「まず移転ありきだ」住民反発(2)いまだに「西原市長の私的案件」 [2010年12月27日14:10更新]

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(10年11月号掲載)

民間病院の移転先として浮上しているみやま市高田支所「ヨコクラ病院」(みやま市高田町)からの嘆願書(今年9月)を受け、西原親市長は11月6日、「庁内討議や議会に諮る前に、市民の声を聞きたい」として「私的」に地元区長25人との意見交換会を開いた。私的としながらも、契約検査課の職員数人も同席していたという。 

意見交換会に出席した関係者によると、区長からは「高田支所の機能はどうなるのか」などと不安視する声が相次いだ。

「売却するとしても敷地全体の価格、庁舎の残存価格は一体いくらなのか」との問いに西原市長は「算出してない」

そして「(病院に支所敷地全体を売却することで)監査請求を受けた場合、(庁舎の残存価格が)1億円くらいなら私が払う」と答えたという。 



飛び交う噂 市長は否定し市民に抗議文書

「まず病院移転ありきで話を進めているとしか考えられない」。ある地元住民はこう語る。

「支所機能をどうするのか、市の医療体制をどうするのか、大きな枠組みを決めた後で病院の移転話を進めるのが通常の手順ではないか。ヨコクラ病院が地元医療にとって大切な存在だということは重々認識しているが、なぜ市長がそうまでして、病院に対し便宜を図ろうとするのか」 

ある検討委員は「庁内で討議されてなければ議会に諮られてもいない。高田支所機能を今後どうするかもいまだ白紙。西原市長の進め方はおかしい」と話す。 

またある市議は「厳しい財政状態の中、病院移転に伴って庁舎機能まで移転することになれば、多額のコストが掛かる。市長が私的に話を進めるような案件ではなく、あらためて検討委員会を開くべきだ」と批判する。

 

こうした状況から、関係者の間で「市長は病院側から何らかの利益供与を受けたのではないか」「移転工事には地元選出国会議員が大手ゼネコンを参加させるのでは」といった噂が流れた。

長引く不況の中、病院移転は建設業界にとっては大きな事業。加えて高田支所の機能まで移転するとなればさらに「魅力的」。こうした噂が立っても仕方ない。

西原市長は「そのようなことは断じてない。発言の取り消しを求める」などとする文書をある住民に送り付けたが、この住民は「私は言ったことはない」。まさに異常事態である。 

市民全体の重要な問題  

高田町だけでなくみやま市民全体にとって極めて重大な問題だが、いまだに通常の手順を踏まず市長の私的な案件に止まっているというから驚く。

来年2月には市長選を控え、すでに西原市長は立候補する意向を表明。ここはぜひ、病院移転と高田支所業務の問題を争点にして、市民の判断を仰いでもらいたいものだ。 

契約検査課は本紙取材に「確かに、支所業務をどうするかはまだ決まっていないし不動産鑑定も行っていない。新たな嘆願書が出されて以来、担当部署も決まっていない」と説明。

住民から批判が出ていることについては「できる限り速やかに対応したい」としている。