているのだ。「投資グループが近いうちに久山町で最終調査を行う」との報道もあったが、町側は何も知らされておらず、調査が行われた形跡も現在のところない。

韓国でも 建設計画

「パ社、韓国にテーマパーク建設へ」。5月になって突然飛び込んできたこのニュース。久山町関係者の間に衝撃が走った。 ニュースは、パ社が韓国最大の自動車販売会社・大宇自動車販売と共同で、仁川市にテーマパーク建設を進めていると発表した―との内容。聯合ニュースの報道によると、予定地は大宇社が所有、オープンは早ければ09年の予定という。

仁川は国際空港を構え、ソウルの通勤圏内でもある韓国の空の玄関口。山崎社長は常々「中国、韓国からの来場者が見込める」と福岡に造るメリットを強調してきたが、韓国で計画が実現すれば福岡での集客力ダウンは必至だ。

そもそも1つの会社が隣接する2カ国で同時に大規模プロジェクトを進める―というのは現実離れしている。韓国の計画には前述のPEHも関わっているといい、関係者からは「久山町は見捨てられたのでは「パ社は韓国と福岡を両天秤にかけている」との声も上がり、日トレ社への地元の信頼はさらに低下した。

地権者も限界

このような状況の中、建設予定地の地権者の間では諦めムードが漂っている。「一向に動きがなく、待つのはもう限界。どっちでもいいから早く結論を出してほしい」(ある地権者)。「地域活性化のチャンス」と期待された計画だが、土地の売買などを3年以上も制限されるうちに当初の熱も冷めてしまったようだ。

「投資グループからは好感触を得ている」などと一方的な説明しかしない山崎社長への不信感は極限に達しており、地権者会は契約を延長しないことで既に合意済み。9月までに投資交渉がまとまらなければ、久山町への誘致計画は正式に「ご破算」となる。

このためか、一部では「建設予定地が人工島(福岡市東区)に移る」という憶測もまことしやかに流れている。人工島の利用計画については吉田宏市長が検証・検討チーム作って見直しを進めているが、最終報告は久山町での契約が切れるのと同じ、今年9月に出る見込み。テーマパークはもともと人工島に建設する計画だったという経緯もこの「移転説」を後押しする。

集めた資金の行方は?

ただ、人工島移転説が浮上する最大の理由は、山崎社長が何としてもプロジェクトを続けなければならない立場にあるから―という指摘がある。「山崎社長はこれまで『パラマウント誘致をネタに100人を超える人間から25億円近くを集めています。計画が頓挫すれば、出資者から賠償請求訴訟を起こされる可能性もありますね」と語るのは、あるマスコミ関係者だ。

日トレ社と山崎社長の現状について、ある関係者は「今は『金庫』がスッカラカン」と話す。このため「集めた巨額の金はどこへ消えたのか、問題になるでしょう」(前出マスコミ関係者)との見方が強まっている。

一方、日トレ社と関係の深い「人間と産業開発研究所」(倉原忠夫所長)などが絡んだ、未公開株をめぐる「怪しい話」も浮上(本紙5月号で既報)。場合によっては、様々な問題が一気に噴き出す事態が予想される。

プロジェクトが大きな節目を迎える今夏、久山町から目が離せそうにない。