どうなる博多座 [2013年2月19日16:20更新]

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今年は4月に東京の歌舞伎座が開場し、こけら落とし公演には「十八世中村勘三郎に捧ぐ」と冠した演目が上演される予定だ。一方、芸どころを自負する福岡では、長い間歌舞伎が上演できる施設がなく、先人が奔走した結果、平成11年6月3日に博多座が開場した。

福岡市を筆頭に九州電力などが出資し運営されているが、ここ数年は諸般の事情もあって赤字経営が続いている。特に一昨年の東日本大震災の影響で余暇の過ごし方が変わり、また復興が優先されて観客動員が落ち込んだのも事実で、客足が伸びず赤字が続き、運営が危ぶまれている。そのためもあって、福岡市は博多座の設立当初から携わって来た、佐村美章氏を再び送り込み、建て直しを図るようだ。

博多座は歌舞伎だけでなく、ミュージカルや宝塚歌劇、そして北島三郎などの大物歌手が演じる座長芝居を、月替わりで興行しているが、前期は営業収入20%台の公演が2本もあり、閑古鳥が鳴くありさま。また芸能興行だけに暴力団の影もチラついて、怪しげな噂が流れているのも事実だ。

既に第一線を退いてはいるが、何らかの影響力を持っているのが福岡市OBであるN氏の存在だ。関係者の間では、福岡市や九州電力が出資し公的色彩が強い事業体であるにも関わらず、多額の使途不明金があるとの噂が囁かれている。さらに半額チケットや無料券の配布枚数が尋常ではないとの話もあり、黒字経営ならまだしも、累積赤字が10億円に迫り、債務超過に陥りかねない財務内容だけに、こうした噂には毅然とした対応が必要だろう。

芝居見物は「ハレの日」の最たるもので、観客は服装などでお洒落を競ったものだが、最近は無料券の配布で気軽になったのか、普段着で芝居見物に訪れる人も増えている。普段着がいけないとは言わないが、「ハレの日」で着飾った観客で席が埋まれば、舞台で演じる役者にも力が入り熱演となることだろう。

歌舞伎役者の華やかな船乗り込みも話題となって良いのだが、後援会やファンクラブの設立など、地道な活動も博多座は考えるべきではないだろうか。先人が苦労し築いた博多座だけに、その恩恵を受けている我々は、黒字にして存続させる義務があるはずだ。だからこそ「臭いものには蓋」で、N氏の退職を促すだけに止まらず、使途不明金や無料配布券などの解明が必要だ。博多座をよく知る佐村美章氏がどう改善するのか、大いに期待したいものだ。