母の愛は強かった [2012年7月18日16:17更新]

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女性が良いと書けば娘と言う字になり、女性が結婚し家に入ると嫁となる。一旦家に入ると余程のことが無い限り離婚はせず、嫁ぎ先の家を出ることは恥とされる時代もあった。 だが、最近はそうした恥の感覚も薄れて来たようで、離婚した女性は自らをバツイチと称し、逆にバツを佳字に換えたマルイチなる言葉も生まれている。夫婦2人だけなら離婚も簡単だが、子供があると親権や養育費などを巡って話はこじれ、裁判所に解決を委ねるケースも増えている。

歯科医師同士で結婚し2人の男の子をもうけたが、夫婦間で問題が発生し、夫人は幼い2人の子を連れて東京の実家に帰り、夫に離婚を通告してきた。夫は福岡市でも名門と言われた家庭の育ちで、離婚問題は親族で知名度の高い弁護士に依頼、当然夫人も福岡市内の弁護士に代理人を依頼したのは言うまでもない。だが2人の弁護士の間には、目に見えない格の違いがあった。離婚交渉で夫側の弁護士が明らかに主導権を握って話が進められていたからだ。

これで夫は強気になったのではないだろうが、夫人が弁護士と打ち合わせするため来福していた合間を狙って、逆に知人と2人で東京の実家に押しかけ、幼い子供1人を略奪してきたのである。これを実家から伝え聞いた夫人は、弁護士を通じて子供を返して欲しいと要求したが、夫がこれに応じる訳が無く、遂には新しい女性と幼い子供の3人暮らしを唐津市で始めた。子供を奪われた夫人は警察に相談したが、相手が有名弁護士だけに話は聞いたものの、民事不介入として動いてはくれない。

ところが偶然とは怖いもので、たまたま来福していた夫人は、夫が南区の実家に車で帰って来たのを知った。そこで子供を取り戻すべく強引な手段を取ることにした。まず夫の車を友人の車と2台で、前後から挟み込むように駐車した。さらに友人たちに協力を求め、夕方から実家の前で「子供を返して」の女性軍団の合唱が始まったのである。

南区の静かな住宅街で突然沸き起こった女性たちの悲痛な声に、近所の人々も事の成り行きを、家の中で聞き耳を立てているのが判るほどの騒ぎで、逸早く聞きつけた新聞記者も取材に来たほどだった。  夫の母親は地元でも著名人だけに、警察に通報して騒ぎが大きくなることを恐れ、親族の歯科医師や弁護士が次々に呼ばれ、自宅で親族会議が延々と続いた。この間も女性軍団はひたすら子供の名前を呼び続けた結果、遂に弁護士が顔を出し、明日午前10時に中央区のホテルロビーで、子供を渡すからとの回答を得て、女性軍団はようやく引き上げた。翌日幼い子がホテルで、母親の腕の中に飛び込んで行ったのは言うまでもない。

二人は無事に東京へ帰り、その後裁判所は母親の親権を認め離婚は成立した模様で、親子は穏やかな日々を送っていると風の便りで聞いた。その後、これに似た親権を争う事件はマスコミにも登場している。  弁護士が法律を盾にしても、母親が子を思う強い愛の行動が法律に打ち勝ったと言えるだろう。