自立支援法の廃止へ 福岡・天神で街頭アピール [2009年10月7日14:07更新]

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(09年9月号掲載)

声を枯らして訴える障がい者たち「自立支援とは名ばかりで、実態は逆に障がい者の自立を抑える憲法違反の悪法だ」

こう訴える「障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす福岡の会」の街頭アピール行動が、残暑の厳しい9月6日、福岡市・天神で繰り広げられた(写真)。 

障害者自立支援法が国民の生存権を規定する憲法25条などに違反するとして、その廃止をめざして打ってた裁判。現在、全国13地裁で行われており、原告は63人を数える。



福岡地裁には田川市の通所授産施設「第2つくしの里」に通う平島龍磨さん(40)と姉妹施設「つくしの里」に通う山下裕幸さん(28)の2人が原告となって裁判を起こし、今年1月30日の第1回口頭弁論を皮切りに、これまで3回の公判が開かれている。 

 

裁判にまでなっている障害者自立支援法の問題点とはどんなものだろうか。

同法は2005年10月に成立し、翌06年4月に施行された。その最も大きな問題点は、障がい者個人に対する応益負担の導入と授産施設など事業者に対する日払い方式の導入だ。 

これまで利用料は応能負担。低所得の障がい者はほとんど利用料を支払うことなくサービスを利用できた。ところが同法では所得に関係なく利用料の1割を負担する。原告の平島さんが通う「第2つくしの里」の場合、利用者負担の平均は月7500~9000円。これは同施設の1カ月分の工賃に相当する。働いて得た工賃が吹っ飛ぶことになる。 

このため全国的には授産施設に通うのをあきらめた障がい者も多い。このように自立支援どころか、在宅、ひきこもりを助長しているのが実情だ。さらにトイレや日常の外出介助でも1割負担。重度の人ほど負担が重くなる制度となっている。 

さらに事業者に対する日払い方式の導入で、施設の運営はより厳しい状況に追い込まれた。それまでは通所者の人数に応じ月額制で事業費が支払われたが、日払い方式だと、通所者が1日休めば、その分カットされる。そのため、運営費が2~3割減って窮地に追い込まれた施設も少なくない。 

 

天神での街頭アピールには県内の30以上の施設から、車イスの障がい者や支援者、合わせて約100人が参加した。訴訟支援のチラシに加えて、19人の障がい者が置かれている実情を交え、自立支援法への怒りを訴えた。 

平島さんは「在宅でひきこもりのような状態から施設に通いだして、明るくなったといわれている。自分でも本当に楽しい職場だと思っているが、このままだといつまで利用料を払い続けることが出来るか不安」

また山下さんは「障害があっても働ける職場は、1番大事な場所であり生きがいなんです。自立支援法はそんな自分から1人の人間としての誇りを奪ってしまう。1日も早くなくしてほしい」と訴えた。 

裁判を起こしてから初めての大規模な街頭行動。障がい者らは実際に街頭に出て確かな手応えを感じたようだ。10月には新たに2人が原告に加わるという。 

次回公判は、11月6日(金)午前11時から福岡地裁。傍聴のために抽選があるので、午前10時までに集合する必要がある。

【問い合わせ先】勝利をめざす福岡の会
電話 092-872-8930