学童危機管理マニュアル、著作権理由に不開示? [2023年1月19日07:00更新]

「子育てしやすい街」というイメージの春日市だが、引越し先を探している子育て世代が同市の学童保育の実態を知れば、候補から外すことになるだろう。

市民が市に対し、放課後児童クラブ(学童保育)の「安全危機管理マニュアル」「けが、病気対応マニュアル」等の情報開示を求めたところ、「公表権を持つ指定管理者(テノ.サポート社)が 開示に反対意見を表示した(著作権法第18条第3項第3号)」との理由で開示しないことを決定した。
つまり、運営するテノ社が開示を拒否したので見せられないというのだ。
テノ社と言えば、実費徴収した おやつ代の支出を黒塗りにして開示しないことで知られる。

市民が安全危機管理マニュアルの情報開示を求めたのには理由がある。

令和4年8月、テノ社が指定管理者を務める福岡都市圏の某小学校の学童保育で、担当者(支援員)がアレルギー反応を起こした児童の対応を誤るという重大事案があった。

その児童は 卵・小麦アレルギーが有り「エピペン」を所持、エピペンとは、医師の治療を受けるまでの間、アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)である。
食物によるアナフィラキシー発現から心停止までの時間は わずか30分と報告されており、症状があらわれたらできるだけ早期にエピペンを注射するとともに、救急車を呼ぶこととされている。

こうした対応は学校現場においては常識で、日頃から保護者も同席する中で研修も行われているという。



しかし、事件は同じ学校の敷地内、学童保育の施設内で起こった。
当日、学童保育で誤ってアレルギー物質入りのおやつが児童に提供され、腹痛が起こり嘔吐を始めたが、支援員はエピペンを使用せず 母親に連絡したのである。

母親が到着して 病院に連れて行き幸いにも大事には至らずに済んだが、30分以上時間が経過しておりアレルギー対応としては不適切、テノ社の安全危機管理体制が疑われる状況だった。

この話が保護者間のネットワークで広まり、テノ社が運営している春日市放課後児童クラブの保護者からも心配する声が出てきた。

そもそも安全危機管理マニュアルはあるのか、児童クラブに常備しているのか、アレルギー対応について記述があるのか、エピペンについての知識があるかなど、子どもを預ける親にとって把握しておきたいのは当然だ。

公共施設の事業における児童の安全危機管理マニュアル等が、そもそも著作権法の著作物に該当するのかという問題もあるが、6期24年の井上市長もテノ社の主張を認めた格好となっている。
市の担当者は、「マニュアルは見せることができないが 疑問点があれば個別に回答する」としている。

テノ社と春日市が実費徴収のおやつ代をいくら使ったか黒塗りで出してきたのにも驚いたが、両者の隠蔽体質は筋金入りの様だ。