新福岡市長 自らの意志貫けるか(2)代議士不在で「草刈り場」? [2011年1月19日09:30更新]

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(10年12月号掲載)

当選確実となり取材に答える高島宗一郎氏(11月14日)「保守系議員たちの思惑は明確。わざわざ北九州から出張ってきたN県議の件はその好例です」。あるマスコミ記者は指摘する。

「福岡市の自民衆院議員は現在、すべて落選してして不在となっている。そんな現状は、県議や市議にとって絶好のチャンスなんです。

これまで衆院議員が押さえていた利権を、いかに自分たちが奪うか。つまりは草刈り場となっているわけで、それには市長を抱き込むのが一番の近道ですからね。

自分が当選させたとアピールしたり身内を市長に付けたりする裏にはそういう狙いがある」

 



 

新市長の最初の仕事である副市長人事。高島氏は就任記者会見で吉田宏前市長時代の2人を慰留したことを明らかにし「来春までは触らない」と明言した。 

山崎広太郎市長時代には3人体制だった副市長。だが前回選挙で「副市長1人削減、収入役は廃止」と公約で掲げた吉田氏が当選し現在の体制に。保守系会派は今回、副市長をかつての3人に戻すよう、水面下で高島氏に進言していたという。

中央官僚・女性・市役所生え抜き─といった構成を想定していると見られるが、高島氏はとりあえず、これを拒否した形となった。

2副市長 とりあえず慰留  

前回選挙時時の吉田陣営関係者はこう語る。

「山崎市政時代の副市長の1人は『福岡地所』(中央区)から送り込まれた人物。山崎氏が強引に推し進めた五輪招致は、福岡地所の意向を受けたものであり、同社トップも招致の旗振り役を務めた。

また『副市長が増えて指揮系統が混乱している』『3人もいらない』といった不満の声が市役所内部から漏れていた。組織のムダを省く意味も含め、2人にすると決めた」 

「そもそも福岡市においては副市長はそんなに多く必要ない、局長がしっかりしていればいい。人数が増えれば山崎元市長の時のように癒着の温床となる恐れもある。高島氏がどれだけ自分の意志を副市長人事に反映できるか、注目ですね」(前出記者)。 

前出ベテラン市議は「周囲からはいろいろ言われるかもしれないが、高島氏はやりたいようにやればいいと思う。副市長人事についても自分で進めることで、根回しの仕方など多くを学ぶことができるはずだ」 

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本紙は10年11月号で「素人目線の政治 前途多難」と題して「このままでは支援を受けた保守系議員、そして市役所職員らに丸め込まれてしまう」と指摘した。

高島氏本人もそのことは自覚しているのだろう、副市長人事やこども病院移転問題など、まずは自分の意志を明確に語っているようだ。 

だが本番はこれから。保守系議員をはじめ周囲の思惑や声に惑わされることなく、自らが望む市政を実現できるのか。同じく市民派を標榜しながら短命に終わった前市長の二の舞だけは避けていただきたいが・・。