反現職派への恨み節 民主市議団の福岡市長選敗因総括(2) [2011年2月9日10:34更新]

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(11年1月号掲載)

吉田宏・前福岡市長(左)と江藤博美市議(10年11月14日)吉田宏前市長(写真左)の陣営選対本部がまとめた総括文書のほぼ半分は以下のように、吉田氏推薦・支援に反対した国会議員、県議らを猛烈に批判する内容。

まるで「お前らのせいで負けた」と言わんばかりの文言が、これでもかと並べられているのである。

(1)昨年春、木下敏之氏サイドから県連幹部に非公式な打診があった。これを察知した市議団は出馬断念を要請したが断られた

(2)このような空気の中で誰を推薦するか議論が始まったが、一部国会議員が市議団代表に「不信任」を突き付けるなど、公然と「アンチ吉田シフト」を敷いた

(3)幹事長案による吉田市政批判文が常幹に提出され、市議団のレポートと相反す評価が併記されたことで、議論は分裂してしまった



(4)推薦問題が長期化し、結果的に選対本部の立ち上げが遅れて、事前活動が不足してしまった

(5)一部の県議と政策が折り合わない、党へ貢献度が低いなどと、吉田氏への根強い不信感が残っていた。そのため木下氏を応援しようとする国会議員グループの動きが生じた 

選対に危機感なく  

「自らの責任についてはまったく触れず個人的恨みを書いただけ。こんなものは選挙戦の総括ではない、さすがに呆れたよ」。ある国会議員はこう吐き捨てた。 

総括では「選挙戦序中盤で接戦状態となり県連所属国会議員や県議団などに応援要請を行った。しかし自民党国会議員団に比べ後塵を拝した感があり、その勢いが結果へとつながった」としている。

だが前出国会議員は「完全な嘘。吉田氏の行動予定はもちろん、閣僚が福岡入りした際も事前の連絡はなし。どこで何をやっているのか、誰がいつ来るのか分からないんだから、応援のしようがない」 

別の国会議員は「要するに、われわれの応援などなくても勝てると思っていたんだよ。それで手柄を独り占めしようと。選挙情勢をまったく分かっていなかったんだろう」

またある民主関係者はこう打ち明ける。「実は、告示日前後に党本部の選挙担当者が陣営をたずねた。ところが『選対にまったく危機感がない。こりゃダメだ』とサジを投げて帰っていった」

江藤市議が作成  

この総括文書は、選対幹部を務めた江藤博美市議(写真右)が作成した文書ほぼそのままを提出したもの。そのため常幹では「こんなものが選対本部の総括でいいのか。選対メンバーの意見をあらためて聞いて作り直せ」と突き返したという。 

「代表が交代して新体制が船出したばかりだというのに、今回の1件で水をさされた」(民主国会議員)。市長選の惨敗で、県連内には大きなしこりが残ってしまったようだ。ろくに選挙を戦えもしないのに、その自覚がない市議団の「自爆」が原因ではあるのだが。 

統一地方選では数多くの候補を立てる予定の民主。市長選でのゴタゴタの影響が出なければいいが・・。