有力県議が売買に関与 日本トレイドの未公開株 [2007年12月22日14:15更新]

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(07年12月号掲載) 

日本トレイド社の未公開株地権者会の解散で事実上破綻した久山町のテーマパーク計画。大量の未公開株を売って少なくとも20数億円を集めたとされる「日本トレイド」(山崎和則社長)だが、実は同社と県との「パイプ役」として、ある有力県議が株売買に深く関わっている。そこで本紙は「この県議から日トレ社の株を無理やり買わされた」という購入者の証言を紹介する。

一方、同社の大口出資者であるH&M研究所(大阪市)を相手取り集団訴訟が福岡地裁で起こされるなど、関係者への包囲網は確実に狭まっている。

本紙はこれまで「事業を名目に資金を集めた山崎氏らへの責任追及は必至」と報じてきたが、まさに現実となりつつある。



県議「上場予定、絶対に値上がりする」

「最初から実現するはずないと思ってました」。こう話すのは福岡県内で会社を経営するA氏。「しかしB県議から『どうしても』と頼まれ、仕方なく・・」

A氏が日本トレイドの未公開株購入をB県議から勧められたのは03年。それまでA氏は日トレ社はもちろん、テーマパーク計画のことすら知らなかった。

「前から知り合いだったB県議が『近く上場予定で絶対に値上がりする。だから日トレ社の未公開株を買ってくれ』と。私は『怪しい』と思ったんですが」 

「有力者の頼み、断れない」 購入者

A氏は最初から「テーマパークなど今の時代に合わない、できるはずがない」と消極的だった。だが「B県議は『上場するから値上がり間違いない』『1年後には5倍の金額で買い戻す』と言った。それに、B県議のような有力者の頼みはそう簡単には断れない」

こうしてA氏が買ったのは未公開株数百株。1株5万円で計数千万円、すべて個人名義である。「最初は会社名義で買ってほしいと言われたが、さすがにそれはできない、と」

先月下旬、久山町の地権者会解散が報じられ「来る時が来た、という感じ。会社名義で買ってたら、体面があるから表立って文句も言えなかったでしょう。そんな出資者もたくさんいるはず。県議もそこを計算して、最初に『ぜひ会社名義で』と頼んだのかも」 

山崎社長と「蜜月関係」 県とのパイプ役担う

B県議の地盤は久山町ではない。それがなぜこの事業に関わることになったのか。

「彼の父親とは古い付き合いだった。B県議も、子どものころから知っていた。その縁で日トレ社の山崎社長と引き合わせ『面倒見てやってくれ』と、頼んだんだ」。こう語るのは同町の有力者である会社経営者、C氏である。

テーマパーク計画は元々、福岡市の人工島を舞台にスタートした。推進したのはケヤキ・庭石事件で有罪判決を受けた、元福岡市助役の志岐真一氏だった。

「志岐さんとも長い付き合いでね。人工島ではうまくいかず計画は久山に移ったが、その時彼から日トレ社の山崎氏を紹介された。当時は町の発展のためにもなると、住民も大賛成だった。これほどの大プロジェクトを実現するには県とのパイプ役が必要だった」

その後、B県議と山崎氏は中洲で飲み歩く姿を何度も目撃されるなど「蜜月関係」に。「何度も『止めておけ』と注意したんだが・・」

 議会棟での演出

福岡県議会棟10月上旬、山崎氏は県庁を訪ね、「県に事業計画書を提出した」と報道陣に説明。それを報じた一部マスコミが、県から「受け取っていない」と抗議を受けた。

「山崎氏は県議会棟で県職員に書類を渡したのですが、この時職員を呼びつけマスコミ向けのパフォーマンスを『演出』したのが、ほかならぬB県議なのです」(県政担当記者)。

11月25日、町の地権者会が解散を決定し、計画が事実上破綻した後も、日トレ社からの説明は「可能性はあると考えている」とのコメント以外、いまだに一切ない。B県議も「まだプロジェクト実現をあきらめていない」(周辺関係者)という。一方、一部では「計画は人工島に再び移る」との怪情報もくすぶる。

破綻を認めれば出資者らから責任を追及されるのは間違いない以上、彼らが素直に「現実」を認めることは当分ないだろう。 

213人が集団提訴 日トレの大口出資者H&M相手に 

日トレ社の大口出資者で、倉原忠夫氏が代表を務める 「人間と産業開発研究所」(H&M、大阪市)。同社に損害賠償を求める集団訴訟がすでに名古屋地裁で起こされている。福岡地裁でも213人の原告がH&Mを相手取って同様の訴訟を起こし、このほど弁護士が会見した(HP既報)

「スーパーリッチセミナー」で日トレ社をはじめとする企業の未公開株を紹介し、高値で会員に売りつけるその「怪しい手口」は、これまで本紙で再三報道している。今後は、テーマパーク計画を推進してきた関係者への追及が、裁判の舞台で行われることになる。

代理人によると、原告のうち約20人が日トレ未公開株の購入者。すべて「近く上場する」「だから値上がり間違いなし」などと説明され、1株60万円でH&Mから直接購入したという。

H&Mは、本社-支社-特別会員-正会員-準会員-一般客というピラミッド構造になっているという。本紙が取材したセミナーでも、ほとんどが会員から紹介された参加者で、多くが顔見知りのようだった。

このやり方は「詐欺」としては、ある意味非常に巧みである。知人や親族から紹介された場合、「怪しい」と思っても、また詐欺だと気付いても、人間関係を気にして断りづらい。「あの人が紹介したから被害を受けた」と、怒りが張本人ではなく仲介者に向う場合もある。

 

H&Mは1株60万円の値段で一般客らに売りさばいた。だが日トレ社は先述のように1株5万円で地元の企業などに売っている。この差額はどこへ消えたのか。誰の