【業界レポート②】 携帯電話契約数は、1億3000万台へ 様々な機能を搭載、拡大する利用方法 [2012年4月13日12:25更新]

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ビジネスで活用するために!

1979年に自動車電話として産まれた携帯電話だが、高機能化と小型軽量化で利用者が増加しており、昨年末時点でPHSを含めた加入契約数は、1億2986万台と日本の総人口を超えた。ビジネスの世界においても、通販サイトや車輌の運行管理、建設現場の管理等、様々な分野で携帯電話の活用が広がっている。

進化する携帯電話

携帯電話サービスの基礎となった自動車電話サービスは、当時の電電公社が東京23区で1979年12月に、世界に先駆けてサービスを開始した。九州では1982年12月に福岡・北九州地区でサービスが始まり、順次エリアが広がった。当時の自動車電話は、車載専用で重量は7キロであったが、最近主流のスマートフォンは約100グラムと大幅に軽量化され、利用方法も「通話」から「メール」「インターネット接続」に変化した。
クレジットカードやポイントカードの機能を有する「おサイフケータイ」やテレビのリモコンとしても利用できる「赤外線機能」等、多種多様な機能が携帯電話には組み込まれている。通信速度も高速化され、かつてはCD1枚のダウンロードに約18時間必要であったが、いまや約9秒と約7500倍(理論値での比較)、短時間で大量のデータのやり取りが可能となり、様々な活用方法が広がるとともに、定額制料金プランへの加入が強く推奨される状況となった。

ビジネスで活用する

ビジネスの世界でも、通話以外の携帯電話の活用が広がった。通販会社では、いち早く携帯用の通販サイトを構築し、テレビショッピングから携帯用サイトへ誘導し、電話のみならず、携帯用サイトで受注する仕組みを作り上げ、購入機会の損失を防ぐ取り組みを行っている。
タクシーやトラック、バスには、GPSとセットで携帯電話の通信機能が内蔵され、顧客や会社事務所は、車両の運行状態がリアルタイムで確認することが可能となり、顧客満足度の向上や、安定運行に寄与している。また自動販売機にも通信機能が内蔵され、在庫数を管理しており、定期的な巡回が必要なくなり、効率化が図られている。
建設業界では、現場作業員の勤務時間の正確な把握は難しく、日報等の自己申告に頼っている。しかしながら、携帯電話による出退勤時間と位置情報の記録が可能なシステムを導入し、確実な勤務状況の把握に加えて、現場毎の人員管理業務の効率化を行っている会社もある。またスマートフォンで撮影した現場の写真や動画を、リアルタイムで事務所に報告し、情報を共有することで、施工管理や安全対策に活用出来る。かつては翌日以降の対応となっていたミスやトラブルを現場と会社が瞬時に共有し、対策方法を判断することで被害を最小限に抑え、工程の効率化・スピードアップに繋ぐことも出来る。受注価格が低い時代だけに、作業工程を短縮化しランニングコストの削減を徹底、利益を生み出している建設会社も出て来た。

携帯料金が高額になった

「うっとうしい迷惑メール」「カメラを使った盗撮」「出会い系サイト」「アダルトサイトを騙った架空請求」等、様々なトラブルがあるが、ここ数年増加しているのは、ゲーム等の「情報料」の高額請求だ。「情報料」とは、着メロやゲーム等で「有料情報」を利用する場合に発生する料金で、多くの携帯電話利用者が契約している「パケット定額制」とは別の料金形態。「無料」と表示されているゲームサイトで、ゲームのプレイ自体は「無料」だが、よりゲームを効率的に進めるためのアイテムなどを、「情報料」として販売する「アイテム課金」が流行している。テレビのコマーシャルで盛んに流れているゲーム会社はこれで急成長した。
その仕組みに疎い保護者から、子供が使っている携帯料金が「突然高額になった」「何故だかわからない」「料金を免除してほしい」との声が、各地の消費生活センターや携帯電話会社、ゲーム会社に寄せられている。有料情報を利用するにはパスワードの入力が必要だが、初期設定のままで放置している場合が多く、利用者である子供が、「勝手」にパスワードを入力し「有料情報」を購入しているケースが多い。時流にのったゲーム会社が大口の広告スポンサーになっているため、マスコミには、あまり取り上げられないのが現状のようだ。

使い方の見直しを

3月は携帯電話の最大の商戦機であり、携帯電話会社は他社から自社への乗換えを狙って、大規模なキャッシュバック施策を行なっている。この機会に、携帯電話会社や料金プランの見直しとともに、自社のビジネスの効率化のために、携帯電話の更なる活用を検討してはいかがだろうか。スマートフォンを活用したリアルタイムの情報共有は、インターネット上の無料サービスを活用すれば、スマートフォンの購入代金と月々の通信料金で構築可能、端末の分割払いを含めても、1台当たり月々1万円程度の出費ですむ。「ちょっとしたこと」に一歩を踏み出し実践することで、「びっくりするような効果」が生れる可能性は高い。
携帯電話で通話やメールを日常行っているので、「会った気になる」「しゃべった気になる」との話をよく耳にする。携帯電話の利用で効率化は生まれるが、相手と直接会ってビジネスに繋げるのが営業活動の本来の姿だろう。人に与えられた時間は24時間でみな一緒であるが、その限られた時間を上手く活用出来れば、ビジネスや生活に大きな差が生まれるはずだ。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載