硯師吉田史郎 [2012年9月10日15:14更新]

タグで検索→ |

陶芸の古里有田町で、祖父は有田焼の絵付師、父は窯元で、三代目の吉田史郎氏は絵付師として絵筆を握る傍ら、書に興味を持ち始めたのがキッカケで、硯の魅力に惹かれた。

漢字が誕生した中国には、古くから素晴らしい石の硯が数多く造られてきたが、中には芸術品の域に達した素晴らしい硯もあり、好事家の垂涎の的になっている。日本での書は、小学校で習字の時間が設けられているものの、筆記道具の簡便化とパソコンやメールの普及により、墨を摺り筆で文字を書く習慣は随分と遠のいた。

手軽で安価な墨汁が開発され、またプラスチック製の硯となれば、書道への興味は薄れていくのが当然かもしれない。

8年ほど前、素材となる陶土の配合から研究を始め、4年がかりで試作品の完成となったが、その後もさらなる研鑽と失敗の連続で、ようやく書家の先生方に認めてもらえるような、磁器の硯が出来るようになった。

白地に色鮮やかな文様で、「花陶硯(はなとうけん)」と名付けられた有田焼製の硯は、ファッション性にも優れており、新しい書道文化の担い手として、これから大いに期待できそうだ。

9月4日まで岩田屋本館で展示即売会が開かれていたが、ネットでも購入することが出来る。

ウェブサイトはこちら
よしだ書道具店  http://u2wa.jp/