福岡県の知能犯罪 [2012年4月13日12:07更新]

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福岡県は今や発砲事件と飲酒運転事故で、全国ワースト上位となり一躍有名になった。そのため全国に先駆けて、暴力団排除と飲酒運転撲滅に向け県条例を施行し、福岡県警は全警察官が一丸となって取り組んでいる。

しかし暴力団取締りにおいては、資金源を断つという名目のもとに、民間人を対象にした取締りだけが厳しさを増しており、逮捕されたり行政処分などを受けるのは民間人だけで、暴力団組員の逮捕はまったく進んでいないため、最近は不満の声も大きくなっている。また幼児や高校生などが犠牲となった死亡事故が発生している割には、県民の飲酒運転に対するモラルが低く、啓蒙運動の強い推進が必要だろう。

だから県警が暴力団対策と飲酒運転摘発に重点を置き、大量の警察官を投入しているのは理解できる。だがその結果おろそかになっている点がある。かつて福岡県警捜査二課は、汚職などの摘発では高い捜査力を誇り、そのレベルは全国のトップクラスと言われ、過去には他の県警から研修に来るほど優秀だった。

確かに全国的に汚職摘発が進められ、公共工事での談合は消えたが、代わりに地方議員による受注工作が、水面下で一段と激しくなっているのは事実だ。優秀な二課の現役警察官が大量に退職し捜査力の低下が懸念されている中、各地で内偵を進めている情報が幾つか聞かれるものの、摘発されたと報じる記事は極端に減っている。

最近の知能犯罪には裏に弁護士が付いているケースもあり、捜査が難しくなっていることは十分理解出来るが、余りにも摘発件数が少ない。村木事件や小沢事件で、鬼より怖いと恐れられ、高い捜査力を誇っていた検察特捜部も、小沢裁判の行方によっては捜査方法に一層の批判が高まるだろう。検察特捜部の暴走が許されない環境になっているのは事実である。

捜査二課が汚職事件で1人を逮捕するのに、投入された人件費は数億円を費やしているだろう。捜査二課はコツコツ情報を集めるところから始まり、地道な努力を積み重ね犯人逮捕に結びつくものと、情報に携わる人間として確信している。

現場の捜査員は胃が痛くなる思いで、捜査を続けているが、地方の署では複雑な事件になると、最初から取り組む姿勢が見えない、及び腰の担当者が多いとも聞く。知能犯以上に頭の回転を早くしないと、犯人逮捕に結びつくのは非常に難しいだろう。
人事異動の時期となったが、捜査二課の責任者はよほどの覚悟がなければ、試験だけで昇進した幹部では、部下がついて来ない可能性もある。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載